「構造用パネル」は、2×4工法による家づくりの必需品です。木をかつら剥きのようにして作った薄い板を何枚も重ね合わせて接着剤で張り合わせた板のことで、「構造用合板」ともいいます。重ね合わせる薄い板の繊維の方向は、互いに直交するように張り合わされます。こうすることで、1枚ものの板にありがちな反りや曲がりを少なくすることができます。強度の点についても割れにくく裂けにくくなるという特長が出てきます。
構造用合板は、合板の中でも特に強度の面に着目し、曲げ強度やせん断強度に優れた合板としたものを指します。床下張りだけでなく壁や屋根の下地張り材としても用いらます。強度や耐久性については、JASに規定されています。
さて、床下張り用の構造用合板の厚みは15ミリ程度のものを使用することが多いようです。厚ければ厚いほど強度が高くなります。等級などについては格付けを確認しておきましょう。JASのスタンプが押してあるのが簡単に確認できます。「1類 JAS 15mm」などとと記入してあり、その下に「1級」などとと書かれています。また、ホルムアルデヒドについて「F☆☆☆☆」などの表示がされていると思います。これらの違いについては「学習ガイドライン」では詳しく解説していますが、ここでは割愛します。
2×4で使う合板のサイズは、3×6(91cm×182cm)などのほかに、3×8、3×9といったサイズがあります。いずれも日本の尺モジュールに合うように作られたサイズです。日本の2×4では、従来の尺モジュールとの絡みもあり、3×6板が使われることが多いですが、輸入住宅では4×8板が使われています。サイズは当然4×8ヨンパチ板の方が大きく、強度的に優れています。また厚みもより厚いものが使われているケースが多いようです。
ここでも公庫仕様書の記述をみながら、合板の打ち方について確認します。
多くの場合、通常使用する構造用合板は厚さが15ミリ(本実加工済)で、通常は床根太間隔は500mm以下ですから受け材は必要ありません(受け材とは、床下張り材がたわむことのないように、根太の間にあらかじめ入れておく、下張り材を打ちつけるための木材。強度のない下張り材や薄い合板の場合には受け材を入れる必要がある)。
本実は「ほんざね」と読み、板の一方の断面をオス(凸)とし、反対側の断面をメス(凹)とする加工のことを言います。本実加工をした合板の凹凸部を嵌め込んでつないでいくことにより面としての高い強度が取れます。また気密も取れます。
さて、合板の張り方ですが、公庫仕様書に記載されているとおり、根太の方向に直交させて千鳥に張ります。合板などの板やパネルは千鳥に張るのが基本です。千鳥に張らず、平行に連続して張る張り方を芋張りと言います。芋張りで張ると、端の板を切り落とす必要がなく歩留まりが上がりますが、全体としての強度が落ち、床鳴りの原因になったりしますから、業者に依頼するときは芋張りになっていないかをよくチェックすることをお勧めします。
床下張り材の釘打ちについての公庫仕様書の記述は、「CN50を周辺部150mm間隔以内、中間部200mm間隔以内で床根太又は床梁及び受け材に平打ちする」、となっており、合板の厚さが15mmの場合は、釘はCN65、黄色の釘を使わなければいけません。次に、間隔は、公庫仕様では、周辺部150mm間隔、中間部が200mm間隔となっていますが、より安全をみて周辺部100mm間隔、中間部を150mm間隔で打つともっと丈夫になります。さらに、構造用合板は釘打ちだけではなく接着剤も使って根太に固定されています。接着剤を使用するとより床の強度が高くなります。床下張りにおいてはこのほかにも仕様書では書かれていないような事項がいくつかあり、学習ガイドラインでは触れていますがここでは割愛します。
床組みが無事終了したら、壁組に入ります。2×4では通常平らになった床の上で枠組みの組み立てを行ない、できあがった枠組みから立て起こして壁を作っていきます。しかし、ハーフビルドで建てる場合には、枠組みのほとんどは工場であらかじめ作っておいて、現場でクレーンを使って一気に組み立てます。このほうが、屋根が乗るまでの期間をできるだけ短くし、枠組みや床が雨に晒される期間をできるだけ短くできるわけです。
多くの場合、1階枠組みと2階床組みまでが1日で済んでしまいます。2階の枠組みまでも含めて1日で設置することも不可能ではありませんが、2階の床組みの釘打ちは人手で行なうため、時間の余裕を見ておく必要があります。なお、クレーンで枠組みを設置するためには、道路の幅が充分あることが必要です。前面道路幅のない敷地や入り組んだ敷地では、クレーンが使えないことがあります。甚だしい場合は、部材の搬入も人力で運び込まなければならない敷地形状もあり、コストがかかってしまいます。土地から選ばれる方は、こうしたこともある程度考えに入れておくと良いと思います。
さて、外壁の組み立て方法については、ここでは細かく述べませんが、ハーフビルドで施工する場合や、業者にフレーミングを委託する場合にどんな点に気をつけてチェックをすべき点を列記してみます。
・建物角部などの要所において、一枚ものの合板が使われず、数cm幅などの小さな合板がつぎはぎされていないかどうか。
・縦枠のかい木は適量が入っているかどうか。
・縦枠と縦枠の継ぎ目と下張り合板の継ぎ目が一致している箇所はないか。
・マグサ受けはきちんと入っているかどうか。
などです。2×4工法で合板を使う意義は、面により建物荷重の分散を図るところにあります。面を継ぐべき要所での結合がきちんとできていないと、十分な強度がでません。上述のように建物の偶角部のような要所で、合板が継がれていたり、縦枠と縦枠を張り合わせてつくる柱の真ん中などで合板が継がれているようでは困ります。これらについては、公庫仕様書でも述べられており、その記述を参考にしながらチェックしていきます。
外壁施工のポイントとしてはこのほかにも色々ありますが、例えば、根太や土台に打ちつけてある合板と壁枠組に打ってある合板のあいだには6mm以上の隙間を設けることになっています。2×4の場合、壁組みと床の構造は切れています。床の上に壁組みを載せて釘で固定していきますが、荷重がかかると枠と床の微妙な隙間は次第に詰まってきます。この隙間がない場合には合板の継ぎ目が盛り上がり、とくにモルタルで外壁を施工する際に問題となります。モルタルではちょっとした面のひずみにより、ひび割れが発生するからです。
合板の張り方にも注意が必要です。基本的には、コの字型、逆コの字型に窓を囲むように張るのが正しい張り方です。公庫仕様書の記述には明確に書かれていませんが、できるだけ一枚板で窓枠を囲むようにコの字型に張るようにし、窓の端のところでちょうど合板の端がくるような張り方はしないようにします。面積の大きい掃き出し窓の場合には、すべてをコの字にできませんが、その場合でも、窓の両端はコの字型(旗のような形)に張っていくのが正しい方法です。このほか、開口部については構造的にはかなり脆弱な部分になるということを理解しておくべきであり、しっかりと対策を講じ補強を行わなければいけません。公庫仕様書のこの部分に関する記述は非常に多いのでここではこれ以上は引用はしません。詳細版などを通読して、開口部を設ける場合は仕様書のどこにそれが書いてあるかをきちんと把握してみてください。
ところで構造的に脆弱という意味では、オーバーハングの部分も構造的に問題のある部分であり、2枚合わせの床根太を張ったりして補強します。また、オーバーハング下の開口部にあたる部分には、マグサとして大型の集成材やマグサ受けとして4×4材などが使わなければならなかったり、ホールダウン金物などで縦枠と基礎を緊結することが必要になります。耐力壁の上枠と下枠の釘打ちのチェックを必要です。上枠と下枠とは、枠組みの上下の2×4材のことです。
ハーフビルドでパネル施工する場合には、納入されてきたパネルの状態を見ればすぐに釘打ちのチェックができます。上枠および下枠からたて枠に向かって、赤い釘が2本づつ打ちこまれていることを確認するだけです。同じく合板も張られていますから、きちんとした貼り方になっているかは簡単にチェックできるでしょう。フルセルフビルドで施工する場合には、仕様書記述をみながら釘打ちの間違いの不足箇所
がないかどうかをチェックしていきます。ハーフビルドの場合もフルセルフビルドの場合も、隣あった枠組みの上枠をつなぐためには、「頭つなぎ」のために204材を用います。枠組みどうしをつなぐ大切なものです。
? ?? ?? 頭つなぎの継手は上枠や下枠の継手と離れた箇所で行われなければならないことが仕様書で確認できると思います。また、外壁と内壁が交差するT字部では、外壁の上側の頭つなぎが一旦そこで途切れ、そこに内壁側からの頭つなぎが割ってはいるような形になっていなくてはなりません。T字部を構成する内壁と外壁をしっかり結合するための頭つなぎであるためです。 ほかにも、耐力壁がT字に接合する場合や十字に交差する場合のチェックが続きますがここでは省略します。縦枠の構成に関しては設計士に依頼した場合には枠組み平面図という図面でもチェックすることができます。自分で設計した場合でも間違いのない施工をするためには必ず枠組み平面図を作成してください。2階の枠組みや開口部についての注意点は、1階と同じです。2階の枠組みが終わると、2階の天井の施工に引き続いて小屋組みが始まります。この2階の天井は、小屋組みの構造にもよりますが、天井をなくしてしまって、「勾配天井」とするプランもあります。勾配天井にすれば天井が高く見え、部屋が広く見えるというメリットがありますが、天井梁が無くなり強度的に不利となります。また、断熱・遮音でも面積が増え不利といえます。断熱をしっかり取っていない場合、天井と床の温度差が激しくなり、冬に足元が寒くなったりもしますので注意が必要です。
小屋組みには、たるき方式や屋根梁方式、トラス方式などがあります。フルセルフビルドで小屋組をする場合は、天井根太のあるたるき方式のほうが天井根太を足場に使えるために便利です。屋根梁方式は、妻小壁という壁を建物両端に作り、その上にしっかりとした梁を乗せる方式です。たるき方式も屋根梁方式も一番単純な切妻屋根とするのが施工の上でも簡単ですが、やや手の込んだ寄せ棟にすることも不可能ではありません。
屋根の形状には、切妻、寄せ棟のほかにも片流れ、陸屋根などいろいろとありますが、切妻屋根は、もっとも雨仕舞いが良く、断熱、遮音、換気など様々な面から見て構造的に安定していると考えられます。
ハーフビルドの場合には、工場生産したトラスを現場で組み立てるトラス方式となります。それぞれの方式については、公庫仕様書に詳しく記載されていますが、台風などの大風によるあおりなどで屋根が傷むケースや地震時などに小屋組みが歪むケースなどが想定されますので、随所で金物や補強材をきちんと使ってあるかどうかが重要なチェックポイントとなります。
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2011-01-01