サマータイム

暑い日が続きます。昨日は所要があって三島まで行きましたが、車載の温度計が示す外気温は夕方近くまで35度から下がらないまま。大仁へ帰ってきてからも同じ温度でしたが、我が家のある山の上まで帰ってくると、30度になっていました。5度も下がったのには少々びっくり。山の上、おそるべし、というかんじ。

夜半になると、26度くらいまでさらに温度は下がり、おかげでこの日もクーラーなしで過ごせました。が、逆に夜が過ごしやすいということは、夜更かしの原因にもなりがち。タエさんは、サッカーのスペイン戦に夢中になり、寝たのは4時すぎ。真夏の夜更かしは体調不良のもと。みなさんも気をつけましょう。

イギリスとの時差

それにしても、オリンピックがもうすぐ始まるし、このあとしばらくは、寝不足は必至ですね。イギリスとは、時差が-8時間だそうで、ということは、あちらで夕方から始まる競技が日本では真夜中すぎということに。さきの北京オリンピックでは時差がほとんどなく、寝不足になったような記憶がありませんが、今度ばかりは避けて通れないイバラの道?になりそうです。

ところで、手元の世界時計をみると、イギリスとの時差は、マイナス9時間になっています。なんで、8時間なのかな~と考えたところ、あっそうか、サマータイムか、と気が付きました。夏の間だけ、時間を進めて、早起きを促す、という例のあれです。

日本でも全国的に導入するかどうかが議論されているようですが、福島原発の事故の影響もあり、電力不足を補うために、独自に導入を決めた市町村や企業もあると聞きます。私自身も、アメリカに住んでいたことがあるので、サマータイムを経験したことがあり、その適用の季節になると、腕時計の針を一時間進めたのを覚えています。

その効果は?

早起きの私としては、私のペースに合わせてくれているような制度なので大歓迎で、この季節になると、ずいぶん一日を有効に使えたような気持ちになったものです。が、逆にサマータイムが終わると、時間を元に戻すので、何やら損をしたような気持ちにも。ま、それはともかく、サマータイムってなかなか良い制度だと思うのに、なんで、日本では導入しないのかな~と常々思っていました。

ウィキペディアによると、導入による効果としては、

・明るい時間を有効に使えるので照明の節約になる。
・交通事故や犯罪発生率の低下。
・活動時間が増えることによる経済の活性化。
・午後の日照時間が増えることによる余暇の充実。

などがあるようですが、個人的には、この最後の、日照時間が増えることによる効果が一番だと思います。余暇に使うかどうかは別として、その日の持ち時間が増えるというのは、いろいろな面でお得だと思います。

私の場合、アメリカにいた時分は学生だったので、その分、余計に勉強しなければならない、という場合もありましたが、普通に勉強したあとでも、ビーチへ行ったり、ジョギングをしたりしてもまだ夕食までに余裕がある、ということで、なかなか良い制度だと思っていましたし、実際に時間を有効利用でき、大変重宝しました。

こんなにいい制度なのになんで反対するのかな~と思うのですが、反対意見としては、

・明るいうちに帰宅すると、暑い時間を家で過ごす時間が長くなるので、冷房による電気の使用量が増える。
・コンピュータを利用する際のOSやソフトウェアの更新のための移行コストがかかる。
・時刻切り替え時に一時的に交通事故が増加する。
・日本の場合、サービス残業の温床になりかねないという指摘もある。

などなどです。なんか、もっともらしい理由ですが、難癖つけてるよなーという気がしないでもない。冷房なんて、つけなければいいじゃん。サービス残業? 会社が儲かるから景気がよくなるのでは、と勝手なことを思ったりする。OSなんて、企業努力でなんとでもなるんじゃないでしょうか。2000年問題だって、それほど深刻な問題は発生しなかったような記憶があります。

が、交通事故が増える、というのなんでしょう。よくわかりませんが、通勤時間帯が変わるので、時間が変わったことに気が付かないで、あわてる人が増え、交通が混乱する、ということなのでしょうか。本当だとしたら、対策は必要ですね。サマータイムを導入したら死亡事故が増えた、とかいうのは困ります。

導入国

現在、サマータイムを実施しているのは、アメリカ合衆国、カナダ、メキシコ、ヨーロッパ各国、オーストラリア、ニュージーランド、ブラジルなどですが、国土の広い国も多いので、地域の事情に応じて実施しないところもあるようです。

それにしても英語圏が多いのは、なぜなのでしょうか。よく欧米諸国、といいますが、経済圏が一緒だから、という感覚なのかも。

逆に、実施していないのは、これ以外の国、ということになるのですが、かつて実施していたのに、やめてしまった国としては、ロシア(1917年-2011年)、日本(1948年-1951年)、香港(1941年-1979年)、韓国(1987年-1988年)、中国(1986年-1992年)、台湾(1945年-1979年)など、アジアの諸国が多いようです。

日本では、太平洋戦争に負け、連合軍により占領統治された時期のうちの4シーズンだけ、サマータイムが実施されました。1951年に占領を終了させるための講和条約が締結され、その翌年には日本政府による統治が復活したため、夏時刻法は廃止されましたが、以後、日本では法律に基づく全国一斉の本格的なサマータイムは実施されていません。

しかし、わたしのようなサマータイム賛成派も多いようで、1995年頃からは省エネなどを名目としたサマータイムの再導入が一部の国会議員を中心に検討され始めています。

日本経団連も、2007年にが自由民主党に対して夏時間の導入を提案しており、経団連はこの年の8月の1か月間、日本経団連は経団連会館内で、サマータイム勤務を実施しています。

自民党の福田元総理理や麻生元総理、そして民主党の鳩山元総理も、サマータイム賛成派で、サマータイムを導入すれば経済効果が高いと認識を示していたようで、日韓同時に導入したらどうかというような検討もしていたようです。が、その後の政変やら消費税問題やらでその議論もどこかへ行ってしまい、今はサマータイムのサの字も国会答弁で出てきやしません。

導入に向けて

経済評論家で、経営コンサルタントの大前研一さんは、かつての連合軍統治時代のサマータイムがなぜ廃止になったのかについての理由を「貧しかったから」だと指摘しています。サマータイムが導入されてい時期は、戦後すぐの混乱期であり、国民の栄養状態をどう改善するか、欠食児童をどうするかといったことがまだ真剣に議論されていた時代です。そんな時代にあって、「ゆとりを持って時間を過ごそう」という趣旨のサマータイムが合うはずがなかったからだというのです。

そして、「食べものに困らない現在であれば、ビジネスパーソンも「日が高いなら、もう少し余計に遊ぼうか」ともなるだろうし、それは景気の活性化にも寄与しよう。」とおっしゃっています。同感。

そして、大前さんは、サマータイムの導入によって、日本の生活サイクルを一度変えてみたらよい、ともおっしゃいます。道州制の導入も含め、今の日本には大きな変化をもたらすきっかけが必要で、日本人はそういう大きな変化を経験したほうがよいといいうのです。大切なのは、まずやってみること。そして駄目なところがあれば直していけばいいのであって、一度導入した上でサマータイムの効果測定をやり、どのよううな効果があったのか検証すべきだともおっしゃいます。これまたしたり、です。

そして、一番説得力があると思ったのは、「夏になると4時から太陽が昇っているのにあなたは6時に起きていますね。陽が昇ってから2時間も寝ているのはもったいない。むしろ陽が昇ってから1時間で起きるというのはどうですか?」という理屈です。これなら、反対派も納得するのではないでしょうか。

サマータイムに反対している人の多くは、サマータイムの導入が年間を通じてだと勘違いしている人も多いと聞きます。サマータイムが夏の間だけの事だけなんですよ、と理解した上で、大前さんのおっしゃるように、ともかく、まずやってみる、というのが私も良いと思うのですが、みなさんはどうお思いでしょうか。