ツバメが低く飛ぶと……

我が家の北側にある電線には、ほぼ毎日、ツバメが止まっています。

大きさは、だいたい17~8cmくらい。背中は光沢のある藍黒色で、腹は白。喉と額が赤く、胸に黒い横帯があって、なかなかおしゃれ。尾は長く切れ込みがある二股になっていて、礼装の「燕尾服」は、このツバメのしっぽにちなんで名づけられました。

繁殖期になるとオスは「チュビチュビチュビチュルルルル」と大きなさえずり声で鳴きますが、この声が「土食うて虫食うて口渋い」と聞こえるのだとか。繁殖期はとうに過ぎてしまっているので、最近はあまり鳴いているのを聞いたことがありませんが、来年になったらほんとにそう聞こえるかどうか気をつけてみましょう。

日本では沖縄県以外ではほぼ全国で繁殖しているそうで、冬になると、越冬のため、台湾やフィリピン、インドネシアのほうへ旅だっていきますが、今はまだ夏まっさかりのため、昆虫などを食べながら、のんびり暮らしるようです。

中には日本で越冬するツバメもいるそうで、「越冬ツバメ」と呼ばれるとか。これから寒くなっていく中、いつごろまでツバメが観察できるか、チェックしておこうと思っています。

減り続けるツバメ

このツバメですが、以前テレビのニュースでも報道していましたが、年々数が減ってきているのだとか。大阪の吹田市内の調査結果によると、1998年と2010年の調査結果を比較すると、その数はなんと3分の1に減っているということです。また、石川県で行われた調査でも、70年代に比べると現在では半分以下に減少しています。ほかの県でも同様の傾向のようです。

ツバメが減少している原因としては、まず、里山の自然や農耕地の減少があげられます。ツバメの生息する里山の自然が宅地化などで減り、農業をやる人が減って水田や耕作地が減少したため、ツバメのエサとなる虫が少なくなっているのです。エサの減少は、子育ての成功率にも影響します。

また、ツバメは民家の軒先などに巣を作りますが、最近の西洋風家屋では軒のないものや、壁面が加工されて巣が作りにくいものが多くなっています。このため、ツバメが巣を作る環境が減ってしまい、繁殖が困難になっているというのです。

さらに、昨年の原発事故による放射性物質の拡散がツバメにも影響を与えているのではないかといわれています。チェルノブイリ原発事故では、ツバメに部分的な白化や尾羽の突然変異が生じ、汚染地域では雛の数が少なくなったことが報告されているそうです。日本での調査結果はまだ出ていないようですが、大きな影響が出ないことを祈りたいものです。

益鳥

このツバメ、日本では昔から人間と仲のいい鳥として親しまれてきました。稲作において稲穂を食べずに害虫だけ食べてくれる益鳥ということで大切にされ、農村部ではツバメを殺したり巣や雛に悪戯をする事が慣習的に禁じられることが多く、都市部でも同じように扱われてきました。

江戸時代には「人が住む環境に営巣する」という習性から、人の出入りの多い家や商家のシンボルのような扱いをされるようになり、商売繁盛の印とする地方もあったようです。また、ツバメの巣のある家は安全であるという言い伝えもあり、巣立っていった後の巣を大切に残しておく家も多いようです。

このツバメの巣ですが、民家の軒先など、人が住む環境に泥と枯草を唾液で固めて巣を造っているのをよくみかけますが、天敵であるカラスなどが近寄りにくいからだと考えられています。

私は、多くのツバメが古い巣を修復して使うものだとばかり思っていましたが、通常は毎年新しいものをつくるのだそうです。産卵期は4~7月ごろなので、3月も下旬ころにもなると、南から帰ってきたツバメがあちこちを飛び回って藁を咥えているのが目に入るようになるはずです。

今年は引越しのばたばたであまり気にかけていませんでしたが、来年からは気をつけて観察してみようと思います。もしかしたら、我が家にも巣を作ってくれるかも。

1回目の繁殖の巣立ち率は概ね50%程度なんだそうです。結構高い確率なんですね。しかも、1回目の繁殖に成功したつがいの相当数がその後2回目のやり直し繁殖をするそうです。

しかし、雛(ヒナ)を育てている間に親鳥のうちどちらか一方が何らかの理由で欠けると、つがい外のツバメがやってきて育てているヒナを巣から落して殺してしまうこともあるのだとか。一方では、つがいの内のどちらかが欠けると、どこからともなく複数の他のツバメが集まり、その中から選ばれたように一羽ツバメが新たなつがい相手となって、子育てを継続するのも観察されるそうで、なんだか人間の世界と同じようなかんじもしますね。

ツバメに関することわざ

ツバメは、スズメと並んで日本の鳥の代表選手のようなものなので、昔からツバメにまつわる文化的な呼称がたくさんあります。

佐々木小次郎の必殺剣法「燕返し」もツバメがヒントになっていますし、国鉄の特急列車の「ツバメ号」やその国鉄が作った野球チーム、スワローズもそうです。太平洋戦争中は、ゼロ戦に次ぐ戦闘機として開発された「飛燕」という飛行機もありました。

「燕」とか、「若い燕」というと、年上の女性に養われている、若い男のことを意味します。ちなみに、ツバメと「ひも」はどこが違うのかと調べてみたら、「ひも」は、お金さえくれれば1人の女に頼りっきりになる男で、年齢はいくつでも良いのだとか。「つばめ」のほうも、女性にかわいがられ、お金をもらう男なのですが、若い男の子にかぎるんだそうです。

と、いうことは私はもう、つばめにはなれんのか…… ひもですな。ヒモ。

観天望気

「ツバメが低く飛ぶと雨が降る」というのもありますね。

こういう天気にまつわることわざのことを、「観天望気(かんてんぼうき)」というのだそうです。この場合、なんでツバメが低く飛ぶのかというと、湿度が高くなるとツバメの餌である昆虫の羽根が重くなって高く飛べなくなり、それを餌とするツバメも低空を飛ぶことになるから、なんだそうです。うーむ。なかなか科学的です。

観天望気は、昔から、主に海で働く人、すまり漁師や船員などが経験的に体得してきた天気予報です。天気占いとも呼ばれます。無論、正確な予報ができるわけではありませんが、科学的にその正当性が証明できるものも多いようで、とくに海や山での天候の急激な変化や、局地的な気象現象を知る上では、結構使えるものも多いといいます。

みなさんもご存知のものも多いと思いますが、どんなものがあるかというと、たとえば以下のようなものがあります。

「夕焼けの次の日は晴れ」……これは、よく言われますね。天気は西から東へ移動しますから、夕刻に西側が晴れていたら次の日も晴れというわけです。

「太陽や月に輪がかかると雨か曇り」……雨を降らせるもとになる温暖前線が近づくと巻層雲が上空にかかるため、だそうです。

「ハチが低く飛ぶと雷雨」……これは、ツバメと同じです。湿度が高いと、昆虫が低く飛ぶとされています。

「ネコが顔を洗うと雨」……湿度が高くなると、ネコの顔や髭に水滴がつきやすくなります。それを猫がぬぐうためなのだそうですが、いつも晴れた日でも顔を洗っている、ウチのテンちゃんは役にたちません。

ほかにも、雨が降る予兆としては、「カエルが鳴くと雨」、「ミミズが地上に這い出したら大雨」、「ヤマバトが鳴くと雨」などがあります。逆に、「クモが糸を張ると明日は天気が良い」のだそうです。

雲を使った観天望気

「雲」を使ったお天気占いは、気象学的にみても、結構信憑性が高いのだとか。たとえば、

「うろこ雲(巻積雲)は天気変化の兆候」
「おぼろ雲(高層雲)は雨の前ぶれ」
「夏の朝曇りは晴れ」

などなどです。

我が家からも、富士山に笠雲がかかっているのをときどきみかけますが、「山に笠雲がかかると雨や風」になるのだそうで、これは、低気圧や前線に伴って強い風が吹くようになり、この風が山のふもとの湿度の高い空気を、山の斜面に沿って上へ押し上げるため、山の上では水蒸気が凝縮して雲ができるためだそうです。

そういえば、先日富士山に夕方、笠雲がかかっていましたが、翌日は確かに天気があまりよくありませんでした。

また、上空に飛行機雲をよく見かけますが、飛行機雲を使った天気占いとしては、「飛行機雲がすぐに消えると晴れ」というのがあり、これは上空の湿度が低いためだそうです。逆に、「飛行機雲が広がると悪天の前兆」というのは、湿度が高く、湿った空気が入ってきている証拠というわけです。

このほか、虹に関するものとして、「朝虹は雨、夕虹は晴れ」というのがあります。虹というのは、湿度が高いときにみえる現象なので、朝に虹が見えるということは、西にある湿った空気が、東から登った太陽によって照らされて、虹ができているということ。天気は西から東に移動しますから、西側の湿った空気はやがて東へやってくるというわけです。わかりますか?

そして、おそらく、私たちが一番よく知っているのが、「夕焼けは晴れ」「朝焼けは雨」というヤツです。

空が赤く染まるためには、太陽光が空気層を通過する距離が長いことが必要です。空気層が青色系の色(光の波長)を吸収するので、赤、橙系の色がよく見えるようになるのです。
夕方や朝は、太陽の光が水平に近い角度で入ってくるので、この光が空気層を通過する距離が昼間に比べて長くなります。

この結果、夕焼けが起こる、ということは、太陽光が空気層を長く通過している、つまり、西側に光を遮る雲はなく晴れているということで、翌日は晴れやすい、とうことになるのです。

逆に、朝焼けが起こる、ということは、東側には雲がなくて晴れている。しかし、天気は良いのと悪いのを繰り返すのが常ですから、そろそろ西側にはから雲がやってきそう、ということのようです。この理屈はちと、わかりにくいですね。

「煙が立つか東にたなびけば晴れ、西にたなびくと雨」というのもあります。低気圧などが近づくと、東寄りの風が多くなるためです。台風を思い出してください。左回りですよね。ということは台風が接近してくる東側では、風が南や東から吹き込みやすくなるのです。

その他のお天気占い

天体観測をしている人は「シンチレーション(scintillation)」ということばを知っていると思います。星の揺らぎのことを指しますが、この揺らぎの程度のことを「シーイング(スィーイング・seeing)といいます。

「星が瞬くと風強し」といいますが、このシンチレーションが激しいときというのは、上空で強い風が吹いている状態です。風によって大気のゆらぎが強くなるため、星が瞬くように見えるのです。

最近では、リウマチや関節痛予報をやってくれる気象予報会社が増えているそうですね。一般に、低温、低気圧、高湿は悪化方向に働き、逆に高温、高気圧、低湿は痛みを軽減させるといわれています。それを知ったからといって、なんか予防ができるんかい、と突っ込みたくなりますが、持病を持った人にとっては、それが来ることがわかるだけでも心の準備になるのでしょう。

このほかにも、「カマキリの巣が高いところに作られると雪が多い」、「ハチの巣が低いところに作られると台風が多い」とか、根拠のはっきりしないものも多いようですが、こうしたお天気占いの数が多いのは、日本の四季の変化がはっきりしていて、その変化に日本人の生活が影響を受けやすいからなのでしょう。

今日は、ツバメの話題に端を発し、お天気占いの話になってしまいました。さきほどまで電線にたくさん止まっていたツバメたちは、今みんないなくなってしまいました。おそらく近所の田んぼにでもエサをとりに行っているんでしょう。いまのところ、低空飛行をしているツバメはいないようなので、ここしばらくは良いお天気なのかも。

しかし、お天気は良いけれども暑くならないよう願いたいもの。その日が暑くなるかどうかを占う方法はないのでしょうか。ネコが腹這いで寝ていると暑くなるとか……