気がつけば2月も中旬になり、バレンタインデーはもうすぐそこです。
実はこの日、我々夫婦の入籍記念日でもあります。しかも今年は記念すべき10周年ということで、長い結婚生活のひとつの節目でもあるわけです。
とはいえ、このあと続く25周年目の銀婚式までには程遠く、50年目の金婚式はまだ40年も先であり、はたしてその時二人はこの世にいるのでしょうか。
この結婚記念日の起源は、神聖ローマ帝国時代に遡るそうで、結婚25周年を祝い、皇帝が妻に銀でできた冠を贈り、50周年では金冠を贈ったことにちなみます。
その後、発展した商業主義によりほかの記念日の品も追加されるようになり、最初のうちは廉価で柔らかく日常的な物から始まり、徐々に高価で硬い貴重品へと変わる、というシステムは20世紀になって確立されたようです。
ところが、元々、「夫婦」としての絆より「家」の絆を重視した日本では、結婚記念日を祝うという習慣はありませんでした。
江戸時代に発達した、武士階級の家父長制的な家族制度を基にし、1898年(明治31年)には民法により「家制度」制定されました。しかし、1947年(昭和22年)にはこの民法が大規模に改正され、親族・相続の定義が根本的に変更されたのに伴い、廃止されています。
以後、西洋化が加速し、家同士の結婚という縛りがさらに薄れてきた現代では、西洋並みに夫婦としての絆が重視されるようになりました。結婚記念日に何かを贈り合うという家庭も増えてきたようで、かくいうわが家でも最初は何かをお互いにあげていましたが、最近は記念日にちなんだ品を夫婦で買いに行く、といった形におちついています。
で、今度の結婚記念日としては何かな、とあらためて調べてみたところ、アルミ婚式、もしくは錫婚式だそうで、やはり昨年の陶器婚式よりは少し高級になったな、といったかんじ。
さらに、アルミ婚式、錫婚式の意味を調べてみると、「美しさと柔らかさを兼ね備えて」ということのようで、別に錫やアルミそのものに限定する必要もないようです。ヤカンや寸胴(ずんどう)などの食器のほか、錫・アルミ製のアクセサリーなどもありとのことで、このほかアルミを使用した日用品は数多く、非常に生活に身近な金属です。
金属の中では軽量であるために利用しやすく、また、軟らかくて展性も高いなど加工しやすい性質を持っています。さらに表面にできる酸化皮膜のためにイオン化傾向が大きい割には耐食性もあることから、一円硬貨やアルミ箔、缶(アルミ缶)、鍋、に用いられます。
工業用製品としても、外構/エクステリア、建築物の外壁、道路標識、ガソリンエンジンのシリンダーブロック、自転車のフレームやリム、パソコンや家電製品の筐体など、様々な用途に使用されています。
ただし大抵はアルミニウム合金としての利用であり、1円硬貨のようなアルミニウム100%のものはむしろ稀な存在です。アルミ系合金の筆頭としてはジュラルミンが挙げられます。アルミニウムと銅、マグネシウムなどによる合金になります。
1903年にドイツで確立された合金手法です。このころ薬莢の材料として従来は銅と亜鉛の合金の黄銅を用いていましたが、「もっと軽いアルミニウムを銅と混ぜたらよいのではないか」という発想から、4%の銅を混ぜたアルミニウム合金を作ったところ、軽量でありながら破断に強い合金が得られました。
ジュラルミンとはこれが開発された地名のデュレンとアルミニウムの合成語です。第一次世界大戦の前夜というタイミングでもあり、この頃始まったモノコック成形に最適で、高い耐破断性を持ち、超軽量であることから、航空機材料などに用いられました。
1910年代、ツェッペリン飛行船やユンカースの輸送機への導入を機に、現在に至るまで航空機用資材として広く用いられるようになりましたが、金属疲労に弱く、腐食もしやすいという欠点を持つため、航空機などでは十分な点検体制を取ることが求められています。
今日、このアルミニウムとジュラルミンは世界の工業を支える最も重要な資材として定着しています。
ジュラルミンを含み、現在、日本のアルミニウム用途で最も大きい用途は輸送用機械の製造だそうです。2014年のデータでは、なんと40.1%を占めます。次いでアルミサッシなどの建築用途が12.9%、アルミ缶やアルミ箔などの容器包装用途が10.6%を占め、この3分野が主なアルミニウムの用途であるといえます。
鉄道車両としては、新幹線電車をはじめとして特急型電車や通勤型電車などでアルミ車体の採用例が多いようです。押し出し材を使って長大な部材を一体成型し、さらに連続溶接組立する低コスト化量産法が確立され、同一断面を保った16~25mに及ぶ車体を持つ鉄道車両では生産性の面でメリットが大きいためです。
新幹線では、1982年(昭和57年)に開業した東北新幹線・上越新幹線の初代営業用車両からアルミが用いられました。耐雪装備による重量増加を抑えるためアルミニウムが用いられて軽量化が図られたのがきっかけです。
国鉄民営化後に開発された新幹線車両は、その後アルミニウム車体が一般化、さらにアルミ材の加工手法の発達により、製作費のコストダウンとさらなる軽量化の両立が図られました。この結果、国鉄時代に開発された初期新幹線車両より著しく軽量化されるに至ります。
世界初の210 km/h運転を達成したこの新幹線の成功はまた、欧米各国にも影響を及ぼしました。鉄道先進国を自負していたフランスは、1967年5月28日よりパリ – トゥールーズ間の列車「ル・キャピトール」を欧州において初めて一部区間で200 km/hで運転し、その後も複数の列車を200 km/hで運行するようになります。
その後も1981年に本格的な超高速列車TGVを開発し、営業最高速度260 km/hというスピード世界一を達成し、新幹線の記録を凌駕しました。
さらにドイツも高速列車の開発に参入し、2003年に開業した中国・上海浦東国際空港へのアクセス用に建設された上海トランスラピッドの最高速度は430 km/hに達しました。ただし、現時点では、浮上式鉄道を除くとフランスTGVの高速試験車V150編成が記録した574.8 km/hが最高速度です。
これに対して、日本の非浮上式鉄道の最高記録はJR東海の300Xによって達成された443 km/hで世界第3位であり、さらに高速な車体の開発も模索されています。
一方では、こうした非浮上式の鉄道である新幹線がこれ以上のスピードで営業運転を行うのは無理と考えられています。とくに東海道新幹線は建設時期が古く、カーブなどの線路状況が200 km/h台の設計になっています。
より新しい山陽新幹線・東北新幹線などもフランスやドイツなどと比較すると山岳区間が多く、路線の起伏やカーブの設計などにおいて高速化を妨げる点が多いようです。特に東北市感染は上越新幹線共々寒冷地の耐寒・耐雪装備が不可欠であり、重量的に不利といわれます。
また沿線に住宅地が多いため、騒音への対策も必要となるなど、300 km/h以上の運転には解決すべき課題が多いようです。
JR東日本は2004年から360 km/h走行を前提とした試験車両を開発し、さらに2009年からはこれをベースとして320 km/hでの走行を前提にした車両を製造しました。そして、新青森延伸後の2011年3月5日に300 km/hで営業を開始し、2013年3月16日より320 km/hでの営業運転を開始しています。
さらにJR東海は東海道新幹線の一部区間で、営業時の最高速度を270 km/hから330 km/hに引き上げることを検討しています。330 km/h走行は京都 – 米原間の直線が長い一部区間を対象に「のぞみ」の始発や終発に限った運行を想定。最先端の車両であるN700系を使い、前方に待機列車がなく、性能を存分に発揮できる時間帯に導入されます。
しかし、どうあがいても非浮上式では400 km/h以上の地上走行は無理と考えられており、将来的にはやはりリニア新幹線に期待がかかっています。
現在、2027年に予定している中央新幹線(品川駅 – 名古屋駅)開業の際の営業用仕様としては、L0系が開発されています。L0系(エルゼロけい)の「L」はLinear(リニア)を、「0」は0系新幹線のような第1世代の車両を意味します。
最近のニュースで、大手ゼネコンによる談合が問題になっている通り、既にこの車両を走らせる路線も建設中であり、既に2013年(平成25年)8月29日に、山梨リニア実験線の全区間42.8kmが完成しています。
2015年4月14日には、この路線を使って試験走行を行い、2003年に記録した2876kmの24時間走行記録を更新したのに続き、4月21日には世界最高速度603 km/hを達成しました。
この記録を達成した実験線は、2020年東京オリンピック開催前に、山梨県駅まで延伸した上で、起点の実験センター ~ 山梨県駅間で乗降できるようにする検討がされているといいます。
現在、冬季オリンピックが開催されていますが、その2020年までもうあと2年と迫ってきました。そしそのさらに7年後にはリニア新幹線が開通するというのは、何か夢のようでもあります。
実はこの2027年には、あの「あべのハルカス」を90メートルも超える、高さ日本一を更新するビルが東京駅前に完成予定だといいます。三菱地所は2015年に、「朝日生命大手町ビル」を含む東京駅日本橋口前の常盤橋地区を再開発し、この高層ビルなど計4棟のビルを建設すると発表しています。
計画によると、事務所、店舗、駐車場を含む複合ビルのB棟は、地上61階・地下5階、高さ約390メートル、延べ床面積が約49万平方メートルと大規模になるといいます。同ビルの建設は、2023年から開始する予定だそうです。
リニア新幹線が完成し、この日本一のビルが出来上がる2027年まであとわずか9年。我々の結婚記念日はそのとき19年目を迎えますが、その翌年にはさらに記念すべき20周年を迎えます。
改めて結婚記念日を調べてみると、磁器婚式、陶器婚式だとか。その心は、「年代と共に値打ちが増す磁器のような夫婦」だそうです。
はたしてその通り値打ちが上がるかどうかは、これからの心がけしだい。仮に値打ちがあがらないにせよ、せめて価値が下がらないよう、頑張りたいものです。
そのためには、さらにお互い、自己啓発・自己開発もかかせないでしょう。20年目の陶器婚式を目指して、今から陶芸家を目指すのもいいかもしれません。