本編は、基礎知識編に引き続き、セルフビルドで家を建てようと考えている方々に、もう少し詳しい知識を持っていただくために書き下ろしたものです。しかし、更に本格的に取り組みたい方は、この中で紹介している参考図書などを入手され、更なる勉強をしていただくことをお勧めします。ただ、当面、セルフビルドとはどんなものかをアバウトで知りたい人は、本編に目を通されるだけで十分参考になると思います。
建築のプランニングや設計にあたってはどうしても専門的な知識が必要になりますが、建築士の試験を受験するのに必要なほど多岐にわたる勉強をする必要はありません。家一軒を建てるために必要なことだけに注意を払って集中した勉強をすれば、比較的短時間にその知識を得ることができます。これまでは専門家任せにしていた日本の家づくりは、自分でプランを立てて設計し、材料も自分に合ったものを探して自らの手で建てるというセルフビルドによる家づくりへと次第にシフトしてきています。すべて自分でやるというのはきつい面もありますが、安価な家が入手できるだけでなく、自分の好みにあった住まいを自分のものにできるという何ものにも変えがたい喜びを手に入れることができます。また、自分で家を建てる過程を経て得た知識は一生のものであり、一度建てたものを少しずつ手直ししていくことでより完成度の高い住宅に変えていくこともできるはずです。セルフビルダーは年を追うごとにその人口を増やしており、私はこうしたチャレンジャーが更に増えていくことで欧米の2倍ともいわれる法外な住宅が流通する日本の住宅事情を是正されていくのではないかと期待しています。
以下は本編の内容である「2×4工法の学習」に始まるセルフビルドの作業フローと目次です。目次の中の大項目は、その内容ページにリンクしています。本編の最後には、追加トピックとして、「セルフビルドに最適な住宅モデル集」を付け加えてあります。基本的には足場のいらない平屋住宅が中心ですが、二階建てとの組み合わせで更にいろいろなバリエーションが得られます。また、一度に建てるのではなく、少しづつ建増しをしていくことで、きつい作業も分散できます。ここでは、小さなユニットを組み合わせることにによってできる、さまざまなタイプ住宅を紹介しています。今後セルフビルドにチャレンジされる方には大いに参考になると思います。
それでは、「セルフビルド読本 応用編」楽しんでお読みください。
2×4によるセルフビルドの作業フロー
INDEX (目次)
第1章 2×4セルフビルドのプランニング (←第1章はここから)
(1)2×4工法の学習について
(2)敷地のチェック(建築基準法等に基づく適正規模・屋根形状等のチェック)
(3)間取り図の作成とチェック
(4)建築コストの検討
(5)概略構造検討(立体図作成・一次デザイン)
(6)壁量計算による構造のチェック
(7)施工図面作成指導or 設計図作成依頼
コースA.すべて自作、あるいは一部自作し、専門家がチェックする場合
コースB.すべて依頼する場合
(8)建物外観の再検討
(9)内装の検討
(10)設備選定
(11)建築コストの検討
1)購入先の検討
2)コスト計算
1.住宅グレードの検討
2.調査・設計費用検討
3.材料費検討
(1)構造用部材
(2)内外装材
4.仮設材料・工具購入・リース代検討
5.設備施工外注費検討
6.諸経費検討
7.付帯工事・備品費検討
8.総費用算出
(12)完成予想図の作成(最終デザイン)
(13)工程計画検討
(14)その他
第2章 2×4住宅施工の実際 (←第2章はここから)
(1)地縄張り
(2)浄化槽の設置
(3)水盛、遣方、根切り、地業
(4)基礎型枠組み、鉄筋組み立て
(5)基礎ベース部打設
(6)基礎立ち上がり部工事
(7)水回りの工事
(8)土間コン打ち、断熱
(9)土台、大引
(10)基礎パッキンと床根太
(11)耐震性、断熱材
(12)床下張り
(13)外壁の据付
(14)2階枠組み、小屋組み
(15)屋根工事
1)防水シートの敷き込み
2)屋根材の種類について
3)小屋裏換気について
(16)屋根下地、ホールダウン金物などの取り付け
(17)シロアリ対策
(18)電気配線工事ほか配線工事
第3章 セルフビルドに最適な住宅モデル集 (←第3章はここから)
(1)はじめに
(2)玄関ホールで分ける
(3)中庭を中心に分ける
(4)2階建てと平屋を分けて建てる
(5)ふたつの2階棟をつくる
(6)H型に構成する
(7)小さな平屋を組み合わせてつくる
(8)階段室を中心として配置する
(9)水回りをまとめた平屋から始める
(10)大きな吹き抜けのある2階棟と平屋をつなぐ
(11)片流れと切妻を組み合わせる
(12)シンプルな平屋を増築していく
(13)各種プランの実際の施工にあたって
1)LDKを最初に建てる
2)水回りがある家屋を最初に建てる
3)一戸建ての住宅として完成させる
4)増築における接合部の処理について
@本体の一部として接合する場合のパターン(いずれも上図のような接合が必要)
A本体とは別の構造体として増築するパターン(別々の構造体として施工)