植物は語る

ここ二日ほどは、オリンピックの結果をみようと、深夜遅くまで起きていました。おとといの、サッカーの女子、スウェーデン戦は惜しかったですね。点が入らない試合というのは、なかなか緊迫感があっていいのですが、応援している力の抜きどころがなくって、疲れてしまいます。一点でいいから、スカーッと点を入れてほしいものです。

ところで、今回のオリンピック競技は、無論、ロンドンを中心とした地区で行われるようですが、先日行われたサッカー男子の予選においては、日本×スペイン戦がスコットランドで行われたようですね。この試合、優勝候補のスペインに勝利したことは記憶に新しいところ。今後とも男女ともに勝ち進んで、久々にサッカーでのメダルを見たいものです。

スコットランド

スコットランドといえば、古くから妖精や魔女の伝説や幽霊の話などが伝えられ、スピリチュアルな話題にはことかかない、「スピリチュアルワールド」としても有名です。

例の「ハリー・ポッター」の作者J.K.ローリングさんが、その第1作目「ハリー・ポッターと賢者の石」を書き上げたのもスコットランドの首都、エジンバラだそうで、ハリーポッターといえば、魔法を操る少年少女のお話ですよね。

シェイクスピアのマクベスも舞台はスコットランドなのだそうで、実際にスコットランド王家に実在した人々がモデルとなっており、この中でも魔女達の乱舞のシーンなどが出てきます。なんでも一説には、初演時に魔女たちに本当の黒魔術を唱えさせていたというお話も残っているとか。

さらに、王家といえば、エジンバラ城をはじめとして、王族の幽霊が出るという場所がスコットランドのあちこちにあるようです。エジンバラ市内でも、ペスト流行時に人々が埋葬された墓地でよく幽霊が出るそうで、そういう場所をまわる、ナイトツアーまであるそうです。

昨日少し話題にした、コナンドイルもスコットランド出身です。彼はイングランドのコティングリーで「妖精をみた、写真に撮った」とアナウンスして、世間を驚かせたそうですが、残念ながら、写真は本物ではなかったらしい。ですが、妖精の研究に没頭したことは、彼が育った土地柄と無縁だとは思えません。彼には霊感があったようですから、きっと幽霊や妖精などの世界というものを、幼いころから身近に感じていたのかも。

フィンドホーン

以上あげただけでも、スコットランドという土地がいかに不思議な伝承や事象が存在するスピリチュアルワールドかということがわかりますが、もうひとつ、有名な場所として、「フィンドホーン」という場所があります。

スコットランドのインバネスという町の北東にあり、北海に向けて開けるマレー湾の南側に位置する人口約900人の小さな村、フィンドホーン。イギリスの中でも、北極にも手が届きそうなほど北限の場所に位置するこの閑静な村には、イギリス国内でも最大級といわれるスピリチュアル・コミュニティーがあります。

スピリチュアル共同体、教育機関、エコ活動組織など、さまざまな機能を併せ持つこのコミュニティーには、現在、世界中から訪れる400人以上の人々が暮らし、自然との共存やスピリチュアリティといったテーマに基づく独自の生き方を研究しつつ、それを実践しているといいます。また、非営利の慈善財団として各国から毎年1万4000人もの人々を迎え入れ、各種アクティビティーを通してこの村におけるスピリチュアル・ライフのあり方を「伝道」しています。

ことの起こりは1957年。創始者であるアイリーン&ピーター・キャディ夫妻が、その子供たち3人と、友人である、ドロシー・マクリーンとともに、この地にやってきます。もともと3人とも、各自しっかりしたスピリチュアルなトレーニングの基盤があったそうで、「神」の声に従うことを大切にしていたのだとか。

彼らは、フィンドホーンから約10キロ離れた村、フォレスという場所にある1軒のホテルの経営者に認められ、そのホテルの運営を任されるようになります。そして、アイリーンが日頃から授かっていた「内なる声」に耳を傾けながら、その導きどおり実践していき、その結果、破綻寸前だった宿を4ツ星ホテルに昇格させるまでに成功させたのだそうです。

ところが、経営者から数年後には移動を命じられ、そしてその移動先の勤めていたホテルをクビになってしまいます。そして、住む場所を失った彼らは1962年、フィンドホーン湾に面した荒地でトレーラーハウスに住みながら、所持金も少なかったため、自給自足を試みようと野菜づくりに取りかかります。

三人は、乾いた砂地での入植という悪条件の下、再び「内なる声」に従い、あきらめずに地道に荒地の開墾を続けていきます。そうして、来る日も来る日も荒地との戦いを続けていたある日のこと、突然、ドロシーが、二人に、植物のディーバ(精霊)と交信できるようになった、と告げます。三人は、ドロシーが植物と交信して得られたメッセージを聞きながら、忠実にそれに従って農作業を続けていきます。その結果、それまでは、砂地の土壌では生育しづらいと考えられていた植物や野菜が育ち始めるのです。

通常、このような寒冷な場所では、温帯で生育するような果樹やハーブは生育しませんが、それが育つようになっただけでなく、花々などのほか、重量が18キロもあるような巨大なキャベツまでがなるようになり、本人たちだけでなく、村の人々を驚かせたといいます。

こうした菜園での「奇蹟」の噂は、徐々に村の外にまで広まっていき、それとともに「同志」も集まり始めます。そして、ここに自然と共存する世界で初めての、「スピリチュアル・コミュニティー」が誕生したのです。1970年には、米国人スピリチュアリストたちの助力を得ながら、自分たちがやってきたことを教えるための、「教育課程」を確立し、コミュニティーは教育機関としてもみなされるようになります。

メンバーも飛躍的に増加していき、そして1972年には、「フィンドホーン財団」となり、正式にスコットランドの慈善教育財団として認可されるまでになります。その後も、90年代には、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)と共同イベントを行うなど、世界規模での活動を展開して国連からも高く評価されるようになり、いまやイギリスのみならず世界的にも認められたスピリチュアル・コミュニティーになりました。

このあたりのお話は、アイリーン・キャディさんご自身の自伝、「フィンドホーンの花(日本教文社刊)」に書かれているので、お読みになってはいかがでしょうか。我が家の「なっちゃん文庫」にも一冊おいてあります。

植物との交信

このドロシーさんが、植物のディーバ(精霊)と交信できたというのは、どういう能力なのでしょうか。もとより、植物には口や耳、脳も神経もありませんから、人間と交信できるような「意識」はないと考えるのが普通です。

しかし植物が人間の気持ちを理解しているのではないか、ということを裏付けようと実験をした科学者も大勢います。一番有名なのは、アメリカの「クリーブ・バクスター」という人が1966年に行った実験です。彼はアメリカ、FBIの検査官で、「うそ発見器」の専門家でした。

バクスターは、最初、研究室にあった「ドラセナ」という木(幸福の木の一種)に、うそ発見器をつけたらどんな変化が出るだろうと、まじめに考えました。そして実際に、ドラセナの葉っぱにうそ発見器の電極をつけ、たとえば、水をやれば植物が水を吸って電気は流れやすくなり、電気抵抗値は小さくなるはず、などの仮説を立て、いろんな実験を開始します。

それらの実験結果には思ったような変化は出ませんでしたが、ある日、ライターで葉っぱに火をつけたらどうなるだろうかと、考えました。そして、よし、実際にやってみよう、と思った瞬間、ドラセナにつけた電極につながったうそ発見器が反応したのです。しかも、グラフに描きだされたその変化は、感情的に興奮している「人間の反応」によく似ていることに気がつきます。

そして、いろいろな条件で実験を行い、ほかの植物でも実験を行った結果、「植物は人間の心を感じ取って」反応しているという結論を得たのです。バクスターは、人間が持っている「五感」と同じような感覚を、植物だけでなく動物なども含めたすべての生命体が共通して持っているのではないかと考え、それを「原初的知覚」(Primary Perception)と呼んでいるそうです。そして、その感覚によって人とのコミュニケーションをとることができる、と考えたそうです。

植物は語る

このような実験結果を見ると、ドロシーが木や花とコミュニケーションを交わしたり、メッセージを受け取ったことも、不思議ではないような気がします。木も花も、人の思いを敏感に感じ取っているのかも。人が花に優しい声をかけたりすると、きれいに花を咲かせてくれるとか、音楽を聞かせると良いとかいう話を聞きますが、そういう人間の優しい気持ちを木や花も理解しているのかもしれませんね。

さらに、先日ブログでご紹介した木村忠孝さんが、その著書「魂の真実」の中で、「しゃべる植物といわれるサボテンや、数種の高等植物、動物」には霊体がある旨のことを書いていらっしゃいます。もしそれが本当だとすると、高等な植物の中には、魂の次元で人間とコミュニケーションをとることができるものもあることになります。

物理的な世に住む我々にとっては、霊能者を通じてしか亡くなった人の魂と交信することができませんが、もしかしたら、植物ぐらいとはコミュニケーションをとることが簡単にできるのかも。さっそく、我が家の庭木にも声をかけてみたいと思います。

そういえば、先日植えたバラの2本がなかなか新芽を出しません。優しくいたわり、早く元気になるよう、声をかけてみましょう。そして、オリンピックが終わるころには、青々とした新芽が何本も出ていることを祈りましょう。さて、今日のオリンピック、日本は果たして金メダルをとれるでしょうか。