梅雨明け宣言こそ出てはいませんが、ここ伊豆では連日良い天気が続き、山の上の我が家でも気温が30度を超えることもあり、庭仕事などしようものなら汗だくだくになります。
汗に加えて、この庭仕事を邪魔する最大の敵は「蚊」です。この別荘地にはなぜか藪蚊が多く、この時期に虫よけスプレーをしないで庭に出ようものなら、手やら足やらをしこたま刺されて真っ赤になり、かゆいことこの上ありません。
蚊によく刺されやすい血液型の人と、刺されにくい血液型の人があると言われます。一般的には、O型が刺されやすく、A型が刺されにくいとされているようですが、A型の私がこれだけ喰われるのですから、この説はウソに決まっています。
実際、蚊にさされやすいかどうかをABO式血液分類を基準にする科学的根拠はなく、蚊の吸血行動に影響を与えそうな血液型由来の物質も、現在のところ知られていないようです。これらのことから、現状では刺されやすい血液型と、刺されにくい血液型があるという説は、科学的に否定的な見方が強いようです。
逆に科学的に実証されているのは、蚊は二酸化炭素の密度が高いところや、周りより温度が高いところへ向かう習性があるということです。蚊は、血を吸おうとする生物の体温や匂いとその周りとの二酸化炭素の密度の違いなどで血を吸う相手を探しています。
なので、体温が高く、呼吸回数が多い、つまり新陳代謝が激しい人は特に刺されやすいということになります。また、普段は刺されにくい人でも、新陳代謝量が増える運動をした後や、ビールなどを飲んだ後は刺されやすくなります。これはお酒を飲むと、体内でのアルコールの分解により体から出る二酸化炭素量が増え、蚊に刺されやすくなるためです。
このほか、ヒトは加齢とともに可聴音の範囲が徐々に狭まり、蚊が出す高音域の羽音を聞き取ることができにくくなるそうです。“キーン” “ブーン”という音が聞き取りにくくなり、蚊が近づいているという認識ができず、刺されやすくなるといいます。
さらに、黒色の服は熱を吸収しやすいため、黒い服を着ていると刺されやすくなり、白色の服は熱を吸収しにくいので、刺されにくくなることがわかっています。しかし、じゃあ黒人や白人より蚊に刺されやすいのか、という疑問が生じます。これについても調べてみましたが、傾向としては一応あり、ということのようです。
もっとも、アフリカなどの暑いところに住む黒人は外部での生活にも慣れており、強靭な皮膚を持っていると思われるので、そもそもあまり蚊には刺されないのではないでしょうか。推測ですが。
また、人間以外の動物も蚊に血を吸われるそうですが、多くの動物は人間よりも毛が多いので、なかなか皮膚にまで達することはできにくいようです。しかし、皆無ではなく、飼い犬などでは、蚊を媒介してフィラリアという寄生虫が移るそうで、愛犬家の中には月1で予防薬を飲ませている人もいるそうです。
蚊は伝染病の有力な媒介者であり、このフィラリアのような線虫病原体のほか、マラリアなどの原生動物病原体、黄熱病、デング熱、脳炎、ウエストナイル熱、チクングニア熱などのウイルス病原体を媒介します。日本を含む東南アジアでは、主にコガタアカイエカが日本脳炎を媒介し、最近は地球温暖化の影響で発生範囲が広くなっているといいます。
媒介の対象となる生物はヒトを含む哺乳類以外には鳥類が多く、このほか爬虫類・両生類・魚類からも吸血する種類の蚊もいるそうです。
この蚊は、全世界には35属、約2500種も存在するといいます。蚊の最も古い化石は、1億7,000万年前の中生代ジュラ紀の地層から発見されているそうで、つまりは人間が誕生する以前からこの地球にいる大先輩です。
だからといって尊敬の念をもって接しようとは思いもしませんし、だいいち頼みもしないのに接してくるような無礼な奴と親しくなんかしたくありません。むしろ、「人類の敵」として撲滅したいくらいです。が、そのためには相手を良く知る必要があります。
この蚊の体重はわずか2~2.5mgですが、飛行速度は約1.5~2.5km/hほどもあります。通常でも1秒間に520回以上羽ばたいて、結構機敏です。さすがに吸血後は体が重くなるため飛行速度は落ちますが、血を探して飛翔する距離は思いのほか広く、行動圏の広さは種によって様々ですがコガタアカイエカの通常の1日の行動範囲は1km程度といわれています。
しかし、中には1日で5kmのほどの距離を飛ぶ個体もあり、どうやって調査したのかわかりませんが、ある調査では和歌山県の潮岬南方500kmの海域において、本土から飛んで行ったと思われるコダカアカイエカが確認されたそうです。
これは風速を考慮すると高知県から24時間、あるいは静岡県から19時間で到達したと考えられるといいます。だとすると、風に運ばれたとはいえ、時速20キロにも及ぶ速度で移動したということになります。
それにしても、そもそもなんで、蚊が血を吸うのかですが、これは蚊のメスが卵を発達させるために必要なタンパク質を外部から調達したいがためなのだそうです。ただし、オスはメスと違い、血を吸うことはありません。
メスの蚊は、その吸血のために顎の部分が発達して長くなっており、その先端の鋸歯で相手の皮膚を切り開き、さらにその針のような長い顎を侵入させ、毛細血管を探り当てます。
その上で、吸血をさらに容易にするため、自らの体内で生成した特殊な「生理活性物質」を含む唾液を相手の血管に注入し、その上で吸血行為に入ります。この特殊な唾液は血液の中の血小板が凝固してしまうことを防ぎます。この抗凝固作用がないと、蚊が吸い上げた血液は自らの体内で固まってしまい、蚊自身が死んでしまうためです。
ところが、この蚊が出した唾液を、血液ごとすべて回収してくれればいいのですが、通常蚊に喰われた相手の体内にはこの唾液が少量残ります。そしてその相手がヒトである場合は、とくにこの唾液が人体にアレルギー反応を引き起こし、その結果として血管拡張などにより、いわゆる「痒み」を生じさせるのです。
この唾液は本来、吸引した血とともに蚊の体内に戻されます。従って、蚊に吸いたい放題吸わせてやり、ほとんどの唾液を血液とともに戻させてやれば、体内に残る唾液も少なくなります。従って、この場合の刺された箇所の痒みは、唾液が戻されなかった場合よりは軽度になります。
逆に、蚊に刺された瞬間と気づいてピシャっと叩き潰した場合は最悪です。唾液が注入されたばかりであった場合はそのほとんどが体内に残り、強い痒みを引き起こします。蚊を叩き潰すことは、注射と同じです。刺さっていた口器を通して蚊の体内からポンプのように唾液が押し込まれ、唾液が体内へ流れ込むことをより促進することになります。
ただし、これを叩くのではなく、指で弾き飛ばすようにすると、痒みを減らすことができるそうです。その場合、蚊を取り逃がすことになってしまいますが、痒みを減らすという意味ではこれは効果がありそうです。
不幸にも刺されてしまった場合。これはもうどうしようもなく、血液中の蚊の唾液を中和してくれるような薬剤はないそうです。従って、抗ヒスタミン成分を含んだ軟膏や液薬を塗布して炎症を抑えるだけ、という対処療法にならざるを得ません。
刺されてしまう前の対処法としては、やはり蚊がまだボウフラのころに駆除するのが一番です。蚊の蛹はとくにオニボウフラ呼ばれ、これは漢字で「鬼孑孒」と書きます。これは胸から伸びた呼吸管が鬼の角のように見えることに由来します。この呼吸は胸の「ホルン」と呼ばれる器官を使って行います。
蚊の卵はヤブカ類では水際に、オオカ類やハマダラカ類では水面にばらばらに産み付けますが、イエカ類では水面に卵舟と呼ばれるボート状の卵塊を浮かべ、数日のうちに孵化します。
産み付けられた卵や幼虫は「産卵誘因フェロモン」なるフェロモンを放出するそうで、卵や幼虫がいる水ほど他の蚊が産卵しやすいそうで、つまりは類は友を呼ぶということになります。従って、蚊の増殖を防ぎたかったら、まずは水溜まりを徹底的になくすことが必要です。
竹藪の中は蚊が多い場所としてよく知られていますが、これは竹は折れたり切り取られたところに雨水が溜まりやすいためで、蚊はこうしたところを好んで卵を産みます。我々が棲む別荘地内にもあちこちに竹藪があり、おそらくはこうしたところを中心にボウフラが発生しているのだと推測されます。
蚊は、一生のうちで、卵→幼虫→蛹→成虫と変態します。卵から蛹までの期間は種や温度によって変わり、イエカの場合は、だいたい20℃の環境では14日で成虫になります。25℃の環境では10日となり、つまり温度が高いと早く成虫になりやすくなります。
他の昆虫の蛹と同じく蛹になったら餌はとりません。が、蛹としては珍しく幼虫と同じくらい活発に動きます。蛹になる前の幼虫の時代をボウフラと呼びます。全身を使って棒を振るような泳ぎをすることから、「棒ふり」が転じてこう呼ぶようになったともいわれ、地方によってはボウフリとそのままで呼ぶところもあるようです。
ボウフラの呼吸管の近くには鰓のようなものがありますが、これは呼吸のためではなく、塩分の調節に使われると考えられているようです。つまり、海に近い海水が溜まったような場所でも育つことができるわけです。なかなか賢い奴です。
トウゴウヤブカにみられるように、海水が混じるため海浜部にある岩礁の窪みの、しばしば高い塩分濃度になる水たまりにも生息するものも知られています。
また、ボウフラは定期的に水面に浮上して空気呼吸をしつつ、水中や水底で摂食活動を行います。水中や水底の微生物の死骸や細菌類などを食べますが、大型の蚊の幼虫は他の蚊の幼虫をも捕食するそうです。
微生物の死骸や細菌がたくさんある場所というのは、一般には流れのない汚れた沼や池などのように、底に何等かの沈殿物があるところであり、ボウフラはこうした場所をとくに好みます。
ところが、ハマダラカの一部などで知られるようにきれいな水を好むものもおり、それ以外にも水たまりや水の入った容器の中など、わずかな水場でも生息するものがいます。このことからも、ともかく蚊を駆除したかったら、まずは家の周りの水溜まりという水溜まりを徹底的に排除することが肝要です。
ただ、逆にこうした水溜まりを人為的に多数作り、ここに積極的に卵を産ませた上で、ボウフラに育つ前に、それを捨てる、という行為を繰り返すことで、蚊の増殖を防ぐという方法もあるようです。これを町ぐるみでやった結果、蚊の数が激減した、という例もあります。
また、蚊に卵を産ませるトラップも売られているそうで、これは蓋の付いたバケツ状の罠で、この中に入れた水に蚊が卵を産みボウフラになりますが、成虫が出ていく出口がなく、蚊の繁殖行動が失敗に終わるというものです。
自作することもでき、ペット・ボトルなどが使えそうですが、実際にそうしたものの作り方がNHKでも紹介されたことがあるそうです。
また、ボウフラは環境の変化には弱く、水質が変化したり、水がなくなったりすると死滅しやすいほか、流水には卵を産みつけません。従って、庭に池などを設けた場合は、ポンプなどを使って中の水を常に循環させると蚊が卵を産みにくくなります。水に銅ファイバー、繊維状のものを入れたら9割が羽化せずに死滅したという実験結果もあります。
ただ、渓流のよどみを主な生活場所とするような特殊な環境で成長する種類もおり、このほか樹木に着生した葉の間にたまった水、食虫植物の捕虫器内の水、波打際のカニの巣穴内などで成長する種類もいるといます。従って、ともかく蚊を駆除したかったら水という水をなくすということに尽きます。
このほか、ボウフラは空気を呼吸するのに尾端にある吸管を使用します。が、ハマダラカ類では呼吸管がないため、体を水面に平行に浮かべて、背面の気門を直接水面に接して呼吸します。
いずれにせよ、水面に出て空気を吸う必要があることから、例えば水面に油を浮かべれば空気が吸えなくなって死滅します。もっとも水溜まりに油を流すというのは、水を汚すことになりますし、あまり好んでやる人はいないかもしれませんが。
このように蚊の発生を防ぐためには、まずは卵を産み付ける水環境を徹底的に排除するか、あるいは改善することが必要です。が、我が家の周辺のような自然豊かな場所ではそういう場所を徹底的に潰す、といことは逆に自然破壊にもつながりかねません。
このため、蚊を食べる特別な動物を「天敵」として使うという手もあります。トンボやクモはよく知られた蚊の捕食者であり、積極的に蚊を食ってくれます。トンボの幼虫のヤゴは水中で蚊の幼虫を食べ、成虫のトンボは成虫の蚊を食べるので、トンボさんは人間の強い味方です。
トンボは昼行性の蚊も良く食べるそうで、たとえばヒトスジシマカなどにとってトンボは有力な捕食者となりえます。従って、お子さんの夏休みの宿題だからといってトンボを捕らせるのはやめにしましょう。
さらにボウフラは淡水に住む肉食性の小型魚類にとって格好の餌であり、古くから池にフナや鯉を入れるのは、蚊の幼虫を捕食させるためです。このほか、最近減っているといわれるメダカやウナギの稚魚などもボウフラを良く食べてくれます。
ところが、このメダカに代わって日本で爆発的に増えているのが、北アメリカ原産の「カダヤシ」です。メダカにもよく似ていますが、こちらもボウフラをよく食べてくれるそうなので、その増殖は痛し痒しといったところです。
一方、蚊を遺伝子操作で殺そうという試みも最近試されているそうです。イギリスのロンドン大などの研究チームが、蚊の遺伝子に、雌の蚊が生まれてくるのに必要なX染色体が正常に働かなくなる遺伝子を組み込んだところ、通常は生まれてくる蚊の雌雄比率が50%ずつなのに対し、遺伝子操作を行った場合は雄が95%を占めるようになりました。
また、遺伝子を組み換えた雄50匹と、通常の野生の雌50匹をケースに入れて飼育したところ、世代交代とともに雌の不足のため繁殖できなくなり、6世代以内に全滅したといいます。
研究チームは、「マラリアを撲滅する革新的な手段だ」と主張し、この成果が伝えられると、ツイッターや掲示板などでは「ゴキブリにも応用できないか」などと歓迎する声がみられました。ところが、しばらくすると、「蚊はいなくなってほしいけど別の生きものに影響がありそうだ」「いやな予感がする」といった、否定的な意見が出てくるようになりました。
「蚊や幼虫のボウフラを食べる生物が困る」「小型の鳥類や昆虫類、魚類などが激減する」などという生態系への悪影響に対する懸念を示す投稿も多くなり、また「マラリアで死んでいた有害な獣類が大繁殖するかも」という指摘もありました。
かつて、人間に有害な種を絶滅させたことで、大きな弊害が出た例としては、中国の文化大革命における大躍進政策があります。この政策では、農作物を食い荒らすスズメを大量に殺すなどしましたが、結局、スズメに食べられていた害虫が大量発生して、農業生産に壊滅的被害が出ました。
遺伝子操作による蚊の発生の抑制について否定的な人の中には、雌の誕生を阻害する遺伝子が、マラリア原虫のような媒介生物経由で別の生物に取り込まれ、蚊以外の生物でも雄ばかりが増える可能性もある、と言う人もおり、遺伝子を操作する手法そのものの危険性が指摘されています。
一つの種だけを絶滅させることに対しても反対の声が多く、遺伝子操作をどうしてもやりたいなら、それならいっそこれを人間側で行い、蚊が吸いたくなくなるような血液にすればいい、という人までいるくらいです。
ただ、ハマダラカなどを媒介物とするマラリアなどの伝染病は、地球温暖化の関係からか世界中の熱帯・亜熱帯地域で増え続けており、1年間に3億人以上が感染し、年々150万人上が死亡していると推測されています。
日本でもかつて土着マラリアが存在しましたが現在では絶滅しています。しかし海外から帰国した人が感染した例が年間100例以上あるといい、けっして対岸の火事というわけではありません。
温暖化や自然災害などにより環境が著しく変化した場合は蚊が増え、再び流行を起こす可能性もあることが専門家からもたびたび指摘されているところです。従って、すぐに実施に移すかどうかは別として、遺伝子操作のような対策は、日本においてもある程度は研究していく必要がありそうです。
もっとも、当面は日本でのマラリアの爆発的な蔓延はなく、蚊対策としては、上述のような大々的な駆逐まではせずとも、昔ながらの蚊取り線香がのような殺虫剤があればまァ、なんとか我慢できるか、というレベルでしょう。
この蚊取り線香を発明したのは、和歌山県出身の上山英一郎という人です。主に明治を生きた人で、実家はミカン農家として有名な農家だったそうです。
慶應義塾(現・慶應義塾大学)へ入学中に、サンフランシスコで植物輸入会社を営んでいたアメリカ人が福澤諭吉の紹介状を携えて訪ねてくる、という出来事があり、このとき、上山はこの人物に竹、棕櫚、秋菊などの珍しい植物を進呈し、その見返りに除虫菊の種子を譲り受けました。
これをもとに除虫菊の栽培研究を開始し、その栽培技術を確立したのちは全国各地を講演して回り、この種の普及に努めるようになります。1890年(明治23年)、仏壇線香からヒントを得て、持続時間1時間程の棒状の蚊取り線香を考案、発売したところ、これが大ヒット。
しかし、持続時間が短かったことから悩んでいたところ、ある時、彼の奥さんのある経験から「渦巻き型にすればよいのでは」というアイデアを得てその改良に着手します。この奥さんは、倉の中でとぐろを巻く蛇を見て驚きますが、夫の元に駆けつけそのことを告げたのがその発想の元だったといいます。
このデザインにすると、燃焼時間が長くなり、かつ嵩張らずに蚊取りを作ることができます。渦巻きを解きほぐすとその全長は75cmにも達し、一度の点火で7時間使用できます。また、従来のような棒状のものでは何かに立てて使わなければならなかったものが、吊り下げた状態で使えるようになったため安全に取り扱えるようにもなりました。
ただ、生産方法に難があり、その改良に時間がかかり、実際に日本初の渦巻き型蚊取り線香「金鳥」が発売開始されたのは、1902年(明治35年)になってからでした。上山はそれまでの功績からその後、藍綬褒章、勲六等瑞宝章を受章し、死後もその遺徳を称えられ広島県の尾道市にある「除虫菊神社」の神として祀られているといいます。
なぜ広島なのかといえば、1886年(明治19年)英一郎が初めて除虫菊を植えたのがこの尾道市内であり、ここが日本の除虫菊の発祥の地のためです。第一次、二次の二つの世界大戦の戦間期には、この広島をはじめとし、和歌山、愛媛、香川、岡山、北海道などに生産が広がり、特に瀬戸内海沿岸各地の段々畑で多く栽培されました。
第二次世界大戦中までは日本が世界一の生産国でしたが、戦後は食料増産が必要となり栽培面積が激減しました。また、殺虫剤としてピレトリン類似化合物のピレスロイドという化合物が使われるようになると、日本では産業用としての栽培は行われなくなりました。
従って、現在我々が使っている蚊取り線香は、化学合成された殺虫成分が含まれているものであり、昔ながらの徐虫菊由来のものではありません。ただ、ケニアなどではいまだ殺虫剤の原料として除虫菊が栽培されてはいるそうです。
最近ではさらに電気蚊取り器が普及したため、この蚊取り線香そのものもあまり使う機会もなくなりました。が、やはり昔ながらのブタさん蚊取りは風情があり、ウチでもときおり使って、煙がたなびくそのさまを見てを楽しんだりもします。
さて、週末です。今週こそは、ほったらかしにして伸び放題になっている庭の槇の木の剪定や、ツツジの整枝を行おうと思っており、その際の蚊予防にはやはり蚊取り線香が活躍しそうです。
野外で庭仕事をしている際の強い味方であり、電気蚊取りが普及した現在でも蚊取り線香はやはり欠かせません。これからも大事な友として愛していきたいと思います。