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応用編 第2章 2×4住宅施工の実際 A

6. 基礎立ち上がり部工事

ベース部のコンクリートの打ちこみ無事終了すると、立ち上がり部の型枠組みに入ります。既にベース部のコンクリートを打ち、平らな面ができていますから、この上に型枠を組み、コンクリートを流し込んで基礎の立ち上がり部を形成します。

公庫仕様書では、「基礎寸法は、 地面からの布基礎の立ち上がりは、400ミリ以上とする。 布基礎の立ち上がりの厚さは120ミリ以上とし、底盤の厚さは150ミリ以上、幅は450ミリ以上とする。また、根入れ深さは、地面より240ミリ以上とし、かつ、建設地域の凍結深度よりも深いもの、もしくは、凍結を防止するための有効な措置を講ずるものとする。」となっており、この仕様を満足しているかを、型枠の幅をあちこちメジャーで測定して確認します。業者によっては、1センチでも厚さを薄くして、生コンの量を節約しようというところもあるようですので注意が必要です。

また、型枠が動いたりしないようきちんと固定金具で留めてあるのが確認するとともに、高さについても、型枠内側のコンクリートが入る高さが仕様書通りになっているかを確認します。この高さは、鉄製型枠の場合には磁石でとりつけるレベラーで示されます。木製枠の場合はマジックで線を引いたり色々です。

ベース部の上に立ち上がり部をつくる理由は、防腐・防蟻対策及び湿気対策です。地面から近いと、換気効率も悪く、湿気が多くなるため土台や柱が腐りやすくなります。とくに本州南部の地方や、沖縄地方などはシロアリの被害が多いため、基礎の高さは十分に取る必要があります。

型枠設置の実作業ですが、まず、ベースコンクリートの上にきちんと墨を出します。既に立ち上がり部の鉄筋がベース部から上に突き出していますが、これを中心とした立ち上がり部左右幅に精度よく墨を出していきます。その上で型枠を組んでいきますが、ベースコンクリートがきちんと水平に打たれていないと、型枠との間に隙間ができてしまいます。コンクリートを打ったあとに、立ち上がり部が垂直になるよう、型枠の垂直も確認しながら作業を進めます。

また、アンカーボルトの位置と間隔についてもチェックします。アンカーボルトは、基礎と、基礎の上に乗る土台を繋ぐための金物す。アンカーボルトがきちんと施工されていないと、地震の時に土台が基礎から浮き上がったり外れたりしてしまいます。

アンカーボルトは隅角部と土台の継手に入っていることを確認します。隅角とは四隅だけとは限りません。東西南北の四隅以外にも、T字型になった部分や建物内部で基礎が交錯する場所にがあれば必要です。土台は必ずどこかで継ぐことになりますから、この継手位置にもアンカーを入れます。1本の土台の両端部には必ずアンカーボルトが入っている必要があります。

アンカーボルトの埋め込み長も重要です。公庫仕様書では24センチとなっています。土台と基礎パッキンを合わせた厚みなども考慮した上で、この埋め込み長を確保します。

次に、ホールダウンアンカーの取り付け状況をチェックします。これは、基礎と柱(縦枠)を固定するための金物です。ホールダウンアンカーを入れることにより、地震の際に、縦枠と繋がる耐力壁が引き抜かれる力に強くなります。公庫の仕様では、通常の2階建ての住宅には特にいれろという指示はありませんが、ホールダウンアンカーを入れることで住宅性能はぐっとあがります。ただ単に四隅に入れれば良いということではなく、建物が地震時などに引き抜き荷重を受けそうな重要箇所にはなるべく入れるようにします。

 

 

ところで、公庫仕様書ではアンカーボルトは、きちんと固定し、流し込んだ生コンによって動くことのないようにするよう指示しています。

ところが、生コンを流し込む時点では1本もアンカーボルトが取り付けられておらず、先に生コンを型枠に流し込んでしまい、生コンが固まり始めた頃合いを見計らって、1本ずつアンカーボルトを差し込んでいる業者さんがけっこういるのです。このアンカーボルト施工法は「田植え方式」と呼ばれており、いわゆる「手抜き工事」です。作業を業者に依頼する場合、現場でこうした手抜きがないかどうかに目を光らせることが必要です。

立ち上がり部のコンクリートの打設はベース部を打設したときと同じ要領です。

 

 

 

 

コンクリートを打設したあとは、公庫仕様書にもある、「養生」と呼ばれる期間を経てから、型枠をはずします。養生期間について割愛しますが、温度や期間について細かい記載がありますので注意が必要です。

養生期間が終了すると、型枠をはずします。いよいよ木工事のはじまりですが、その前に水周りの工事、床下断熱の作業を済ませます。

7. 水回りの工事

 

水回りの工事としては、外部水道工事、給水・給湯設備工事、排水設備工事などがあります。いずれも公庫の仕様に沿った形の工事になります。ここでは割愛します。

 

8. 土間コン打ち、断熱

玄関やポーチなどには「土間コンクリート」を打ちます。とくに玄関土間の場合は厚めの断熱材を入れ、コンクリートを打ちます。 玄関の土間コン打ちは、断熱の一環です。公庫仕様上の区分で言うと、断熱を施す部分には、外気に接する部分とその他の部分の二つがありますが、玄関やポーチは前者になります。

どの程度の断熱をするかについては、自分の家が日本全国のどの地域区分の中に位置するか、によって異なります。日本は地域によって気候の差が激しいため、地域毎に分けて仕様を決めているわけです。日本を大きく5つの地域に分けて、これを地域I(北海道)、地域II(青森県、岩手県、秋田県)などとしています。また、同じ県の中でも標高の高いところなど寒いところはより厳しい地域に入ります。多くの県が低基準の地域IVに区分されていますが、寒冷な地域では地域I〜IIIに区分され、より厳しい断熱性能が求められることになります。

使用する断熱材の種類もいろいろです。これは公庫仕様書の 「断熱材の種類」に記載されていますが、ここでは割愛します。大事なのは、充填断熱工法か外張断熱工法か、という区分で、一般的にはそれぞれ内断熱、外断熱と呼ばれています。

外断熱は建物の外側をすっぽりと断熱材で覆ってします断熱工法であり、建物内外の熱の移動をシャットアウトしやすいため冷暖房効果が高く、合理的といわれます。しかし、一方では、防腐・防蟻処理剤を施した構造材や接着剤を使用した構造用合板まで全て包んでしまうことになり、近年話題となることの多いシックハウスの問題には対処しにくいといえます。これに対して、一般的には壁の内側に断熱材を充填していく充填断熱工法は、施工も簡単で有害物質も拡散しやすくポピュラーな工法といえると思います。

いずれの工法の場合も断熱材の厚さが問題になりますが、例えば、地域Wに建設される一般の省エネルギー住宅(詳細版では詳しく説明)では土間床等の外周部で、外気に接する部分は50ミリ、その外の部分は15ミリと記載されています。したがって公庫仕様を上回る断熱性能を得ようとすれば、これより厚いものを用いることになります。

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2011-01-01