アニマルコスプレ

AN--15この写真を撮影した、写真家の“ハリー・ウィッティア・フリーズ” は、1879年6月8日ペンシルバニア生まれ。こうした「アニマルコスプレ」写真の撮影を開始したのは、1905年、26歳のころとされています。

この当時、アメリカでは写真機の普及が進み、当ブログや、サイクロス・デポでも掲載しているような多数の写真が巷にあふれました。また、同時にこうした写真をハガキに転載した、いわゆる「絵葉書」が流行し、ハガキは私的な通信手段のみならず時候のニュースを伝えるメディアとしても発達しました。

ハリー・フリーズの写真もまた、この絵葉書ブームに乗ってかなり売れたようで、おそらくそれまでは「売れない写真家」の一人だったと思われますが、これを機に名も知られるようになり、大きな収入を得るようになったようです。

しかし、晩年の60を過ぎたころに、奥さんや子供などが相次いで亡くなり、天涯孤独になったようで、これを機にフロリダに移住。以後はひきこもり生活をしながら写真をとりつづけましたが、その後癌にかかり、これを苦にしたのか、1953年に自殺。享年74歳でした。

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死後25年ほども経った1970年代後半に、彼が撮影した写真が古写真のコレクターによって発見され、彼が生前に撮り貯めていた動物写真が写真集として再発行されると、脚光をあびて人気を呼びました。

「人間嫌い」の一面もあったようで、その反動が動物への愛情へ向けられた結果、こうした傑作が生まれたといえるでしょう。

彼はこうした動物写真を撮るに当たって、次のように述べています。

「ウサギは衣装を着せて撮影するのが最も簡単ですが、人の手足のような部分を取ることが難しい。一方、子犬はその性格を理解して正しく扱ってやれば良い写真が撮れます。そして子猫は、最も多才な「俳優」であり、その魅力を最大限引き出せるような、さまざまな能力を持っています。」

薄暗い撮影場に一人立つフリーズの前で、人間の洋服を着せ替えられて遊ばれているようにも見える、ネコやイヌ。少しはにかんでいるようにも見えますが、決して嫌がってはいない、その姿になぜか誰もが思わず微笑んでしまいます。

が、闇に輝いてみえる幻のようにもみえ、その側でフリーズが笑っているような気がするのは気のせいでしょうか。

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