NEOPASAにて ~沼津市

昨日、私が見た富士山の初冠雪はやはり本物でした。昨年よりも12日も早く、平年と比べても18日も早いということです。過去でもっとも遅かったのが、1956年の10月26日、逆に最も早かったのが、2008年の8月9日だそうです。

富士山の初冠雪が早いときには、厳冬になることが多いのだそうで、今年の冬支度は早めにしっかりとしておきましょう。

NEOPASAへ

さて、先日、今年の4月に開通した、第二東名の「駿河湾沼津NEOPASA」へ行ってきました。沼津市街を1号線を使って西に行くこと10分ほどいったところの交差点を右折、昔の「根小屋街道」という愛鷹山のふもとを東西に走っている道をめざします。

この街道沿いに「井出橋」というバス停があるのですが、そのやや東側に愛鷹山方面に登って行く道があり、これを延々と登っていくと、目的地に着きます。

実は、この根小屋のすぐ近くに私は学生時代に下宿していて、このあたり一帯は非常に懐かしい場所。なので、どこからアクセスできるのかは、だいたいわかっていました。しかし、初めて行く人には、これはわかりにくいかなー。

根小屋街道には一応看板は出ているし、一号線から右折する場所さえ間違えなければ、たぶん初めての人でも行けると思います。が、そのかんじんの一号線には案内看板はなかったように思います。

さらに、根小屋街道から山を登って行く、アクセス道路の狭さはなんとかならんのでしょうか。周囲りには茶畑がたくさんあって、この茶畑の手入れをする農家の方の農道も縦横に走っているのですが、この農道と比べても大差ないほどの広さ。下ってくる車とはすれ違うのもやっとという場所もあり、運転が得意でない人にとっては、結構な難所です。

たぶん、このアクセス道路の所有者は静岡「県」なのだと思いますが、せっかく国(NEXCO)が大規模な施設を整備してくれたのだから、そのアクセス道路ぐらいもっとお金を出して、お客さんを呼ぶ工夫をしてはどうかと思うのですが。

もっとも、道路をきれいにしてお客さんが増えても、儲かるのはNEXCOばかりで、県にはたいしてお金が入らないので、整備を渋っているのかもしれませんが……

さて、根小屋街道から山を登ることやはり10分ほどで、目的地のネオパーサが見えてきます。このサービスエリア、第二東名の上り線と下り線の別々に作られていて、それぞれ独立しています。

従って、高速道路利用者は、上下どちらかのサービスエリアしか利用できません(歩いて行けば行けます)が、ふもとから上がってくる一般利用者は、両方のサービスエリアにクルマを乗り入れて利用できます。

山道を登り切ったところのT字路には、「上り方向SA方面」と「下り方向SA方面」の矢印看板がありました。上り方向のSAのほうが、より高い標高の場所にあるため、我々もまず、こちらへ行ってみることに。

第二東名の上下線の下を通るトンネルを抜けてすぐのところには、ふもとからの一般客向けの駐車場スペースがありましたが、そもそも地元のお客さんの来客は期待していないのか、駐車スペースは高速道路利用者のものに比べるとかなり小さいようです。

それでも、50台分ぐらいの容量はあるでしょうか。もしかしたら、混雑時には、高速道路利用者用の駐車スペースを少し解放するのかもしれません。

この駐車スペースは、ネオパーサ沼津の上り線の山の手側にあるため、ネオパーサにはその裏口から入ることになります。

ソラノテラス

早速、中に足を踏み入れてみると、もう夏休みも終わり、9月に入っていることもあり、お客さんはそれほど多くありません。お昼時を少しすぎた1時ころの入場でしたが、レストランやフードコートもそれほど混雑しておらず、我々が入ったレストラン、「ソラノテラス」でも窓際席に座ることができました。

このレストラン、窓際に座ると窓から駿河湾が一望に見え、左手には沼津市街とそれに続く伊豆半島の大瀬崎あたりまでの海岸線が長々と見える、なかなかの眺望。右手に目をやると、富士市方面から清水方面の弧をえがいた海岸線もその一部が見え、夕方にくると、きっとロマンチックな夕日がみえることでしょう。

レストランメニューはというと、それほど豊富とはいえませんが、「産直」を意識して地元産の肉や魚を使った「中流以上」のメニューが並びます。私はおなかがすいていたので、メンチカツカレー、タエさんはハーブ風味の鳥肉サラダ?だったかな、正式名称は忘れましたが、ヘルシーメニューを注文。

感想としては、メンチカツカレーのほうは、まあまあ……かな。特段おいしいというわけでもなく、まずくもなく。ですが、期待していたメンチカツが予想以上にしょぼかったのが残念。カレーのルーは普通です。

一方、タエさんのほうの鶏肉料理はおいしかったらしく、おいしいおいしいを連発していました。彼女のほうは満足のいく味だったようで、こいうところへ来たら、やっぱり看板メニューを選ぶべきだったか、と少し後悔しました。

店の雰囲気もよく、店員さんたちの応対もよく教育されているな、と感じられて好印象。ただ、高速道路にあるレストラン、ということで、高級すぎてもお客さんに敬遠されるし、低俗すぎても評判は得られないだろうし、ということで悩んだ末にこうなった、というかんじで、なんとなく中途半端。

お店の雰囲気としては、「中流以上」を目指したかったのでしょうが、高速道路の利用者が全員こぎれいな恰好をしているはずもなく、店内では「普通」の恰好をした人がほとんどで、その中には、時折サンダル履きのおじさんや、短パンにTシャツの若者もいたりして、「ちょっといい食事」をしに来た方には少々興醒めかも。

別にそういう方々が悪いわけでもなんでもないのですが、所詮は高速道路のレストランです。そもそも高級レストランを意識する必要もないのでは、と個人的には思いました。そうそう、書き忘れれるところでしたが、このレストラン、値段も結構高級でした。入口で値段を見た人はあっ、これはやや高めのお店だな、とすぐに感じると思います。

その高めのメニューを見た時点で、サンダル履きのおっさんや、Tシャツの若者が入るのを遠慮してくれればいいのですが、そういう人たちを拒めないのが、こういうお店の宿命かな。いずれにせよ、私的にはちょっと疑問符……のお店でした。

施設雑感

その後、レストランを出て、施設全体を見回しました。できたばかりのこの施設、すべてが新しくてなかなか雰囲気の良いものでしたが、ただ、全体的な構成としては、これまでのSAとは大きくは変わらないかんじ。

一階にフードコートがあって、ここでは「庶民向け」の麺類や丼物、パスタなどの洋食モノ屋さんがずらりと並びます。すぐその隣にはお土産物屋さんがあり、地元の野菜などの直売コーナーもありましたが、このスタイルはどこのSAでもあるもので、特段珍しいものではありません。

お買いものをしない人の無料休憩スペースや、建物の外でアイスクリームやたこ焼きなどのファーストフードのお店があるというパターンもこれまでのものと同じで、あまり目新しさは感じられません。

コンビニやカフェレストラン、ドックランなどの施設も併設されていて、これまで全国のあちこちにあるSAで採用された施設すべてが、ここに「洩れなく」網羅されているかんじ……。

NEXCOさんとしては、このネオパーサ沼津は、満を持して開通した第二東名の目玉的な施設であるだけに、これまで培ってきた技術の集大成、としたかったのだと思いますが、その意気込みはまあ認めるとして、しかし、何か目新しさがあるか、と聞かれたら、何ら新しいものがないのが非常に残念でした。

もっとも、高台にあって、駿河湾が一望に見えるという立地はすばらしいもので、三階の一部には展望台が設けられており、ここからの眺めは秀逸でした。しかし、この展望台もなぜ、ここだけなのか疑問。ほかにも眺めを楽しめる場所はたくさんありそうなのに、そういう場所は閉鎖されていて、お客さんが登れるのは畳6畳分ほどのスペースのこの展望台だけなのです。

……というわけで、全体的にみた印象は、かなり残念。私としてはやはりもっと、「目新しさ」を出してほしかったかな。これまでのSAにはないものを!と期待していただけに、正直言って失望しました。

ただ、駿河湾の眺めは秀逸なので、閑があれば、また来てもいいかな、とも思うのですが、ここへ来ておいしいものを食べ、ショッピングを楽しんで、というレジャー施設として最も重要な要素にいまひとつインパクトがないだけに、それだけが目的とすると、わざわざここまでくる必要はないな、と思いました。

下り車線側NEOPASA

さて、ネオパーサ上り線はだいたい見たので、これを後にし、帰りにはネオパーサ下り線のほうも訪れてみました。こちらは、上り線が二階建だったのに対して、一階平屋建てになっていて、その分、建物面積はかなり広くとってありました。

レストランとフードコート、お土産物屋さんを中心とした構成は上り線とほぼ同じでしたが、レストランのほうは、ステーキ・ハンバーグが中心のどちらかといえばファミリー向けのお店が入っていて、好印象。フードコートのほうも、食べてみたい、と思うお店がこちらのほうが多く、全体的に上り線よりもバランスが取れているような気がしました。

二階を廃したことで、SA全体も広々としたかんじがあり、上り線ではそのすぐ真下に広大な駐車場が見えて、せっかくの駿河湾の眺めがスポイルされたかんじがありましたが、下り線側では、邪魔な駐車場は建物の西側に配されているので、レストランなどの窓からはすぐ目の前に広がる茶畑とその先に広がる駿河湾が一望にみえて、開放感があります。

さらに西側に広がる駿河湾の海岸線も、この下り車線側SAからのほうがよく見え、ここからは季節によっては、夕日が水平線に沈むのも見えそうです。

上下線で、こんなに違いがあるのか~、それなら、下り線側に最初にくればよかったと思ったのですが、後の祭り。しかし、そうだとしても、下り線側もそれほど目新しいものがあるわけではなく、グルメやショッピングを楽しむために地元の人が大勢訪れるか、というと疑問符を出さざるを得ないところは、上り線側と同じです。

私なら……

私なら、ここをどうするかな~と考えてみましたが、私にもし、ここを改良する権限が与えられたならば、やはりもっと「一般」のショッピングができるモールを作るでしょう。お土産もの売り場など、他のSAと競合するようなものは最小限にしてしまい、アウトレットモールのようなものを目指すのではないかな。

また、食べ物屋さんも、モールに合わせてもっとバラエティに富み、よりおしゃれな専門店を増やしましょう。ショッピングとグルメ、これはどんな施設でも最も大事なアイテムだと思います。

その上で、子供向けの小さな遊園地や動物園みたいなものもあってもよいし、ともかく広大な土地があるのですから、もっと知恵を絞ればかなり面白いものになるのではないでしょうか。

駿河湾と伊豆半島の雄大な眺めもウリです。もっと展望台を増やし、「撮影スポット」として全国のアマチュアカメラマンにも宣伝できるような場所にすれば、その方面からのお客さんも呼び込めます……

思うに、NEXCOさんは、民営化された以後もかつての道路公団のお役人体質から脱却しきれていないように思います。せっかくの国有財産をタダで?使わせてもらっているのですから、もう少しその資産を有効活用すべきです。

全国にある高速道路のSAがどこもかしこも金太郎飴みたいに同じ、というのは解せない話。中日本、西日本、東日本と三つの会社に分割されたのに、それぞれの独自性を生かした経営をしているかといえば、あいかわらず、その前身の道路公団の体質をひきづったままというのでは、国民は納得しませんよ。

高い高速道路代を払ってSAを利用している人もけっして満足してはいないのではないでしょうか。もっとも、これまでのSAと同じレベルなので、こんなもんかな、とみなさん思っていらっしゃるでしょうが。かといって、これはすごい!また来たい、という利用者がどれほどいるかと思うとはなはだ疑問です。

……と、今日は、少し辛口のブログになってしまいました。期待していた施設が思ったほどではなかった、というのはよくある話ですが、それにしても役人、もしくは元役人が作ったものにはそういう施設が多いような気がするのは私だけでしょうか。

案外と、そういう施設の全国的な見直しが、この国の活性化につながっていくのかも。今度NEOPASAに行って、少し改善がみられたらまたレポートしましょう。今のところ、次にいつ行こうかなどと、さっぱり考えてはいませんが……