テキサス州はそのサイズが大きいことと多くの気候帯が交差する場所にあるために非常に変化しやすい気象です。州西北部のパンハンドル地域の冬は州北部よりも寒く、メキシコ湾岸では温暖です。
降水量についても地域での変化が大きく、州最西端のエル・パソでは年間降水量が年間200 mm にしかならなりませんが、南東部のヒューストンでは1,370 mm)にも達します。
雷雨は特に州東部と北部で多く、テキサス州北部を「竜巻道」が通っています。アメリカ合衆国内でも竜巻の発生回数が多い州であり、年平均139回となっており、竜巻は北部とパンハンドル地域で多く発生しています。年間では春先の4月、5月および6月に発生回数が多くなっています。
写真はテキサス州のどこだかわかりませんが、パンハンドルか、やはりこうしたテキサス州北部の地域でしょう。1936年の3月に撮影されたものです。
さらにテキサス州はハリケーンの来襲も多い州です。アメリカ合衆国史の中でも破壊度の大きいハリケーンが過去に何度もテキサスを襲っています。1875年のハリケーンではメキシコ湾岸インディアノーラで約400人が死亡し、1886年にもう一度インディアノーラを襲ったハリケーンは町全体を破壊し、現在はゴーストタウンになっています。
1900年のガルベストン・ハリケーンでは、ガルベストン市民約8,000人(12,000人の可能性もある)が死亡し、アメリカ合衆国史で最大の自然災害になっています。その他大きな被害を出したハリケーンとしては、1957年に死者600人以上を出したハリケーン・オードリーなどもあります。
このように気候の厳しい場所ですが、実は人口はカリフォルニア州、面積はアラスカ州に次いで全米第2位の州です。「テキサス州は南にメキシコを接しており、ここからの越境者が多いためと考えられます。
「シックス・フラッグス・オーバー・テキサス」という言葉はテキサスを支配したことのある6つの国を表している。テキサスの地域を最初に領有権主張したヨーロッパの国はスペインでした。フランスが短期間の植民地を保持した。続いてメキシコが領有しましたが、1835年に独立してテキサス共和国となりました。
1845年にアメリカ合衆国28番目の州として併合され、それが1846年に米墨戦争を引き起こす一連の出来事となりました。奴隷州だったテキサス州は1861年初期にアメリカ合衆国からの脱退を宣言し、南北戦争の間はアメリカ連合国に加盟していました。戦後は合衆国に復帰したものの、長い経済不況の期間を過ごしています。
南北戦争後のテキサス州を繁栄させた産業は牛の牧畜でした。牧畜業の長い歴史があるためにテキサスはカウボーイのイメージと結び付けられることが多いものですが、1900年代初期に油田が発見されて州の経済が成長し、経済構造が変わりました。
20世紀半ばには大学に大きな投資をしたこともあり、多くのハイテク企業を含む多様な経済に発展した。今日、フォーチュン500に入る企業の数では全米のどの州よりも多くなっています。
各産業は成長を続けており、農業、石油化学、エネルギー、コンピュータと電子工学、宇宙工学およびバイオテクノロジーの分野で先頭を走っている。2002年以来輸出高でも国内をリードしており、州総生産(Gross state product)は国内第2位です。
歴史的にテキサス共和国として独立していた事もあり、テキサスでは州に対して強い愛着を持っている人々が多いようです。現在の州旗になっているテキサス共和国時代の旗は、学校や店、ピックアップトラックのリアウインドウなど、至る所で見かけることができます。また、「NATIVE TEXAN」というステッカーを張り付けている車も見かけることができます。
観光名所というのはあまりありませんが、州南部のサンアントニオは、テキサスの心、「アラモ砦」があります。ここは、元々1700年代にキリスト教の伝道所ミッションとして建てられました。
1836年のテキサス軍とメキシコ軍が戦ったアラモの戦いで舞台になり、テキサス軍がメキシコ軍を圧勝。テキサスはテキサス帝国としてメキシコから独立しました。1845年にテキサス帝国がアメリカ合衆国に合併された後、南北戦争までアメリカ軍の施設として使われ、現在はアメリカの史跡として残されています。
また、サンアントニオは、テキサス第2の都市であり、カリフォルニアがゴールドラッシュで湧いた1800年代後半、東海岸から一攫千金を目指した人々の宿場町となり、栄えました。かつてここがメキシコだった時、テキサス軍が政府と戦い独立を勝ち取ったテキサスの人々にとってとても思い入れのある場所であり、そうした史跡があちこちにあります。
このほか、牛の放牧業が重要な産業の一つであることから牛肉の消費が盛んであり、ステーキ、バーベキュー、ビーフジャーキーなどが大人気です。タコスやブリート、ナチョス、チリコンカーン、フリホレスをはじめとしたテクス・メクス料理は郷土料理の一つです。
テクス・メクス料理専門のレストランもとても多く、州東部の食文化は南部料理との共通点が多く、ルイジアナ州と接する地域はケイジャン料理の影響を受けます。
西海岸までいったら、ぜひテキサスまで足を延ばしてみてください。