富士マイカー登山

昨日、富士の高嶺にはまた雪が降ったらしく、ほんの少しですが白っぽくなっています。これから涼しくなっていくにつれ、ますます白くなっていくのでしょう。そんな様子が毎日見れるのは楽しいことです。

この我が家から見える富士、すなわち静岡県側からみえる富士山は、通称「表富士」というのだそうで、逆にその裏側、つまり山梨県側からみえるのは「裏富士」と呼ぶようです。

富士吉田市にある正福寺というお寺に保存されている、「八葉九尊図」という地図絵(伝1860年作)には、「するが口表」という表記があるほか、江戸時代に甲府に派遣されていた幕府の役人が書いた地誌、「甲斐国志(1814年完)」でも、「南面ヲ表トシ、北面ヲ裏トスレドモ、…」と書いてあり、このように、江戸時代にはすでに富士山の南側が表、北側が裏とする考え方は一般的な認識だったようです。

これとは別に「裏富士」という言葉もあり、かの有名な葛飾北斎の「富嶽百景」では「裏不二」という作品や、同じく北斎の「冨嶽三十六景」の中にも「身延川裏不二」という作品があります。このほかにも、歌川広重の「不二三十六景」「甲斐夢山裏富士」などがあり、江戸の絵師たちにも、南側が表で、北側がが裏だという認識が浸透していたようです。

ま、山梨県側の方からすると、裏だ裏だと言われるのはなにやら不愉快なかんじがあるのではないかと思うのですが、世間一般の通称だと思っていただき、納得してもらうしかしかたがありませんね。とはいえ、山梨県民はあまり、「裏富士」という言葉を使わない、ということを聞いたことがあります。やはりそれなりにコンプレックスを持っていらっしゃる方も多いのではないかと拝察……

あまり山梨県の方の県民感情を逆なでにするような話題はやめましょう。

さて、歩いて富士山に登ることのできるシーズンもそろそろ終わりということで、これから先は、クルマで五合目まで行くことしかできなくなります。

しかし、富士山にクルマで登れるルートっていくつあるんだろう、また、冬になったら閉鎖されるんだろうが、いつまで登れるんだろう、と気になったので調べてみました。

すると、まず、登山口としては、吉田口、河口湖口、富士宮口、須走口、御殿場口の五つがあるようです。

吉田口というのは、富士山北西部にある富士吉田市から延びる有料道路、「富士スバルライン」の起点で、河口湖口というのは、同じく富士スバルラインへアクセスする道路が河口湖付近から出ているのでそう呼ばれているだけで、実質、この二つの登山口から登るルートは一つで同じです。

富士宮口というのは、富士山の南西部に位置する富士宮市から北東へ延びる、県道180号線の起点で、ここを発するルートは、通称「富士スカイライン」と呼ばれています。また、富士山南東部の御殿場口から延びる県道23号線(途中から県道152号線)も「富士スカイライン」と呼ばれていて、このふたつは富士山のほぼ真南にある「十里木高原」付近でぶつかりあい、ここから一緒になって北へ方向を変え、富士山五合目に向かいます。

この合流点から、富士山五合目までは、県道152号線という名称になっていますが、これも通称は「富士スカイライン」です。富士宮口からの180号線も富士スカイライン、御殿場口からの23号線(途中から152号線)も富士スカイライン、なので、ややこしくて仕方ありません。

実は、御殿場市と富士宮市を結ぶ区間と、この途中から富士山五合目まで向かう道路は全部合わせて、「表富士周遊道路」と呼ばれ、かつてのその愛称が「富士スカイライン」でした。かつては有料道路でしたが、公団の債務が完了したので、県に払い下げられ、無料区間になりました。

御殿場と富士宮を結ぶ区間を「周遊区間」と呼び、23号(152号)と180号の合流地点の富士山二合目から新五合目に至る区間は「登山区間」と呼ばれています。富士宮側、御殿場側、どちらから登っても五合目に到着できますから、あとはお住まいの場所次第で出発点を決めていただくことになります。

次の須走口。これは、富士山の東側を南北に走る、「東富士五湖道路(有料)」の須走インターチェンジあたりを始まりとするルートの起点で、このルートは「ふじあざみライン」こと、県道150線です。当然無料。

御殿場口。これはさきほど説明しました。御殿場市内から西へ延びる23号線を辿ると、西から来る180号線とかち合い、ここから五合目まで登れます。

なお、富士山南麓にある「富士サファリパーク」のすぐ北側からは、「南富士エバーグリーンライン」という有料道路があり、これは、東側の御殿場から来る県道23号線まで伸びており、23号線こと、富士スカイラインに合流できます。

その起点には、富士サファリパークや「富士山こどもの国」などのレジャー施設があり、富士市や裾野・三島市あたりから、これらの施設目当てにやってきた観光客を富士山に誘うための道路みたいです。名古屋方面から来る人にとっては、サファリパークなどで遊んだあと、御殿場まで行かずに富士スカイラインに行ける「バイパス道路」的な存在なので、時間を節約したいときは便利かもしれません。

以上を整理し、途中の行程距離、到達できる富士山五合目の高さを調べてみました。以下のとおりです。

吉田口(河口湖口)通称・富士スバルライン(有料) 約30km 2305m
須走口 県道150号、通称・ふじあざみライン、約12km 2000m
富士宮口 県道180号、途中から152号 通称・富士スカイライン、約36km、2400m
御殿場口 県道23号、途中から152号、通称・富士スカイライン約33km 2400m

ただし、吉田口は、河口湖起点、須走口は、富士五湖周遊道路・須走IC付近起点、富士宮口は、富士宮市内起点、御殿場口は御殿場市内起点です。富士宮口起点と御殿場口起点のルートは最終的には同じ場所まで行きますので、到達できる標高は同じです。

こうしてみると、一番距離が短いのは、ふじあざみラインということになりますが、須走へ行くにはどのみち御殿場や富士吉田を通らないといけないので、これらを起点とするとあまり距離は変わらなくなります。しかも、到達できる高さは2000mまでです。この高さだと、関東平野は見えないかもしれませんね。もう少し標高が欲しいところです。到着点の駐車場は駐車可能台数が少ないそうで、注意が必要です。

吉田口の富士スバルラインは、2300m付近まで登ることができます。位置的には富士山のほぼ北側になるので、南アルプス連峰や八ヶ岳などがきれいに見えるらしいです。行ったことがないのでよくわかりませんが、関東地方は見えないのではないでしょうか。マイカー規制のない週末は大渋滞を起こすことがあるそうなので、行くなら平日がよさそうです。

富士スカイラインは、一番高い標高までクルマで登れて、しかも無料というのがうれしいですね。しかもこの標高、2400mは自家用車で行ける日本最高地点だそうです。アクセス距離はそれなりに長くなり、ロングドライブになるでしょうが、おそらく眼下には駿河湾や伊豆半島が一望に見えるのではないでしょうか。もしかしたら、箱根山も見えるかも。

新五合目には約500台分の無料駐車場や、トイレ・土産物売場・食堂などの施設、山麓とを結ぶ登山バス(富士急)のバス停があるそうです。ただし、この登山道、一応全線二車線なのですが、中盤辺りからヘアピン状のカーブが連続するとかで、運転には注意が必要です。また、この道路も週末は大渋滞を起こすことがあるそうなので、これを通るならば、行く日を選んだほうがよいでしょう。

ちなみに、「五合目」と呼ばれているのは、富士スバルラインの終点だけで、富士あざみラインと富士スカイラインの終点は、どちらも「新五合目」と呼ばれています。なんで、新五合目がふたつもあるんだよ、と突っ込みたくなります。あとから出来上がったので、「新」なのでしょうが、どっちが先にできたのかは知りませんが、それならややこしいから、どちらかが「新々五合目」にすればよかったのに、と思うのですが。

いずれの登山道も、最近の富士山ブームで、週末にはとくに混雑が激しいようです。とくに、7月からの山開きのあとは、五合目でクルマを止めて、そこから頂上を目指すハイカーが多いことから、7・8月の特に混雑する時期には、マイカーでの登山を禁止しています。

たとえば、富士スバルラインでは、今年、7月14日~16日までの連続3日間と、8月4日~15日までの連続12日間、マイカーでの登山を禁止し、この間は、シャトルバスを運行しました。

富士スカイラインの富士宮口からのルートと、ふじあざみラインも、今年、7月13~16日、20~22日、7月27~8月19日、8月24日~26日と、マイカー規制しています。富士スカイラインの場合、マイカー規制時には、御殿場区間にある水ヶ塚駐車場より登山バスおよび登山タクシーが新五合目まで運行されます。

これらの夏季のマイカー規制は、例年実施日が違うようなので、注意が必要です。

さらに、いずれの登山道も、冬季になると積雪が多くなるため、いずれの登山道も、11月の下旬から4月の下旬までは、登山道の起点を閉鎖し、クルマが入山できなくなるようにしています。

冬の間は空気が透き通って、眺めがよさそうで、この時期がみなさん、ほんとうは一番登りたいときなのでしょうが、場所が場所だけに仕方がないところです。

さて、自分でドライブがてら富士山に登ってこようかな、などと考えていたので、いろいろ調べていたら、それだけで結構な分量になってしまいました。みなさんのご参考にもなりましたでしょうか。もし、これを読んで、富士山まで行ってみようと思われる方は、あとは、地図をしっかり見くらべてみていただき、どのルートで行くか決めてください。

あ、そうそう、五合目は寒いですよ。9月のこのころでも、最高気温は14~15度くらいのはずです。朝夕はもっと寒いでしょう。さらにこれが、10月、11月になると、0度近くにもなります。くれぐれも温かい恰好をしていってくださいね。風邪をひかないように、いってらっしゃーい。