決断!

大見川沿いの高台の別荘地 眺めはよかったのだけれども・・・

N社さんのMさんのご案内で、修善寺のいくつかの物件を見てから、4日後。朝から良い天気で、どうやら梅雨が明けたような雰囲気。この日は、再度Mさんのご案内でいくつかの物件を見ることにしていました。先日の修善寺視察から自宅へ帰り、再度N社さん扱いの案件や他の物件を探してみましたが、いくつか気になる物件があったので、現地で確認しようということになったのです。

実は、先だっての修善寺行きから帰ったあと、タエさんの心境に大きな変化がありました。現場をみたときには、あまりピンとこなかった例の保養所が、自宅へ帰ってから良く考えると、なかなか良い物件に思えてきたというのです。大量の書籍や他の荷物が多い我々にとって、保養所物件の広さは申し分ないし、建物自体も新しく、敷地面積も十二分の広さ。加えて伊豆の「へそ」ともいえる修善寺の中心部から車で10分程度の距離にあり、別荘地内にはバスも通っていて、仮にここで歳をとったとしても、あまり不自由を感ぜずに暮らしていけそう、というわけです。無論、この変化は私にとっても大歓迎。

しかし、決断を下すには、もう一度案件の細部を見る必要があり、その際、他の物件も見せてもらって、比較した上で決めよう、ということになったのです。

その日、Nさんと待ち合わせたのは、保養所から更に東の山奥に近いところにある物件で、「伊豆パールタウン」という名前の別荘地です。別荘地内はよく手入れされており、道幅も広く、林間に立ち並ぶ数々の別荘地はみんな比較的新しいように見受けられました。希望して案内してもらった物件もかなり新しく、築後10数年ということでした。間取りはやや少ないものの、日当たりもよく、温泉もついていて住みやすそうな雰囲気。敷地は平地で、かなり広い庭があるため、建増しも可能と見受けられました。しかし、残念ながら保養所のようにべた基礎ではなく、布基礎。また、林間にあって静かな立地ではあるけれども、とくに富士山が見えるわけでもなく、自分達がどこに住んでいるのかさえもわからなくなってしまいそうな雰囲気。

心には響く物件ではあるのだけれども、保養所と比べると、今一つだなぁというかんじ。この物件のほかにも、同じ敷地内の物件を外部から見せてもらいましたが、やはりピンと来ません。別荘地そのものの雰囲気は悪くないのですが、いかんせん、修善寺の中心地からかなり離れたところにあり、買い物なども便利が悪そうです。

その日は、このあと、もうひとつ近くの物件を見せてもらいました。それは、N社さんのHPをみつけたとき、最初に目をつけた物件のすぐ隣にあった物件。最初に目をつけた物件は、もうすでに買い手がついていたのですが、前回、Mさんに案内していただいたときに、参考までに案内してもらいました。そのとき、そのすぐ隣にも別の物件があり、もうすぐ売り出るという話を聞いていました。それがこの物件。

修善寺の東側へおよそ車で15分ほど行った場所の高台にあり、狩野川の支流の大見川という川沿いにあります。急な斜面の上に建てられたその物件からは、この大見川沿いの平野とその斜面に建っている数々の別荘地を望むことができ、富士山こそは見えませんが、なかなかの開放感がありました。

しかし、先ほどの物件ほど新しくもなく、またやはり利便性はいまひとつ。最終的な決断を下すとして、やはり交通が良く、買い物、食事処などの施設が近くにあるということは大きなポイントになります。今はまだ若いけれども、歳を重ねるにつけ、こうした山の斜面にある住宅に住まうというのは苦になっていくに違いありません。最終的な住まいを決めるとき、建物や土地そのものの魅力よりも、やはりその周辺の環境というものは大事になってくるだろう、とこのとき思いました。

そして・・・その日最後に見せてもらうことになっていたのがあの保養所。保養所に到着し、早速中を見せてもらおうと思ったそのとき、Mさんが、「中を見る前に、修善寺の町の主だったところをご覧になってみてはどうですか?私の車で案内しましょう」、とおっしゃいます。たしかに、まだ修善寺の町はじっくり見ていなかったし、「周辺の環境」という要素が大事なことを先ほどの物件をみたときにちょうど感じていたので、渡りに船ということでお申し出を受けることにしました。保養所のある山の上からふもとへ下り、病院や市役所、警察署、主だったスーパーなどをざっと見せてもらいましたが、実感として、ここはかなり便利だ・・・と思いました。

修善寺のすぐ隣には大仁(おおひと)という町がありますが、伊豆半島では沼津や三島に次いで大きな町。昔、金山があり、今は廃坑になっていますが、そのために栄えた町のようです。ここには、アピタという大きなショッピングセンターや、ホームセンター、本屋のほか、ユニクロやブックオフといったメジャーな施設が集積しており、保養所のある山を下れば、どれにも十数分で行けます。

別荘地内には、一日の本数は少ないけれども修善寺駅までバスが通っており、いつもは自家用車を使う我々ですが、電車を使って遠出をするときなどには便利に違いありません。

ひととおりの周辺環境を見せてもらったあと、ようやく保養所へ戻り、家の中へ。その日ももう5時を回っていましたが、梅雨が明けたらしく、外はまだかなり明るく、保養所の中も電気をつけなくても十分にあちこちを見ることができます。

前回チェックできなかった細部を確認し、庭にも出て、雰囲気を味わいます。今日は富士山は見えませんでしたが、遠くに見える伊豆の山々の緑と空をゆく雲の白さが目に沁みるようです。目をすぐ下に向けると、この別荘地の家々が見渡せるのですが、すぐ真下にある老人保養施設のかまぼこ型の屋根が周囲と少しミスマッチングな感じ。しかし、それを除けばなかなかの開放感があります。玄関先の庭にはかなり草が生えていますが、一面の芝生になっており、草をきれいに刈ったら気持ちよさそう。ここにテーブルと椅子を置いて、お茶を飲みながら富士山が見えれば最高です。

そして・・・我々二人が下した決断は・・・ここを買おう!でした。一階のリビングで、その旨をMさんに伝え、具体的にどういう手順で購入するか、について相談したところ、まずは地元の銀行を紹介してくださるとのこと。よく知っている銀行マンに連絡をしておくから、後日彼と電話ででもよく相談してみてくださいとのことでした。

時刻はもう6時を回っていました。少し回りが肌寒く感じるくらいの気温となり、そろそろ、東京へ帰らなければならない時刻です。Mさんにお礼を言い、保養所を後にし、帰京の途へ。長かった家探しの旅もようやく終わりを告げようとしています。しかし、まだローンの設定やリフォームなど数々の問題が。しかし、そういう問題もきっとクリアー出来るに違いないという確信が二人にはありました。その日の帰宅は10時過ぎ。疲れてはいましたが、長い旅を終えてようやく安息の日々を迎えることができる、という充足感でいっぱい。お祝いと称して、少しお酒も飲んで、その日の夜の眠りはいつになく深いものになりました・・・