Selfbuild Application


応用編 Top

応用編 第3章 セルフビルドに最適な住宅モデル集 M

4) 増築における接合部の処理について

 最後になりますが、増築部の接合部の処理方法について補足しておきたいと思います。

2×4工法の構造体は四方の壁と床、天井の6面全てを組み合わせて初めて耐震強度が在来工法の2.5倍といわれる強さを発揮します。この強度を得るために、住宅金融公庫の仕様書などでは、壁一面の長さの4分の1は耐力壁(開口部のない、頭つなぎから土台まで続いた壁)でなければならない、としています。従って本体と増築部を一体の構造体として完成させるためには、以下のような方法で増築部が接合される必要があります。

@頭つなぎが本体の壁に接合されること

A本体と増築部に外壁合板がまたがるように接合されること

 

 

しかし、既設の2×4建築に対して、頭つなぎや合板を増築部にまたがせることは難しいことが多く、接合部に入隅や出隅ができる場合、頭つなぎはともかく、外合板は接合部で切れてしまいます。

このため、2×4の場合、無理に本体との間に合板をまたがせたり、頭つなぎを入れ込むよりも、本体とは別の構造体として本体に密着させる形で増築することが一般的です。このほうが強度的にも強くなりますし、作業も楽です。本体と増築部分の間に二重の壁ができることになり、材料も若干のロスがでますが、増築中に雨露の心配をする必要がなく、本体に手を加える必要もないことから、長い時間をかけてセルフビルドをする場合には最良の方法でしょう。この場合、あらかじめ増築が想定される部分の本体部にはできるだけ大きめの開口部(窓やドア)をとりつけておくことで、増築部と既設部分の往来はしやすくなり使い勝手もよくなります。

ただし、都市計画区域内に建てる住宅の場合、増築部分が全く別構造の構造体となる場合には、土地区分の種別(1種住専とか商業地域などの区分)によっては増築とはみなしてもらえず、新築として扱われる場合もありますので注意が必要です。建築基準法上、新築と増築では扱いが異なり、自治体によっては新築部分の建築条件を厳しくしている場合もあるためです。

 

A. 本体の一部として接合する場合のパターン(いずれも上図のような接合が必要)

B. 本体とは別の構造体として増築するパターン(別々の構造体として施工)

 

 

 

屋根の接合についても若干の補足をしておきましょう。ここでは詳しくは述べませんが、雨仕舞い用に加工した鉄板が多数市販されていますので、これらを活用するとともにシーリング材を用いてその隙間をしっかり埋めることが重要です。また屋根の勾配は可能な限り急勾配になるよう計画しておいたほうが良いでしょう。勾配がゆるすぎるとそこから横殴りの雨などの場合には雨水が浸入しやすくなるためです。屋根の接合は一見難しそうに思われますが、通常のカラーベストの屋根材とこれらの材料をうまく組み合わせればそれほど難しい作業ではありません。

 

 

                  各種の雨仕舞用鉄板

 

増築部の基礎については、下図に示すように本体部の基礎の横に二重に打ちます。この場合、本体の基礎を打つときに、増築を予定している部分のフーチングを多めに打っておけば、あとで増築部分の基礎立ち上がり部のコンクリートを打つのが楽になります。増築部のフレーミングは、この増築部の基礎の上に土台を設置してから行っていくことになります。

 

 

 

- Application END -

1