今日は二十四節気の第21番目の「大雪」です。雪が激しく降り始めるころで、熊が冬眠に入り、南天の実が赤く色付くころであり、鰤(ブリ)などの冬の魚の漁が盛んになるころでもあります(と、書いたら一日間違えてました。ホントは7日が大雪です。7日訂正)。
ブリは、スズキ目アジ科に分類される海水魚の一種で、北西太平洋を中心に生息する回遊性の大型肉食魚です。成魚は大きいものでは最大で全長150cm、体重ともなると40kgにもなりますが、普通の大きさのものは全長1m・体重8kg程度です。
南は東シナ海・北はカムチャツカ半島・東はハワイまでの北西太平洋に分布しますが、主な生息域は我々が住んでいる日本近海の九州南部から北海道にかけての太平洋岸です。
通常は群れを作り、やや沖合いの水深100m程度の中層・底層を遊泳しています。季節によって生息海域を変える回遊魚でもあり、春から夏には沿岸域に寄って北上し、初冬から春には逆に太平洋岸の沖合いを南下します。
これを狙って、漁師さんたちは、一本釣り、延縄、定置網、旋網、刺し網、掛け網などのいろんな漁法でこの魚に挑みます。良い値段で取引されることから、冬場の魚市場では欠かせない人気魚ですが、一般の釣り愛好家の間でも人気があり、大物釣りのターゲットとしての評価も高いようです。
船上から竿やリールを使わず道糸を素手で手繰り寄せる、いわゆる「カッタクリ」による強い引きの感触を味わえるとされ、釣り好きにはたまらないようです。また船釣りだけでなく、潮通しの良い港湾内や岸壁近くにも入り込んでくることがあり、陸からでも狙えることも人気がある理由です。
通年を通して需要が高いため、こうした漁による天然物の捕獲だけでなく、主に西日本の沿岸各地で養殖もさかんに行われています。日本国内におけるブリ類の生産量は、漁獲量およそ5万トンに対して、養殖による収穫量はおよそ15万トンと大きく上回ります。
ブリの場合もウナギやマグロのようにまだ完全養殖が一般化しておらず、春先に流れ藻に付いた稚魚(モジャコ)を捕獲して養殖します。しかし、養殖の肥育期間は2年もかかりますから、手間のかかるものであることには間違いありません。
その食べごろは、無論、産卵期前で脂が乗る冬です。日本ではこの時期のブリを特に「寒ブリ」と呼びます。寒ブリは同属種のカンパチやヒラマサよりも脂肪が多く、独特の風味があります。ただし、産卵後の春には脂肪量が減少してパサパサになるので、今のうちにおいしいブリをたくさん食べましょう。
料理法は幅広く、刺身、カルパッチョ、たたき、寿司、しゃぶしゃぶ、味噌漬け、照り焼き、塩焼き、ぶり大根などなんでももってこいです。富山県や石川県では、「かぶら寿司」の材料として使用されることもあり、このほか変わったところでは、高知県では「ぬた」という酢味噌で作ったタレをつけて食べるそうです。
出世魚で縁起が良いこともあり、西日本では御節料理に欠かせない食材でもありますが、東日本ではあまりおせちには使わないようで、こちらはもっぱらサケを使います。福岡県では雑煮の中にも具として入れられるそうです。
「ブリ」という呼称は、江戸時代の本草学者である貝原益軒が「脂多き魚なり、脂の上を略する」と語っていることなどから、「アブラ」が「ブラ」へ、さらに転訛し「ブリ」となったという説があります。ほかにも身が赤くて「ブリブリ」しているからといった説もあるようです。
漢字では「鰤」と書きますが、これは「師走」に脂が乗って旨くなる魚だから、この字が当てられたという説が有力です。また。「師」すなわち先生と言われるような人は大物であり、ブリもかなりの大型魚であるかことから、この字が使われるようになったともいわれています。
大きさによって呼び名が変わる、いわゆる「出世魚」です。日本各地での地方名と併せて様々な呼び方をされますが、その成長過程毎の代表的な呼び名は次のようです。
ワカシ:15 cm くらいまでのもの
イナダ:40 cm くらい(夏に旨い)
ワラサ:60 cm くらい
ブリ:90 cm 以上(夏は味が落ちる)
が、地方によっても異なり、次のようです。
関東:ワカシ → イナダ → ワラサ → ブリ
関西:ツバス → ハマチ → メジロ → ブリ
東北:ツベ → イナダ → アオ → ブリ
下北地方:フクラギ → イナダ → ワラサ → ブリ
北陸:ツバエリ → コズクラ → フクラギ → アオブリ → ハナジロ → ブリ
富山県:ツバイソ → コズクラ → フクラギ → ハマチ → ガンド → ブリ
山陰:ショウジゴ → ワカナ → メジロ → ハマチ → ブリ
四国・広島県:ヤズ → ハマチ → ブリ
九州:ワカナゴ → ヤズ → ハマチ → メジロ → ブリ → オオウオ
80cm 以上のものは関東・関西とも「ブリ」と呼ぶので、これが一番一般的になっています。または80cm以下でも8kg以上と大型のものをブリと呼ぶ場合もあるようです。和歌山は関西圏ですが、関東名で呼ぶことが多く、流通過程では、大きさに関わらず養殖ものをハマチ、天然ものをブリと呼んで区別する場合もあります。
私のように西国育ちで東京や静岡住まいの者にとってはややこしい限りですが、こうした魚の呼称における地域性や、その成長過程において名前を変えて呼ぶというみやびな風習こそ日本的ともいえるものであり、これを理解せずして日本人である、と言えないかもしれません。
ところで、出世といえば、先日、「ゆるきゃら」の全国コンテストがあり、我が静岡県の浜松市のイメージキャラクター、「出世大名家康くん」が2位につけたようです。
市制100周年記念マスコットとして2011年(平成23年)に徳川家康をモチーフとして誕生したキャラクターとして登場したもので、ちょんまげはウナギ、羽織の紋はみかん 、袴はピアノ柄と浜松の特産品をあしらっています。
良く間違えられるようですが、顔の下側の黒い逆三角形は口ではなくあごひげであり、顔の中央にあるのが口です。その口癖は「浜松は日本一良いとこじゃ。」だそうで、出世大名家康くんのセリフの吹き出しにはかならず「〜じゃ」が付けられます。
もともと浜松市のキャラクターとしては、2007年より赤塚不二夫の漫画のキャラクターである「ウナギイヌ」が採用されていたそうですが、2012年度末でマスコットキャラクターとしての契約が終了したため、「出世大名家康くん」と交代しました。
2013年8月には、兜を被ると喋れるようになるという「やらまいかバージョン」の家康君が登場し、「ゆるキャラグランプリ2013」の頂点を目指す「天下統一宣言」を肉声で行いました。このとき、頂点を取れなかったときにはウナギのちょんまげを落として「出家大名家康くん」になると決意表明。
浜松市役所が中心となった活発な選挙活動が行われ、開票直前の10月7日時点の暫定順位は2位に約10万票差となる首位独走状態となり、「組織票」との批判の声も出たのですが、11月24日発表の最終結果では栃木県佐野市の「さのまる」が1位となり、家康くんは2位となってしまいました。
逆転敗北の理由についてこうしたメディアの専門家は、「最初に飛ばしすぎて2位に差をつけたことで組織の気が緩んでしまった」「ネット上で組織票の批判が出て裏目に出た」との分析をしているようです。
グランプリ前に公約していた「出家」については、結果発表後のインタビューで「どうにかせねばならん」と語ったそうですが、公式サイトのトップ画像では「出家なんていやじゃー!」との台詞があり、実行の時期については不明だそうです。かなり往生際が悪いヤツです。
ところでこの「大名」というのは、もともと「大名主」と言っていたものが簡略化されたものだそうです。もともとは「大いに名の轟く者」という意味だったそうで、地方で勢力をふるう者のことを指しましたが、時代を経るにつれて武家社会においては、多くの所領や部下を所有する武士を意味する言葉となっていきました。
室町時代には「守護職」が領国支配を強め、「守護大名」が登場しましたが、戦国時代には、さらに強固な領国支配を確立した大身の領主が現れ、彼等は「大名分の国人」とか「戦国大名」と呼ばれるようになりました。
江戸時代には主に石高1万石以上の所領を幕府から禄として与えられた武家を指す言葉となり、これに対して1万石未満の武士のうち幕府直属の武士を直参と呼ぶようになりました。
江戸時代の大名は、家格・官位・石高・役職・伺候席によって序列が決められており、この序列はまず、徳川将軍家との関係によって、一族の家門大名である親藩、親藩大名が決められます。これに次ぐのが主に関ヶ原の戦い以前に徳川家の家臣だった譜代大名であり、そして関ヶ原の戦い前後から家臣となった外様大名に分類されます。
初代将軍徳川家康は、将軍家が断絶した場合の血脈の維持や、全国の大名統制への監視、および幕府への補佐への意味も込めて、将軍家同様に徳川姓を名乗ることが許された御三家を設置し、9男の義直を尾張藩、10男の頼宣を紀州藩、11男の頼房を水戸藩に封じました。
また、2代将軍徳川秀忠の兄で家康の2男である結城秀康を越前藩に封じたのをはじめ、全国に徳川一門の大名を置いています。
さらには、歴代にわたり徳川将軍家の草創期を築いた譜代の家臣を譜代大名として幕府の軍事力を確保するとともに、幕府の大老はじめ老中を中心とした重要な役職につけ、幕政を補佐させました。
譜代大名は比較的石高は低く、譜代筆頭は、彦根藩の井伊氏でその石高は35万石の大封でした。ほかに同等の石高を得た大名には、鳥居氏や榊原氏、本多氏、小笠原氏などがありますが、江戸時代全期を通して10万石以上を保った譜代大名は少なく、酒井氏、阿部氏、堀田氏、柳沢氏、戸田氏をはじめほんのわずかです。
外様大名は関ヶ原以後に従属した大名であり、関ヶ原では徳川家に対峙した家も多かったことから、これらの大名に対する幕府の警戒は強く、隠密による諜報活動を積極的に行い、不正や謀叛の恐れがある場合は、厳しく改易に処しました。
代表的な外様大名としては、加賀百万石として有名な前田氏の加賀藩のほか、鎌倉時代以来の名家である島津氏の薩摩藩や伊達氏の仙台藩、黒田氏の福岡藩、浅野氏の広島藩、毛利氏の長州藩、鍋島氏の佐賀藩、細川氏の熊本藩、土佐山内氏の土佐藩などなどがあります。
譜代大名より外様大名のほうが石高が高い例が見られるのは、譜代大名は元は豊臣政権下の一大名に過ぎなかった徳川家康のさらに家臣という立場だったのに対し、外様大名は元は豊臣政権下において家康と肩を並べる大名家だったからです。
しかしながら石高の少ない外様大名も珍しくなく、彼らの中には徳川家や譜代大名家から養子や奥方を迎えるなどして縁戚関係を築き、願い譜代として幕政にも参画する例が見られました。一方で大きな石高を持つ外様大名は、幕政からは締め出されることも多く、お取潰しになった藩も多数あります。
また、大名の格式として領地が1国以上またはそれに準ずる石高である者を「国主」、城を持つ者を「城主」、城を持たない者を「無城」と言って区別し、大名が江戸城に参勤した際に詰める部屋も格式に応じて分けられました。
しかし、10万石台の国主に相当するような大大名も、その領土が永久に安堵されるということはむしろ少なく、かなり頻繁に増減が繰り返されました。このため、この対策として、通常は城下一円と藩が所在する国の内外にも多くの飛び地領を持っており、極端な場合には、一つの村を他の領主と分割領有することもあったそうです。
さらにこうした大大名は武家諸法度や参勤交代の制度によって、幕府から厳しい統制を受けており、その他にも、御手伝普請と称する課役や江戸時代末期には海岸防備を命ぜられることもあり、大名は常に経済的にも苦しかったといわれています。
従って、戦国期はともかく、江戸時代には「出世大名」というものはほとんどいなかったと考えて良いでしょう。
しかし、現代社会では無論、「出来る」人はどんどんと出世していきます。逆にできないヤツは淘汰される競争社会であり、良い面もありますが、悲しい世界です。世に言う「サラリーマンの悲哀」は、川柳になども良く歌われるところです。
では、こうした現代においてサラリーマンとして勝ち抜き、出世する人とはどんな人なのでしょうか。
リクルートホールディングスが発行している25才以上の男性ビジネスマン向けのフリーマガジン「R25」では、なぜ出世できるのか、逆に出世できない人には何が足りないのかについて調査すべく、「周囲にいる出世できない人の共通点」として当てはまるものを、20~39歳の男性200名に聞いてみたそうです。
このアンケートでは、編集部があげた12項目の中から上位3つを選んでもらい、1位は3pt、2位は2pt、3位は1ptで集計するという形で行われ、その結果、「出世できない人」の共通点として次のようなものが浮かび上がってきました。
●あなたの周囲にいる「出世できない人」の共通点TOP10
1位 口先だけで行動力がない (230pt)
2位 要領が悪い(175pt)
3位 人望がない(141pt)
4位 ミスが多い(125pt)
5位 意志が弱い(118pt)
6位 人脈が乏しい(108pt)
7位 地アタマが良くない(106pt)
8位 欲がない(51pt)
9位 ストレスに弱い(48pt)
10位 情報感度が悪い(47pt)
上位にランクインした項目はいずれも仕事の成果に直結する「難点」ばかりで、とくに1位の「口先だけで行動力がない」、2位「要領が悪い」、4位「ミスが多い」などは、なんだ、オレのことじゃん、あるいは、あぁアイツのことだ、という人も多いかもしれません。
しかし、こうした能力に起因するものばかりでなく、3位の「人望がない」や6位の「人脈が乏しい」などは、サラリーマンの人間関係に関する項目です。どんなに仕事ができても、周囲の人間からの支持が得られなければ出世はできないと思う人も多いということのようです。
仕事がデキるだけの人が管理職になっても、部下の気持ちが分からなければやはり職場ではうまくたちいかず、またいくら優秀でも、最終的には周りからの評判や信頼が物を言うということなのでしょうか。
では周囲の人の支持を得ながらどうやったら出世できるか、について調べてみていたら、ダイヤモンド社が面白い記事を掲載したのにぶちあたりました。
出世する人とそうでない人、果たしてどこが違うのだろうか?という観点から文筆家・千田琢哉(せんだたくや)という人が、3300人ものエグゼクティブとの対話から生み出したルールだそうです。
本来は全部で70ほどもあるそうですが、この中から私的にもなるほどな、と思う者をいくつか、以下に要約してみましょう。
このブログを読んでいる方には女性も多いと思いますが、私には関係ないわ、と言わず、将来の旦那さんになる人として、どんな人を選べば出世してくれて、一生、左団扇で暮らせるかのヒントになるかもしれませんので、読んでみてください。
ダイヤモンド社記事の受け売りになりますが、わかりにくい部分が多いので、筆者が肉付けして改変しています。
■「出世する人の共通点」
その1 出世する人は、手柄を譲り続けて最後に際立つ。窓際の人は、手柄を奪い続けて最後に干される。
出世する人は、自分の仕事は上司を出世させるために存在するということを理解しています。ここを押さえておかないと、永遠にあなたは出世することができません。自分が出世するためには、まず上司を出世させるのが一番近道です。上司が手柄を寄こせと言ってくる前に、躊躇なく自分の手柄を全部与えてしまいましょう。
自分が出世すればわかると思いますが、「上司の上司」にはすべての実態は丸見えです。あなたが上司に手柄を譲っていることは常に観察されており、謙虚な人間であると評価してくれるでしょう。
その2 出世する人は、丁寧に速くやる。窓際の人は、雑にだらだらやる。
出世コースを歩む人は、雑用を丁寧に速くやります。普通の人なら手を抜きがちな雑用でも進んで手を上げ、丁寧に速く仕上げていくと、その姿は社内で際立ちます。その結果、「こいつに雑用させておくのはもったいない」と雑用を取り上げられて出世していくのです。
窓際コースを歩む人は、雑用を文字通り雑にだらだらとやってしまいます。その結果、「まだこんなこともできないのか」と定年まで雑用をやらされ続けるハメに陥ります。
その3 出世する人は、最初の失敗を活かす。窓際の人は、最初の成功にしがみつく。
成功者は最初に失敗することが多いものです。その失敗を死ぬほど悔しがってバネにし、やがて自らのハードルを上げるようにさえなり、さらにこれを次に活かせるようになるためどんどん成長していきます。
一方、窓際の人は、最初に成功することが多いものです。そしてそのまま過去の栄光にしがみついて努力を怠り、いつまでも周囲に武勇伝を語り続けます。やがて人の背中に隠れて挑戦者の失敗をこっそり横目で見ながら、自分自身はやや低めのハードルにしか挑まなくなり、失敗はしないかもしれませんが、大きく成長はしていきません。
その4 出世する人は、期限切れは極刑に値すると考える。窓際の人は、期限切れは質でカバーできると考える。
仕事というものは、約束の期限までに依頼者の期待を超えるサービスを提供することです。プロの世界では、約束の期限を守れない仕事は問答無用ですべて0点です。時には0点どころか、次から二度と声がかからないこともあり、場合によっては永久追放です。
遅刻に対する考え方の厳しさで、その人の仕事に対する姿勢がわかります。遅れるということはその分、「相手の時間を使った」ということでもあるのです。また、時間というものは、誰にとっても寿命の断片です。つまり、遅刻しないということは、相手の命を重んじるということにも等しいと考えるべきなのです。
その5 出世する人は、退職者を丁寧に見送る。窓際の人は、退職者を裏切り者扱いする。
サラリーマン社会では退職は珍しくないことです。将来出世する人は、たとえそれがどんな相手であろうと退職者を丁寧に見送ります。何か見返りを求めるわけでもなく、同じ釜の飯を食った戦友を敬うようにすればその結果、退職者のうちから成功者が出た時には大きなビジネスに発展したり、間接的に応援してもらえることもあります。
窓際の人は、退職者を裏切り者扱いすることが多いものです。本当は自分も辞めたいのに、勇気がなくて辞められない人も多いでしょう。このため、辞めていく人に悪態をつき、その結果、社内外で「嫌な奴」というレッテルが貼られて孤立無援になるのが関の山です。
その6 出世する人は、経理部からの評価が高い。窓際の人は、経理部からの評価が低い。
あなたの出世は経理部が握っているとわきまえましょう。社の上層部の人事で「この人間は信頼できるか否か」を目利きする場合、経理部のデータをチェックすることが多いものです。チェックは大きく分けて、2つあり、1つ目は書類の提出期限を守っているか否か、2つ目は出張精算で水増し請求しているか否かです。
出張精算で嘘をつくということは、会社のお金を横領しているということであり、経理部のベテランなら、水増し請求など一瞬で見抜くことができます。あなたが社長なら、会社のお金を横領する人間を出世させるでしょうか。
その7 出世する人は、フラット目線の対話を心掛ける。窓際の人は、上下目線の対話しかできない。出世する人と窓際の人は、対話する際の目線が違う。
出世する人は、できるだけ相手と同じラインに立って、フラットな目線で対話しようと努めています。相手と同じ目線で見たり考えたりし、同じ映像を描くように対話するのです。その結果、対話に一体感が生まれてお互いに信頼関係が育まれます。
一方、窓際の人は、すべての相手を上か下かで判断し、フラット目線は存在しません。相手が目上だとわかれば浅ましいほど卑屈になり、また相手が目下だとわかれば見苦しいほど傲慢になるため、結局誰からも嫌われて孤立するようになっていきます。
その8 出世する人は、打ち合わせは25分以内で切り上げることを目標にする。窓際の人は、長居することを目標にする。
大切なお客様と末長くお付き合いしたいなら、打ち合わせで長居しないことです。長居しないためのコツは、25分以内に話を切り上げる訓練をすることです。すると相手は「もう一度会ってみたい」という名残惜しさを感じます。
なぜ30分ではなく25分かというと、30分だともうあと5分くらいいいか、とついつい打ち合わせが長くなってしまうからです。25分ならあともう5分しかない、とフン切りをつけやすくなります。
25分で打ち合わせを終わらせるためには、必ず要件から話すことです。要件は5分で終わらせて、あとは相手の雑談を交えた質疑応答に回答します。また、間違っても、お客様のところで長居したことを自慢のネタにしないことです。
その9 出世する人は、取引先と共に咲いていける方法を考える。窓際の人は、取引先をいかに利用するかを考える。
窓際の人は、取引先を利用することばかり考えています。「いかに自分の利益になるか」が先行し、場合によっては自分の利益が少なければ取引先の利益を奪ってしまいます。こうした人は結果として、取引先を全部失っていきます。
これに対して出世する人は、せっかく関わった取引先であれば共に咲いていけないかを常に考えています。取引先が儲かって、先に出世してもらえば、あの時はお世話になったと、「そろそろ君の番だよ」と多くの手助けをしてくれるようになり、最終的には自分自身も引っ張り上げてもらえるものです。
その10 出世する人は、会議を嫌い、できるだけ立ち話で済ませる。窓際の人は、会議こそが我がアイデンティティと考え、会議を長引かせる。
出世する人は、会議をできるだけ減らすように工夫を凝らしています。できるものなら会議など行わず、コーヒー片手に、立ち話で打ち合わせを終わらせようとさえします。立ち話というのは案外と疲れるもので、長時間話し込むことができませんから、意外と結論は出やすいものです。
窓際の人は、仕事をサボる口実のため、座り込んで話をしやすい会議を開きたがります。仕事でろくな成果を挙げられないから、会議を開くことによってアイデンティティを必死に保とうとし、いったん椅子に座り込むと必ず話は長引きます。こうして何も成果を出せないまま、会議とともに40年が過ぎていきます。
その11 出世する人は、ベストセラーに敬意を示す。窓際の人は、ベストセラーをバカにする。
出世する人は、本にしろ、ファッションにしろ、食ベ物情報にしろ、ベストセラーには必ず自分で実際に手に触れており、自分でレジに並んで買って経験します。そして自分以外の人たちがベストセラーを買う表情や、行動パターンを観察しています。
その結果、インターネットやテレビだけでは永遠に気づくことができない自分だけの一次情報を獲得することができ、この一次情報を加工して自分なりの仮説を構築できるのです。
窓際の人は、ベストセラーをバカにして触れようともしないから一次情報を得ることがありません。従って、自らもベストセラーは生み出せず、そのまま生涯を終えることになります。
その12 出世する人は、課長が部長に報告しやすいように伝える。窓際の人は、自分の思いを一方的にまくし立てる。
コミュニケーションで大切なのは、相手に伝えた話の内容の良し悪しではなく、相手に自分考えたことがきちんと伝わったかどうかです。
例えばあなたが課長に何か報告をしたとき、課長が理解したことがあなたの意図としたことと違えば、その報告はまったく無意味なものとなります。さらにはあなたよりも報告の上手な同僚によって課長がその内容を理解したときには、あなたは無用の存在に成り下がります。
上司とのコミュニケーション不足によって、あとで、「言った、聞いてない」という議論になるケースも多いと思いますが、これは100%部下であるあなたの説明が悪く、そのために相手が理解できなかったとわきまえるぐらいのほうがむしろ良いのです。
コミュニケーションが上手な人は、伝言ゲームを連想します。課長に報告をするとき、さらには課長がその上司である「部長に伝える姿」をイメージしながら課長に伝えるのです。課長が部長に正確に情報を伝えなければ、自分の考えは上へは伝わっていきません。
ひいては自分の考えは常に課長止まりになってしまい、あなたの出世はせいぜい係長止まりということになるのです。
その13 出世する人は、1日に決断した数が年収に比例することを知っている。窓際の人は、決断しないから年収はゼロに近づいていく。
1日に100回決断できる人は、自然に出世して役職も年収も高くなっていきます。1日に1回も決断できない人は、自然に落ちぶれて次第に役職も年収も低くなっていきます。決断した瞬間、そこに初めて仕事が発生し、お金が発生するからです。決断から逃げた瞬間、たちまちそこから仕事が消えて、お金も消えていきます。
会社という場所では、決断できない人は、決断した人が作った仕事に絶対服従するしかないものです。決断できない人は、自分の仕事を作ることができず、一生決断した人に養ってもらうしかないのです。
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いかがでしょうか。会社を辞めて自由業をやっている私が言うのもなんですが、なかなか参考になると思いませんか。
私自身、東京の大手の建設コンサルタントに長年勤めて最後は課長までやりましたから、ここで言っていることはよくわかります。出世しないとわからないこともありますが、平社員のうちに上の人が管理者の立場でどう考えているか、を何につけても常に先読みしていく、というのもまた出世の秘訣のような気がします。
なぜか出世する人と、いつのまにか窓際に追いやられる人がいるのか、両者はいったい何が違うのかを、これを読んで年末年始に考えてみるのもいいかもしれませんね。
一方では、「自由に働こう」、「独立しよう」といった趣旨の本がよく売れているようですが、しかし、会社にすら埋もれて窓際に追いやられているような人が外に出てうまくいくはずがありません。
自由になるためにも、まずは今の職場で成功してみましょう!今いる場所で「出世」する際に得た経験は、会社を辞めたあとの人生においても必ず自分を輝かせる糧として戻ってくるはずです。
さて、今年の二十四節気はあともう冬至だけです。今年は12月22日が冬至で、北半球では太陽の南中高度が最も低く、一年の間で昼が最も短く夜が最も長くなる日です。
ということはこの日を境に逆に来年に向けてだんだんと日が長くなるというわけで、やがて「夜明け」がやってくるわけです。なんだか来年が妙に待ち遠しくなってきました。