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応用編 第3章 セルフビルドに最適な住宅モデル集 @

はじめに

セルフビルドで自宅や別荘を建てるとき、初めての人は誰でも「本当にできるだろうか」と不安になるものです。実際に始めてしまえば、最初の不安は何だったのだろうということになることが多いものですが、とはいえ仕事の都合や体調の変化などにより、当初予定していた工期が大幅に伸びることも考えられます。

こうした不測の事態を考え、できるだけ「段階施工」による工程の消化を考えておくことがセルフビルドにとっては重要と考えられます。しかし、一軒屋の大きな家を建てる場合には、段階施工といってもなかなか難しいもの。体力の不足や雨仕舞いの問題で途中で中断したくなっても、大きなものの場合なかなか軌道修正はできにくいものです。

そこで、本特集では、セルフビルドの段階施工がし易い住宅モデルを集めてみました。敷地に余裕がない場合には難しい場合もありますが、平屋を中心とした複数の建物「群」で一軒の家を構成する手法は、段階施工を可能とするばかりでなく、優れた居住空間をもたらしてくれます。平屋が中心なので、足場も必要でない場合が多く、セルフビルドをはじめて志す人にとっては、最適なプランでしょう。

各プランには、段階施工を考える場合の、切り離しライン(点線)が記入されています。この切り離し線ごとに個別の建物を建てていくことで段階施工が可能になり、セルフビルドはぐっとやりやすくなるはずです。施工の順番は、それぞれのプランで異なるとともに、同じプランであっても、水回りの建物を最初に建てたい、いや自信がないので、配管作業のない小さな建物から最初に建てたい、といった色々なシチュエーションが考えられるでしょう。自分が目指す住宅のビジョンも考えながら、それぞれのプランを検討していくのも楽しいでしょう。

ここでは、総床面積が100m2前後のものを集めてみました。大きすぎず、小さすぎない適度な大きさのものを選んであります。住宅としての居住性能も優れたものばかりですが、その特徴についての記述(解説)も加えてありますので、合わせて参考にしながら見ていってください。

なお、これらの各プランでは、実際に建てる場合に必要となる、構造計算(壁量計算)は終わっていません。ほとんどのプランはかなりの余裕をみて間取りや窓をレイアウトしてありますから、構造上厳しいというものはほとんどないと考えられますが、実際にこれを建てよう、という段階では、構造計やバランス計算をするとともに、住宅金融公庫仕様書などを参考にしながら、2×4住宅として問題点がないかどうかをチェックしてください。

それでは、「セルフビルドに最適な住宅モデル図集」、楽しんでご覧ください。

 

玄関ホールで分ける (L型プラン)

L型プランの特徴は、ふたつの直交する建物によって居住空間を分離できることで、異なった使用目的のゾーンを確保するための明快なプランといえます。

また、採光面や通風の面でも有利ですが、比較的長くなりがちな動線のつなげ方とふたつの建物の接合部の扱いが難しくなります。しかし、セルフビルドの場合、この接合部分を最後に建て、直交するふたつの建物を順番に建てていくことができるため、むしろ好都合といえます。リビングやキッチンのある平屋の部分は31.5m2と適度な大きさであり、初めてセルフビルドをやる場合には、最適な題材となるでしょう。

外観は、いずれも片流れ屋根として全体のバランスを確保しましたが、2階建て部分を切り妻屋根にしても良いでしょう。敷地に余裕がない場合には居間や、寝室、子供部屋の大きさを調整すると良いでしょう。

 

 

 

平屋棟:31.5m2

2階棟:58.0m2

総床面積:89.5m2

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