お気に入りの写真を、壁に飾る。
殺風景だった壁が突然輝き出します。しかし、、夜のとばりが降りたときに、せっかくの写真は暗く沈んでしまい、せっかくのムードもだいなし……
そんなとき、写真をライトアップすると、突然お気に入りの写真が再び輝き始めます。気のせいか、照明がなかったときよりも、もっと愛おしく見えてくるから不思議。
彼や彼女を呼んだとき、ふと途切れた会話…… その続きもライトアップされた写真がつないでくれそうです。
写真は、サイクロスのマスコット、テンちゃんの写真をライトアップしたもの。額縁、LED照明とも、スウェーデンのおしゃれな家具店、IKEAの商品です。
取付け方はいたって簡単。購入した額縁の上面に付属のビスで止めるだけです。
冒頭の写真では、額縁の裏に穴をあけ、コードは壁の浦を通しています。しかし、壁に穴をあけられない、あけたくない、という場合は、ホームセンターなどで販売しているコードカバーを購入するとよいでしょう。最近は、壁紙と同じテキスタイルのものや丸みを持たせて陰を目立たせないものなども出ているので、コードをむき出しにさせずにすっきりとまとめることができます。
ここからは、もしあなたがお気に入りの写真を手にしたとき、それをどこに飾るか、どう飾るか、あるいは飾る時に何に注意すればいいか、について触れていきたいと思います。
あえて写真は掲載しません。シチュエーションはいくらでもありますが、そこにあなたが置く、センスある一枚を想像してみてください。
そして、迷ったら、以下を参考にしてみてください。きっとあなたの部屋にぴったりの写真のイメージが湧いてくるとおもいます。
▼絵や写真を選ぶときの基本
○アイテム選び
絵や書、写真やポスター……アート類はそこにあるだけで存在感を放つ重要アイテム。
小ぶりでも瀟洒なアイテムを選ぶ。
しかし、多くを飾らない。数カ所に分散させない。
お金をかけていい絵を。部屋全体にグレード感が生まれる。
オリジナリティを出すには、ユニークなものを。部屋全体のアクセントにもなる。
○配置・照明
大きな面には落ち着いたムードのものを。小さな面にはビビットな色合いのものを。
壁下に家具を置くなら、その幅よりも小さいものを必ず選ぶ。感覚的に落ち着きやすい。
壁面に飾ったアートは、ライトアップすれば、安物でもより美しく、引き立つ。
廊下奥の壁やドアの横など、小さなスペースに飾ると見違えるほど魅力的な壁になる。
○フレーム
パワーがある分、部屋の個性を左右するので、フレーム選びは特に重要。
小物を飾るなら、シンプルで美しいデザインに徹底的にこだわる。
シャープな家具や照明には簡素で軽やかな額縁を組み合わせる。
▼複数の写真
家具上に小写真をたくさん飾る。乱雑に見えておしゃれ。他の装飾品との組合せが勝負。
形も大きさも異なる額入写真を多数用意する。案外と簡単にオリジナリティが出る。
小さな写真立を並べる場合、そこに視点が向くよう他の装飾品とのバランスに気を配る。
小品を多数並べる際、基本カラーを決める。それを何枚かに使って全体の一体感を出す。
同種数枚の額を掛け、ひと塊に見せるのは高等テクニック。機会あらば試してみたい。
幅の狭い壁なら、小ぶりの額を縦に数枚飾り、縦ラインを強調すると治まりがよくなる。
▼家具と組み合わせる
背の低い家具は部屋を広く見せる。その上に掛ける絵もできるだけ低い位置に置く。
小さなモノは“ポツンと掛けた”感じになるので、下に家具を置いて一体感を持たせる。
ガラス食器棚など幾何学的な家具と抽象画は合う。ビビットな色彩が入るとよりベター。
大型家具に小さな額はアンバランス。大きな額にするか、複数額を組み合わせて掛ける。
▼家具と額の色バランス
・
黒とメタリックで固めたシンプル家具と、ポップアート的な現代画の組み合わせもGood!
モダンでシャープな家具や照明と黒のシンプルフレーム仕立ての額の組み合わせは瀟洒。
・フレーム色は、ベース家具やカーテンと同系色でコーディネイトすると失敗が少ない。
セピア色の淡い写真をアンティークな家具に美しく調和させる。センスのみせどころ。
▼階段の活用
階段は上がり下がりするたびに視点が変わるため、絶好のギャラリー。ぜひ活用を!
階段の各段に作品を置き、ホームギャラリーとして楽しむ。額色は床や階段に合わせて。
以下は、主にリビング・ダイニングや玄関、水回りなどなどそれぞれのシチュエーションで写真を飾る時のヒントです。前項の基本事項と合わせて参考にしてみてください。
○リビング・ダイニングにおける写真の飾り方
▼基本
リビングのどこかに「空き」を作る。
空間にメリハリが出たところで置き場所を考える。
くつろぎの場なので、圧迫感のあるデコラティブな絵は選ばない。
リビングに入って、最初に目がいく位置に自分の趣味を反映した絵を置く。
“見せ場”をつくるなら、リビングの入口の正面が最適。
お客様との会話のきっかけ=トークピースを意識して厳選し、さりげなく飾る。
モノトーンでまとめたクールな部屋には、木製額を使った温かみのある作品を。
ベージュを基調に色を抑えると落ち着きが生まれる。合わせて絵も控え目のものを。
▼家具とともに
ソファの背後に豪華な一枚を。それだけで部屋全体にグレード感が生まれる。
重い印象の家具にはシンプルなフォトフレームなどライト感覚のものを合わせてみる。
シャープなデザインの家具と、直線基調のシンプルな額との組合せですっきり感を出す。
アンティーク家具が中心なら、その他のものは極力色味を抑えることで清潔感が出る。
アイアンやテラコッタの自然な風合いの家具を選び、絵もそれに合わせた自然なものを。
木製家具とアルミ等メタリック額の組合せは“洗練されたナチュラル”を創出。
▼ちょっとした工夫
白熱灯は、柔らかい光で壁を照らし出し、絵や写真に微妙なニュアンスを与えてくれる。
床の隅にさりげなく置いた写真額。座って一息ついてから気づくくらいの脇役感がいい。
同じテイストの写真、フレームのものを壁に3枚ほど並べる。意外な動きが出る。
窓が少ない部屋。壁前に低いチェストを。花を置きその上に額をかけてバランスを取る。
▼あえて小スペースをつくる
センスの良い特別なコーナーを作る。
好きな写真集と画集を持ち込み、壁に洒落た一枚。
コーナーデスクの上の洒落た一枚。その後ろの壁に品の良い額縁を合わせて掛ける。
○玄関における写真の飾り方
▼基本
玄関の白い壁は絶好のギャラリー。住み手のセンスの見せ所。
控えめで個性のある演出を。
いわば家の顔だから、住み手の趣味を反映した品を飾る。
さりげないこともセンスのうち。
小さなスペースだから、控え目に演出する。
玄関が立派でLDが殺風景では……力のいれどころを間違えない。
▼ちょっとした工夫
玄関から2階へと続く階段の踊り場は、絶好のディスプレイ・スペース。
玄関先だけで用事が済む客も多い。客の目にもつきやすいLD入口ドア横の壁に飾る。
玄関を入り一番奥に壁がある時、そこはなかなかの見せ場。花緑と共に引き立つ一枚を。
○寝室・和室における写真の飾り方
▼基本
殺風景になりがちな寝室。壁にかける一枚で空間の印象が決まる。
お気に入りの絵を眺めながら眠りにつく寝室……一番好きな絵をかざろう。
寝室としても使うことの多い和室。“引き算の美”を意識してシンプルな演出を。
▼ちょっとした工夫
思い切って和洋折衷に。アンティーク、ブラインド、文机、そして和モダンな絵を壁に。
花台や文机等の小さな家具を揃え、その背後に大き目の和風の絵を飾るとモダンに。
薄い布を使った天蓋風カーテンでレトロに。壁に古い写真や絵を加えればより優雅に。
○洗面・キッチン・トイレなどの水回り
▼基本
ポイントはなんといっても清潔感。絵や写真はテーマカラーを決め、多色は避ける。
小さなスペースだから、控えめの絵や写真をさりげなく、センスよく置く。
海や高原・山といった自分なりのテーマを決めると、トータルの空間が創りやすい。
シンプルな洗面台は、小物写真でぐっと引き立つ。選ぶ対象でセンスが問われる。
○収納とのバランス
▼基本
隠すなら徹底的に隠す。壁埋め込み棚に引出・床下…あとは選び抜いた品を置くだけ。
汚れやすいキッチンでは、絵や写真は高所に。瓶や食器などと一緒にバランスを考えて。
雑多になりやすいキッチン。見せるものと隠すものをはっきり区別した上で装飾を。
▼ちょっとした工夫
殺風景な白壁や床には温かみのあるウッディ小物を。
木椅子の座位に置いた写真もGood!
前項までは、主に写真や絵を飾る時のヒントや注意点について書いてきましたが、以下では部屋づくりに関するその他のアイデアについてまとめてみました。
日本の家屋は昔に比べればかなり広々としてきましたが、街中ではなかなか広い部屋に恵まれないことも多いものです。狭くても居心地がいい部屋を作るためのヒントにしてみてください。
▼基本
徹底したミニマム主義は一つの考え方。小さい家や部屋でも広く魅力的に暮らせる。
一つの壁、角、窓辺、など小さな単位で考える(いきなり全体をコーディネートしない)。
広々と見せるには背の低い家具を。また、必要最低限の家具を厳選すると良い。
▼色彩
狭い部屋は白を基調に。ベージュと茶のアイテムを組み合わせるとすっきりと見える。
色数を抑えすぎて単調になるときは、赤などアクセントになる「差し色」を少量加える。
インテリアの中で1〜2色ポイントになる色を決め、それを繰り返し使う。
▼照明
蛍光灯を使わず白熱灯を。優しい光が陰影を創り出し、室内に奥深い表情が生まれる。
コーナーの控えめな照明は、モノをより美しく見せてくれる。まとまり感も出しやすい。
▼水回りで
同系色のタオルでまとまり感を出す。心地よい手触り感のあるモノを選ぶ。
雑貨類はデザインや色を厳選。調味料もお揃いに。
連続した線やパターンで秩序が出る。
目立ちやすい冷蔵庫。いっそ収納と同じテキスタイルの面材で覆ってしまうのも一手。
▼収納考
生活感を見せないナチュラルな収納を。藤製品、木製箱、巾着袋、土産の化粧箱、etc…
食器棚や冷蔵庫上を“物置”にしない。もし置くならボックスやバスケットを利用する。
生活感溢れるゴミ箱やふきんは、シンクの下などへ。出し入れし易いアイテムを探す。
雑多になりやすい食器棚。どうせなら、「見せる」収納に。“余白の美”を意識する。
▼植物と
針金を使ったトピアリーフレームで観葉植物をより立体的に。部屋の雰囲気に合わせて。
観葉植物と子供のころ気に入って使っていた木製品を調和よく組み合わせるとGood!
一つの部屋に複数の植物を置く際は、それぞれ高さが違うものを選ぶとメリハリが出る。
植栽を選ぶ場合は、昼夜で印象が変わることを計算に入れる。昼は陽射し、夜は照明…
素材やデザインがバラバラで植栽も異なるミニ小鉢をたくさん用意。楽しいコーナーに。
アイアンのスタンドの使用、天上から吊るす…植栽の配置にはできるだけ視点の変化を。
▼ちょっとした工夫 etc……
季節にあわせ、気分にあわせてインテリアを代える。たったひとつでも雰囲気が変わる。
何の脈絡もなく雑貨を飾らない。一歩間違えばゴチャゴチャに。「引き算感覚」で厳選。
棚を飾るときには、小さな空間でもアイテムを統一する。ミニフォト、緑、花器etc…
愛用のアクセサリーを活用する。クリスタル容器など素材を選び、似合う場所に飾る。
陳腐な花器はつまらない。「水漏れしない」なら何を使っても可。センスの試しどころ。
火鉢上にガラス板を載せたテーブル。イーグルのタオル架け。着物帯のテーブルクロス……。
ある用途で造られたものを自分なりにアレンジして違う目的に。アイデアは無限。
最後に、実店舗へ行って家具を選ぶときの注意点についてもまとめてみました。日本の住宅では、何かと狭い空間に色々な家具を押し込みがちですが、買う前にちょっとした知識を持っていれば、後で後悔しなくてすみます。 家具屋さんへ行く前に、少しだけ、目を通しておくか、以下を印刷して手元に持って行ってください。
▼家具を買うときは……
○リビングにて
ソファは3人掛けにこだわらない。スペースによっては2人掛+1人掛が良い場合がある。
センターテーブルにこだわらない。なくても良い場合も。小品を用意しソファ横に置く。
リビングを広く見せたいなら低い家具を選ぶ。家具量は床面積の3分の1以下が理想的。
リビングに作る書斎スペースに大きな机は不要。おしゃれでコンパクトなものを。
○ダイニング
長時間ダイニングで過ごすなら、固い椅子より布張りチェアのほうがベター。
ダイニングが手狭なら、ガラスのテーブルを選ぶと圧迫感がなく、狭さを解消できる。
来客が多い家庭では、ぜひエクステンション式テーブルの検討を。
丸テーブルより長方形の方が狭い部屋に向く。椅子を引くスペースを考えれば一目瞭然。
○その他
背の高い家具でも、壁面一杯の収納を持ち、シンプルな扉で壁に見えるようなものはOK。
買って後悔するのがドレッサー。収納量の多いチェストとシンプルな鏡のほうがベター。
▼間違いのない照明
リビング照明の黄金ルールは、「一室三灯」。背高照明、床照明、その中間の3点セット。
明るすぎないリビングはびっくりするほどくつろげる。ほの暗い静かな空間を。
テーブル照明は面から60〜80cmの位置に。シェードの大きさは直径50〜55cmが目安。
洋風な部屋にシンプルでモダンなデザインの和風照明を入れる。意外な変化が生まれる。
スポットライトをオブジェに当て、その影が生み出すシャープな陰影を楽しむのもイイ。
▼ファブリックの選び方 ※注)ファブリック:布を使ったもの全般を指す。
▽基本
部屋をすっきり見せるには単色でコーディネートするのが一番無難。
一部屋に使う色は、多くても3〜4色に留める。メインを決めてから他を選ぶのがコツ。
ベッドカバーやカーテン、ソファの張り地など、広い面積のものをベーシック色で統一。
迷ったら、ベージュ、オフホワイト、明るい黄褐色などがお勧め。素朴な感じが人気。
2色以上を使うなら、同系色を組み合わせると失敗がない。濃淡でメリハリをつける。
▽柄模様のファブリック
縞模様とチェック、縞模様と花柄の組み合わせでも同系色ならうっとうしくなりにくい。
すべてが柄になるとさすがにうるさくなるので、無地を効果的にあしらうとGood!
薄い色を広範囲に使った上で、部分で濃い色を使い、全体を引締めてすっきり感を出す。
多色使いや柄と柄の組合せの成功確率は五分五分。が、チャレンジするのも楽しいかも。
▽派手な色・柄のファブリック
派手で大胆柄のファブリックに挑戦するなら、トイレや洗面・玄関などの小さな窓辺に。
狭い場所の窓に明るく温かい色柄モノを一枚プラスすると雰囲気がガラリと変わる。
寝室など客の目に触れない場所。華やかな柄で思いっきりチャレンジするのも楽しい!
▽ラグ……
センスのよいラグは家具を引き立たせ、洗練されたインテリアに近づけてくれる。
ラグ色は3〜4色に限定すれば、柄が入っていてもOK。家具色と合わせればよりベター。
ソファが柄入なら無地、無地なら柄入にすると良い。狭い部屋なら床に近い色にする。
▽カーテン
大柄のプリントはうるさいので基本的にはカーテンには使わない。ただ淡い色ならOK。
白地に単色で柄の入ったデザインなら、大型柄でもすっきりし、うるさくならないはず。
柄を生かしたいなら、ドレープ※よりもロールスクリーンやローマンシェード※が良い。
※注) ドレープ:布が、その重さによって自然に垂れ下がっている、ひだひだのカーテン。 ローマンシェード:カーテンの生地を使ったロールカーテンのようなもので、紐を引くことで、生地が上下する。カーテンシェードとも言う。
▽ソファ
カバーリングタイプのソファ※は、季節によって模様替えができるのでお勧め。
普通ソファでもマルチカバー※で覆えばカバーリングに。厚手でシワになりにくいものを。
※注)
カバーリングタイプのソファ:カバーを取り外したり、付け替えたりできるタイプ。
万が一汚れても洗濯ができる。
マルチカバー:ソファだけでなく、ベッド、テーブル、こたつカバーなど、サイズの選び方次第で「何にでも使える」1枚の大きな布タイプのカバー。
update : 2016.03.03 / アップ