ストレングス・ファインダー

台風が過ぎ、秋の青空が戻ってきました。この台風がもたらした雨は、富士山頂では雪に変わり、今朝の富士山はその頂が真っ白になりました。まさに冬の女王が帰ってきたというかんじで、すごい風格です。

やはり雪の富士山はいいなーとつくづく眺めてしまいます。これからしばらくの間はお天気もよさそうなので、この真っ白い富士山を毎日眺められそう、と考えると幸せな気分になります。

さて、昨日はお天気が悪かったので家の中でいろいろ内業をやっていました。少し調べモノがあって、書棚の中を探していたら、その昔やった「性格診断」のような紙が出てきました。

なんだっけかな~と思って開いてみると、それは、「ストレングスファインダー」の分析結果でした。

ストレングスファインダーとは、アメリカのギャラップ社という企業マネジメント会社が提供している、性格診断テストのことです。この会社でマネージャーをやっていた、マーカス・バッキンガムという人と、ギャラップ社の元会長のドナルド・クリンという人が二人が開発しました。

なんでもギャラップ社という会社は、各企業の「社員教育」を任されている会社で、優れたマネジャーを育てるいわゆる企業コンサルタントというヤツです。

そしてそのコンサルタント活動の傍ら、およそ30年をかけて、分野を問わず、傑出した才能を持つ人たちに体系的な調査を行い、およそ200万人超の人にインタビューを行った結果、このテストを完成させたそうです。

このテストの目的は、それぞれの人が持っている「才能」を見つけ出そうというもので、それまでの調査の結果、その才能をみつけるためには、次の4つが手がかりになることがわかったといいます。

無意識の反応
切望
習得の速さ
満足感

「無意識の反応」というのはわかりにくいのですが、例えば、知り合いがほとんどいないパーティに出席したとして、そのパーティでどんな人と一緒に過ごすかを想像してみてください。このとき、初対面の人と過ごすだろうと思い当たる人は、「社会性」にすぐれ、一番親しい人が真っ先に思い浮かび、その人のそばを離れないだろうという人は「親密性」に長けている、と考えることができます。

別の例では、もし部下の一人が子供の病気を理由に欠勤の連絡をしてきたときに、あなたが部下に最初にどんなことを考えるかを想像してみてください。まず何によりも部下の子供のことが気になり、誰が看病しているのだろう、といった質問を部下に投げかけるような人は、「共感性」に優れているのかもしれません。

反対に、部下が欠勤することによって、その穴を誰に埋めさせようか、というようなことに真っ先に意識が向くような人は、種類の異なる複数の事柄に即座に優先順位をつけて整理ができる、「アレンジ」という才能に秀でているのかもしれません。

このように、何か問題が発生したときに無意識に考えたり、行動するその内容こそが、その人の「才能」を表している可能性があるといます。

二番目の「切望」は、とくに幼少期のころに現れやすい才能だそうで、例えばピカソは13才で美術学校に通い大人に交じって芸術を学んでいたそうで、また建築家のフランク・ゲーリーは、5才のときに父親が経営する金物店から持ち帰って木切れで、自宅の居間の床に複雑な模型を組み立てていたそうです。

また、モーツァルトが初めて交響曲を書いたのは12才の誕生日を迎える前のことだそうで、このように、子供のころにこれになりたい、あれをやりたい、という「切望」がその人の才能を開花させるエネルギーになるわけです。

こうした切望は、大人になるにつれ、社会のいろいろな義務によって押さえつけられ、やがては日々の生活の中に埋もれていってしまうことも多々ありますが、子供のころに何が得意だったか、を思い出すことによって、その才能が改めて浮き彫りになる、ということも多いようです。

三番目の、「習得の速さ」はわかりやすいですよね。どんな人にも、これだけは誰にも負けないくらい早く覚えられるし、できる、ということはあるものです。中には本人もその才能に気付いていなくて、ある日これ、やってみて、と言われたことが、これまでは一度もやったことのないにも関わらず、簡単にできた、なんてことはよくあります。

新しい仕事のためにしろ、新しい目標のためにしろ動機は何であれ、新たな技術を学び始めたとたん、配電盤のスイッチがすべてオンになったような感覚をもったことがある人は多いのではないでしょうか。

そして最後の「満足感」。これは簡単なようで難しい感覚です。自分が心して楽しんでいるかどうかはすぐにわかると思います。しかし、それを自分がどう自覚したか、その方法を誰かに教えてみろ、といわれたときのことを考えてみてください。単純ではないことがわかります。

多くの人が、満足感というのは、「感じているか」「感じていないか」程度のものであり、それがどういう感覚なのかを説明しろ、といわれると戸惑います。

しかしそんなことを言っていると、「満足感」を感じさせるための才能は何であるかをみつけることができません。なので、例えば「これはいつ終わるのだろうか」と考えているような仕事をしているときを想像してみてください。この状態はおそらく、才能を生かしていない状態ではないでしょうか。

一方、これからのことを考えたときに「いつまたこれができるか」と考えられるような仕事であれば、その仕事は自分に「満足感」を与える仕事ということになります。満足感を味わえるような仕事をしているその能力こそが、その人の才能のひとつと考えることもできるでしょう。

これらの、「無意識の反応」、「切望」、「習得の速さ」、「満足感」はいずれも自分の才能のありかを突き止めるための重要な手がかりです。

しかし、忙しい日々の中で立ち止まり、冷静になってこれらの手がかりを見つけるのはなかなか困難です。そこで、前述のマーカス・バッキンガムらはこれら4つの要素の調査結果をもとに、最終的にはその人の「強みになりうる最もすぐれた潜在能力の源泉を見つける」ことを目的とした一種のテストを作成しました。これが「ストレングスファインダー」です。

実はこの「ストレングスファインダー」のガイド本は、「さあ、才能(じぶん)に目覚めよう
―あなたの5つの強みを見出し、活かす (原題:Now Discover Your Strengths)」という名前で日本経済新聞出版社から出版されています。大きな本屋さんに行くと「自己啓発」の項の棚にたいてい置かれていると思います。

最近テレビでもおなじみになった勝間和代さんも推薦されている本で、この本自体には自己啓発テストは、掲載されておらず、この本の中に記されているシリアルナンバーをもとに、インターネットでギャラップ社のサイトにアクセスし、ID登録した上でテストができるようになっています。

このシリアルナンバーは一人にひとつしか与えられないので、このために本を1冊買う必要があります。が、その価格1680円は、これで自分の才能がわかる、と思えば安いものなのではないでしょうか。

本のほうは、結構分厚く、全部で350ページ以上ありますが、その大部分はテストの結果から導きだされたそれぞれの「才能」の説明です。なので、全部読む必要はありませんが、前半部分を読むとこのテストの妥当性がよくわかります。

私もざっと読みましたが、なかなか論理的なテストだと思います。

このテストの結果導き出される才能は、全部で34もあり、それは、

アレンジ、活発性、運命思考、回復志向、学習欲、活発性、共感性、競争性、規律性、原点思考、公平性、個別化、コミュニケーション、最上志向、自我、自己確信、社交性、収集心、指令性、慎重さ、信念、親密性、成長促進、責任感、戦略性、達成欲、着想、調和性、適応性、内省、分析思考、包含、ポジティブ、未来志向、目標志向、

です。このテストは、その結果として、何が適職か、などは出てきません。しかし、その人が持っている上記の34才能と資質、そしてそれをどう生かしたらよいかについての説明があり、これらを読むことで、今後、「仕事に対してどう取り組めばいいか」が分かってきます。

ギャラップ社が長年に渡って実施してきた調査によると、仕事を最も効果的に行える人は、自分の強みと行動を理解している人たちだといい、こうした人たちは、仕事や家庭生活で日々求められていることをやりこなす戦略的な能力に優れています。

自分にどのような知識やスキルがあるかはある程度は分かっている人は多いと思いますが、自己の基本的な能力とは別に、こうしたテストを通じて自分の本来の資質に気付き理解することができれば、将来的などのような行動を取れば成功を収められるかも、おのずとわかってくるといいます。

「自分だけの特長的な資質」を強みとして成長させ、仕事やプライベートの両面で一貫してよい結果を出させることができるようになる、というのは素晴らしいことだと思います。

ちなみに、私がテストをやった結果は以下のとおりでした。

着想
戦略性
未来志向
運命思考
最上志向

上から順に強い資質だそうです。かなり端折ってまとめてみると、「着想」は、複雑に見える表面の下に、なぜ物事はそうなっているかを説明する、的確で簡潔な考え方を発見することができる能力。

「戦略性」は、いろいろなものが乱雑にある中から、最終の目的に合った最善の道筋を発見することができる能力。

「未来志向」は、常に未来に何ができるかというビジョンが見え、それを心に抱き続ける夢想家であるが、それゆえにそのビジョンを人にも分け与えることができる。

「運命思考」は、「偶然に起こることは一つもない」と考えているタイプで、人々の見えない力を敏感に感じ取り、平凡な日常生活の中に意味があるという安心感を他の人に与えることができる能力。

そして、「最上志向」は、平均以下の何かを平均より少し上に引き上げるには大変な努力をし、平均以上の何かを最高のものに高めるのにも同じように多大な努力をするタイプ。

どうでしょう。このブログを読んでいる方々には私のそうした資質が見えるでしょうか。私自身もおおむねあたっているようにおもいました。とくに、「着想」の部分ではとくになるほど、と感じます。こんがらがった事象を単純化して考えるのが好きみたいです。

タエさんにも、同じくテストをやってもらいましたが、タエさんの場合は、

運命思考
ポジティブ
学習欲
適応性
共感性

だそうです。二人に共通するのは「運命思考」ですが、この能力はスピリチュアリズムにも通じるものだと思います。お互い同じような能力を持っているところに惹かれあったのかもしれません。

彼女自身は、これ以外の「ポジティブ」や「共感性」の部分が特に納得できる部分だと言っていましたが、伴侶からみて「学習欲」はどうなのかな?とも思うのですが、テレビのクイズ番組は好きですね~。その他はおおむね当たっているように思います。

ちなみに、同じテストを何回もやるとどうなるか、という疑問は誰でも持つと思います。ギャラップ社によれば、この順位の変動は多少あるかもしれないが、ほとんどの人は、テストをやった年齢や生活環境、人種や性別の違いなどには左右されず、いつも同じ結果が出るといいます。

ただし、中学生以下では設問の意味が理解できないこともあるので、年齢としては14歳以上が対象ということでした。

今日の項を読んで、「ストレングスファインダー」に興味を持たれた方はすぐさま本屋へ直行してください。きっとあなたの隠れた能力が開花するきっかけになると思いますから。