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育む ~産業・観光振興、高齢化・過疎対策、企業誘致…活気あるまちへ誘う

 

21世紀に入ってから日本の高齢化は著しく加速し、とくに地方において激しく、「限界集落」と呼ばれるような地域が拡大しつつあります。 若い労働力の都市部への流入、過疎地域からの流出はさらにこうした地域の高齢化に拍車をかけています。自治体がいくら産業振興や観光の活性化を呼びかけてもその担い手がなく、まちの中から光が失われ、いまや風前のともしびといったところも少なくありません。 そうした地域に活気を呼び戻し、新たな町興し、地域おこしを仕掛けていくことは容易ではありません。いくら優れた行政官や百選練磨の技術者たちが知恵を絞っても、衰退が既に始まっているまちの凋落を止めることはなかなか容易ではありません。 しかし、あれもできないこれも無理だ、と言っていても何も解決できません。今できることをひとつずつやっていくしかありません。まちを復活させるために大事なことはやはりあきらめないことです。

 

 

活気を失い退廃するまち

 

ところで、よく言われる「地域おこし」や「地域活性化」とはそもそもなんでしょう。

 

一般には、地域(地方)が、経済力や人々の意欲を再び向上させたり、人口を維持したり(再び)増やしたりするために行う諸活動のことを指すようです。そしてその必要性が叫ばれるのはやはりその地域が停滞、もしくは衰退しているからです。

まちが衰退していく要因はそれぞれの地域で異なります。長引く不況による産業の衰退やそれに伴う雇用の減少、高齢化や若年層の流出等による人口の減少、自治組織を維持していくべき担い手の不在によるコミュニティの崩壊、さらにその延長としての地域文化、伝統の途絶などなど理由はさまざまです。

多くのまちがこうした要因によって活力を失い、元気をなくしつつありますが、まちによってはこれらの複数が原因となっている場合があります。あるいはすべての要因が当てはまるといったところもあって、そうしたまちの中には財政破綻を起こし、もはや自力では再生できないほど疲弊してしまっているところすらあります。

 

老朽化し、衰退していくまち

 

こうした深刻な問題に直面しているまちを起死回生させるための手法としてよく取り上げられるのが次のようなことです。

 

・産業の立て直しによる雇用の創出や維持
・若者の人口流出の歯止め・回復
・新規住民の呼び込み。子供のいる家族の呼び込み
・地域文化の担い手の確保と継承

 

さらに自治会や町内会をはじめとする市民活動の活性化によるコミュニティの再生といったことや、神社仏閣や景勝地、祭りなどまちの伝統的な文化を守り、これを観光客誘致につなげていく、といったことが多くの自治体で試みられています。

 

 

いずれの対策においても、地域住民の声を吸い上げて合意形成を図る。しかるべき時期に今後の計画を立てて、みんなで守っていく。ともかくもがむしゃらに計画を押し進めていけば、やがては地道な活動が実を結ぶ、ということがよく言われます。

しかし、実際にはそうした成果をあげることができたまちはそうそう多くはありません。V字回復で景気が回復したといった奇跡的な成功を治めたまちはごく稀であり、短期的に回復したようにみえても、やがて時がたてば高齢化という病魔に侵されてふたたび下り坂に転落、といった例がよくみられます。

衰退の一途をたどっているまちの状況はときに悲惨です。上にあげたような問題がたいていは複数以上存在し、絡まった糸が癒着して容易にはほどけないほど衰弱しています。問題の解消は簡単ではなく、本当に活気のあるまちに取り戻す手段はどこにもないようにすら思えてきますが、はたして明るい未来をみせてくれるような抜本的な対策はあるのでしょうか。

 

 

これからのまちおこし

 

近年、それまで試みてきたまちづくりのやり方をすべて捨て、抜本的に対策を見直し、“ガラガラぽん!”でまちを一から作り直す、というまちが増えてきています。 たとえば古い商業地域で中心市まち地が空洞化し続けているまちでは、郊外に新たな産業が進出してドーナツ現象といわれるべき状況になってしまっていたりします。こうしたまちの中には、エイや!で両者を統合し、よりコンパクトにまちを作り変えようとしているところがあります。 こうしたまちでは、まず郊外にある企業にまちの中心への移転を依頼します。そこにある古い商店街にはそのままに、ここに中・大規模店舗を誘致します。この中大規模店舗が成功すれば、これによりまちに活力が生まれ、古くからある老舗の中小小売店の売上も増加することになります。

 

まちを整理 統廃合する

 

大型店と中小小売店が同一の商業集積内において利害を共有できるようになり、まちが活気を取り戻す、若い世代の流入が期待できるようになる、といったことが期待されるわけです。いわゆる、統廃合というヤツで、合併特例債等の特例が認められ全国的に市町村合併が進んだ、「平成の大合併」にも似ています(2005年(平成17年)~)。

が、しかし事はいつもそううまくいくとは限りません。

こうした抜本的な対策をとる上においては、まず誘致した企業が利益を出せるかどうか、それだけの業績のあげられる魅力的な会社であるかどうかが鍵を握ります。果たしてその企業にまちの未来を託せるかどうか、というところは見極めなくてはなりません。

また、古いまちであるがゆえの利権が絡んで大規模企業の誘致が進まない、といったこともあります。さらにそれ以前の問題としてそうした事業のために資金面での協力を自治体がしてくれるかといったこともあります。

どこを区画整理すればいいかがなかなか決まらず、予定していた計画が大幅に修正を余儀なくされる、といったケースも往々にして見られます。「初志貫徹」ができなかった計画にはやがてほころびが生まれ、せっかくつぎ込んだ資金が無駄になる、といったこともありえます。

平成の大合併でも、資金力のあるまちとそうでないまちが合併し、行政が縮小された結果、辺縁の地域の開発が進まず逆にさびれたり、行政サービスが低下したりといったことがよくありました。なんでもかんでも統合すればよい、というわけではなく、そこには副作用もあるのだということをこのとき日本人は学びました。

とはいえ、そのまま放っておいたら死んでしまう、という切羽詰まったまちも多いわけです。こうした場合、カンフル剤の投与はやめて、患部を大胆に切り取るという荒療治をやることも考えられます。古いまちは捨てて、住民と企業まるごと新たな土地へ移ってやり直す、といった大胆な方策もこれからのまちづくりの一つの方向性なのかもしれません。

 

賑わうアメ横 松坂屋、ヨドバシカメラ、ABABなど大型店が共存する

大型店舗によって引き付けられた若者消費者を商店街にひきつけるため、大型店舗と同じ商品を扱うことなどによって成功した

 

東日本大震災のとき、津波ですべてを失ってしまったまちのなかには、幸か不幸か自然という脅威によってその選択肢をとらざるを得なかったところもあります。住み慣れたまちを捨て、それまで行ったこともなかったような山あいの土地を切り開いて作った新しいまちに移り住んだのです。

 

著しい被害を受けたのち、必至になって再生を目指しているこれらの新しいまちが今後とも存続していけるのかどうか、かつての賑やかさを取り戻せるのかどうかはまだまだわかりません。しかし動き出してしまった計画はなかなか止めることができません。

たとえ津波の被害に遭わないまでも、複雑な社会環境に押しつぶされて消えゆこうとしているまちは多々あります。そうしたまちの再生のためのカンフル剤がはたして移転といった荒業でよいのかどうかについては多くの疑問がつきまといます。

しかし、ほかに選択肢がないならば、やってみるしかありません。今ようやく日本全土をあげてそうした取り組みに対する研究がスタートした、といった段階であることは確かです。

 

2016年7月に宅地が完成し、住宅の建築が進む釜石市高台の「根浜復興団地」

https://en-trance.jp/news/kamaishishinbun/12345.html(釜石市情報ポータルサイトより)

 

 

一番大事なことは合意形成

 

とはいえ、基本的に、望ましい「まちづくり」に向けた取組の方向性は、地域に住む住民自身が主体的に選択すべきものです。そのためにはやはり「合意形成」ということが重要となります。

ステークホルダー(stakeholder)という英語があります。「利害関係者」のことです。それぞれの立場において利害と行動に直接・間接的な利害関係を有する者同士のことを指す用語です。

より具体的には、消費者(顧客)、運営者、組織員、出資者、債権者、仕入先、得意先、地域社会、行政機関などなどを指し、社会を構成する多様な立場の人々をまとめて呼ぶ際に使います。

ステークホルダーは、もともとは「そのグループからの支援がなければ、当該組織が存続し得ないようなグループ」というふうに特定のグループを指す用語でした。その後「ステークホルダーの意見の一致を図る」とういふうに使われるようになり、これが「合意形成」と同意になっていきました。

 

 

いろいろ書きましたが、合意形成とは要するに、いろんな利害を持った人々の意見をとりまとめること、ということになります。

欧米の社会の仕組みを取り入れた近年の日本でも、このステークスホルダー(利害関係者)はあらゆる分野にいます。企業などの組織内では社長以下の管理職と従業員、株主、債権者、仕入先、得意先といったものがステークスホルダーです。また少し視野を広めていくと、地方自治レベルや国家レベルでもいろいろなステークスホルダーがおり、これらの利害を調整することで「合意形成」が図られるということがあたりまえに行われています。

地方自治レベルに限れば、そのステークスホルダーとは、民間企業に加え、コミュニティを形成する市民やNPO、そして行政機関や学際機関などがそれにあたります。

そして地域のまちづくりにおいては、このうちの裾野の部分を担う企業や市民、NPOの意見を行政に反映させるという意味で「行政参加(市民参加)」ということばが良く使われるようになってきています。これに加え、大学などの機関の有識者も関わって幅広い議論が行われるなかで「合意形成」が図られるケースもあります。

 

いろいろな合意形成の技法の登場

 

合意形成の過程において、近年、行政と市民や有識者が一緒になって議論する「ワークショップ」を実施するところが増えてきました。また市町村などの自治体の公共政策を公表し、その意思決定課程に市民を参加させる「パブリックインボルブメント」といった取り組みを行うまちも多くなっています。

一定のテーマにつき市民の意見を募集する「パブリックコメント」といった手法も用いられてきており、市民を「巻き込んで」まちの方向性を決めるということがあたりまえに行われる時代になってきています。

 

 

パブリックコメントは、パブリックインボルブメントのように、実際に住民を集めて議論を行うのではなく紙上でその方向性を決めようとする手法です。インターネットが普及した現代ではこれをネット上で行うなど、情報通信技術を用いた合意形成も最近はよくみられるようになりました。

インターネットを使ったアンケート調査もそのひとつといえ、結果の公表によってひとつの意見の合意形成に使われたりすることがあります。また自治体によってはまちの政策についてもネットで意見を求める、といった先進の取り組みをしているところもあります。

さらにはワークショップを活用した合意形成の実施、様々な科学技術を活用したプログラムを用いる合意形成支援システムなども開発されつつあります。合意形成は、これまでとは違ったかたちでどんどん進化しているようです。

今後は、こうした多くの種類の合意形成手法を組み合わせ、行政と市民のパートナーシップをより前進させる総合的な「合意形成システム」ともいうべき手法の確立もまちづくりにとっては欠かせないものになるでしょう。

 

新しい時代の合意形成システム構築に向けて

 

この合意形成システムの構築には、「議論の場の設定」「議論の公開」「十分な情報提供」の三点セットが不可欠であるといわれています。

「十分な情報提供」という部分がミソであり、これまでは議論の場づくりと議論の結果公表だけが主に行われてきました。しかしこれからは議論に参加しなかったステークホルダーに対しても判断材料を積極的に提供する、ということが合意形成にあたっては不可欠です。ただ単に議論するだけでなく、結果を積極的に公表・提供し、議論をする人々の裾野を広げる、というふうに変わってきているのです。

 

合意形成システム

 

当事務所でも、そうした新しい合意形成の手法を積極的に取り入れていきたいと考えています。これまでも各種ワークショップや委員会等組織の運営を多数こなし、多くの試行錯誤をしてきましたが、いつも合意形成に成功した、と胸を張って言えるわけではありません。それぞれの利害関係者にWinWinをもたらすことができた輝かしい事例がある一方で、なかなか成果をあげることができず、こう着状態のままになっているケースもあります。

今後は、合意形成の成功率を高めるため、さらに新しい手法にチャレンジする必要性を感じているところです。

このため、そうした新しい試みを行うチャンスを与えていただける皆様からのお声掛けをお待ちしています。まちづくりに行き詰り、合意形成に悩んだら、ぜひコンタクトしてみてください。まずは過去の経験に照らし合わせて何が今必要かをアドバイスをし上げた上で、新しい試みについてもご相談したいと思います。

なお、地域に住まう人々の声を一にするためには、人々を納得させるだけのデータが必要であり、各種の社会的調査は欠かせません。地域の人々の声を聴くための「アンケート調査」もそのひとつであり、人々の声を計画に反映させるために不可欠なものです。

過去においてそうしたアンケート調査についても多数手掛けてきており、ご依頼いただければ、アンケート票づくりから配布、集計、統計までの一連の作業を一括して遂行することが可能です。ぜひ一度お問合せください。

 


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