雪のはなし ~修善寺温泉(伊豆市)


今年もクリスマスを迎えました。昨年のいまごろは、何をしていたかねーとは、タエさんと買い物へ行く車の中での会話。確か、伊豆への移住も決まり、あわただしく引越しの準備をする中、山口へも帰省せねばならず、落ち着かない雰囲気だったかた思います。

あれから一年経ったかと思うと感慨深いものがあります。引越しはてんやわんやでしたが、その後生活は徐々に落ち着きを取り戻し、今年は帰省も見送ったため、今はとくにあわただしい雰囲気もありません。こうして雪にけぶる富士山を眺めながらキーボードを叩いているのが何やら夢めいているような気さえします。

雪とは

それにしても寒いですねー。列島全体をクリスマス寒波が覆っているとのことで、北の地方や日本海側にお住まいの方は雪の世界に閉ざされていることでしょう。

この「雪」ですが、大気中の水蒸気が凍った氷の結晶が空から落ちてくるのだということは、小学生でも知っています。

しかし、単に雪といっても、の氷の結晶の単体は「雪片」というそうで、英語ではsnowflakeといいます。また、雪片が降り積もった状態のものは「積雪」ですが、これはsnowpackというのだそうで、雪片が降っている最中の状態は「降雪」、これはsnowfallと呼び分けます。

また、「雪」を「降水現象」の一つと考えると、固体になった「氷」としての降水の状況は、「雪」と呼ばれるもののほか、霰(あられ)、雹(ひょう)、凍雨(とうう)、細氷(=ダイヤモンドダスト)などがあり、これらの総称を「雪」と呼ぶのだそうです。このほか、霙(みぞれ)というのがあり、これは雨と雪が混在して降る降水現象です。

これらの違いですが、物理的にみると、雪は「氷の結晶」であるのに対し、霰・雹・凍雨は「氷の粒」です。霰・雹・凍雨は、いずれも雪片である氷の結晶が空から地上に落下するまでの間に、いったん溶けたり(融解)、逆に固まったり(凝固または凍結)という過程を経ることで生成されるものです。

雪、すなわち雪片の状態というのは、規則性のある結晶の形をした氷の状態であり、これらが無数にくっついた状態で降ってきますが、空気をたくさん含んでいて密度が比較的低い状態にありその接合はゆるやかです。なので、これを顕微鏡で見ると、あの美しい幾何学模様を見ることができるわけです。

これに対して、霰・雹・凍雨の粒を顕微鏡でみると、既に結晶のような規則性は見られず、その間隙に空気もほとんどない密度が高い状態のただの「氷」です。

一方、ダイヤモンドダスト(細氷)というのは、晴れた天気が良い日でも空から降ってきます。これは、ダイヤモンドダストが、空の上から降ってくるのではなく、地表付近で水蒸気がいきなり氷になって(昇華)落下してくるものであるためです。

雪と同じく結晶構造を持ちますが、その大きさはふつう直径30~200 μm(マイクロメートルは1/1000mm)程度であり、雪に比べて非常に小さいのが特徴です。

一方の雪も凍りはじめたころには非常に小さく、直径0.01mm以下なのですが、雪片と雪片がくっついて成長した雪は直径0.5~10mm(1cm)くらいにもなり、大きな雪片になると3cm前後にもなります。いわゆる「ぼた雪」や「わた雪」というやつです。

雪は、空気をたくさん含んでいるので、空中に「浮遊」した状況で降ってきますが、霰・雹・凍雨などそれぞれが独立した「粒氷」ではなく、空気をたくさん含んだ「濃密な雪片の集合体」であるため、雪のようにふわふわというわけにはいかず、「パラパラ」と降ってくるのです。

天気予報における「雪」

実際の天気予報では、このような霰・雹・凍雨といった雪の物理的な特徴名だけをそのまま発表するわけではありません。必要に応じて、物理名以外の雪の状態を一般の人にも受け取りやすいように発表します。たとえば、「ふぶき」とか「風雪」といったのがそれです。

「予報用語」と「解説用語」というのがあって、前者はテレビやラジオなどで「気象庁が発表する各種の予報、注意報、警報、気象情報などに用いる用語」、後者は「気象庁が発表する報道発表資料、予報解説資料などに用いる用語」として区別しています。

このうち、我々がテレビなどのメディアの天気予報で実際に見聞きする予報用語に含まれる「雪に関する予報用語」は、通常の「雪」のほか、以下があります。

・ひょう →積乱雲から降る直径5mm以上の氷塊
・みぞれ →雨まじりに降る雪。または、解けかかって降る雪。
・あられ →雲から落下する白色不透明・半透明または透明な氷の粒で、直径が5mm未満のもの。直径5mm以上は「ひょう」とする。
・ふぶき →「やや強い風」程度以上の風が雪を伴って吹く状態。降雪がある場合と、降雪はないが積もった雪が風に舞上げられる場合(地ふぶき)とがある。
・地ふぶき →積もった雪が風のために空中に吹き上げられる現象。猛ふぶき強い風以上の風を伴うふぶき。
・風雪 →雪を伴った風
・しぐれ →大陸からの寒気が日本海や東シナ海の海面で暖められて発生した対流雲が次々に通るために晴れや曇りが繰り返し、断続的に雨や雪の降る状態。「通り雨」として用いられる場合もある。
・着氷(船体着氷) →水滴が地物に付いて凍結する現象。海上で低温と風により波しぶき、雨や霧が船体に付着し、凍結する現象を特に「船体着氷」という。
・着雪 →湿った雪が電線や樹木などに付着する現象。
・落雪 →屋根等に積もった雪が落下すること。
・融雪 →積雪が大雨や気温の上昇により解ける現象。
・なだれ →山などの斜面に積もった雪が、重力により崩れ落ちる現象。表層なだれと全層なだれとがある。

どうでしょう。「着雪」とか「落雪」とかあまり聞き慣れないものがあるのには驚かされます。また、「しぐれ」というのは、私は雨だと思っていたのですが、雪状になるものもしぐれというのですね。

なお、あられはその物理的な状況によって、さらに「雪あられ」と「氷あられ」に分類されます。「雪あられ」はその名のとおり、雪が凝集してあられになったもので、「氷あられ」は雲の中の水蒸気が比較的気温の高い状況で凍ったもので、「雪あられ」のように不透明ではなく、半透明であったり、透明であったりします。

予報文では、「雪あられ」は雪とされ、「氷あられ」は雨に含めることになっていて、これが雨と雪の境というわけです。

一方「解説用語」に分類されていて、一般的な天気予報では使われないものは以下の通りです。

・凍雨 →雨滴が凍って落下する透明の氷の粒。透明な氷粒なので「氷あられ」と違って、予報文では「雪」として扱う
・細氷(ダイヤモンドダスト) → 大気中の水蒸気が昇華し、ゆっくりと降下する微細な氷の結晶。
・氷霧 →微細な氷の結晶が大気中に浮遊して視程が1km未満となっている状態。予報では「霧」とする
・山雪 →山地に比較的多く降る雪。
・里雪 →山地に加えて平野部でも多く降る雪。「山雪」、「里雪」は北陸を中心に使われており、季節風による雪の降り方を表す。
・湿り雪 →含水率の大きい雪。大きな雪片となりやすく、着雪の被害を起こしやすい。予報用語としては、「湿った(重い)雪」などの平易な用語を用いる。ただし、北日本など「湿り雪」という用語が一般に浸透している所では用いられることがある。

「山雪」や「里雪」は温かい地方に住んでいるわれわれにとっては、聞き慣れない用語です。「氷霧」もめずらしい現象でしょう。私も見たことがありません。その昔、「霧氷」という曲を橋幸夫さんが歌って大ヒットしましたが、ご存知ですか? 知っている人は私同様、すでにおじさんかおばさんでしょう。違いますか?

さて、あたりまえのことですが、実際の天気予報と観測結果は必ずしも一致するとは限りません。

このため、予報では「雪」と発表していても、実際の観測で「凍雨」やダイヤモンドダストが観測された場合には、正確にそう記録され、「雪」とは記録されません。予報は予報として報道されっぱなしとしても、実際に記録される現象は正確に記録しておく、というのがお天気のエキスパートとしての気象庁のスタンスです。

また、単に「雪」とか「あられ」とかの発表があったとしても、それだけでは予報を聞いた側は実際の雪の量が多いのか少ないのかわかりません。このため、気象庁の天気予報では、その強さなどをあらかじめ定義で決めて置いて、これを一緒に発表しています。

降ったり止んだりで強度変化の激しいものを「にわか雪(驟雪)」、1時間あたりの降水量が3mm以上の場合は「強い雪」といったあんばいで、1時間あたりの降水量が3mm未満だと、通常の「雪」とされます。

このほかにも強いほうでは、「暴風雪」「大雪」「豪雪」というのがあり、「暴風雨」は暴風に雪の伴うもの、「大雪」は注意報基準以上の雪です。

「豪雪」は予報ではあまり耳にしませんが、著しい災害が発生した過去の顕著な大雪現象をさすときに、「56豪雪」、「平成18年豪雪」などといい、「平成18年豪雪のような大雪になる恐れがあります」といった使い方をされるのを聞いたことがある人もいるでしょう。

弱いほうでは、その名も「弱い雪」というのがあり、これは時間降雪量がおよそ1cmに達しない雪で、もうひとつ、「小雪」というのがあり、これは数時間降り続いても、降水量として1mmにも達しない雪です。

気象庁ではこのほかにも、各地の気候の変化を表現するために、「初雪」や「初冠雪」などを予報の中で使っています。お天気おねえさんが、「気象庁は今年初めての「初雪」を発表しました」とかいう発表は聞いたことがある人も多いかと思います。

このほかにその冬最後の雪として「終雪」というのもあるようですが、これは気象記録をするときに使われることが多い用語のようです。が、もしかしたら、「この雪が「終雪」になるでしょう」などと言った使い方をしているかもしれません。

雪の呼び方

こうした気象庁が使っている専門用語以外にも我々は雪をさまざまな呼び方で呼んでいます。

空から降る雪の形や大きさはさまざまですが、まるで粉を吹いたように細かいものは「粉雪」、綿状に集まったものを花のボタンになぞらえて「牡丹雪、ぼたん雪」などと呼んでいます。このほかにも雪の状態変化に応じて、淡雪、薄雪、細雪、どか雪、べた雪、綿雪などの表現があります。

これについては、とくに定義のようなものはなさそうですが、だいたい慣習的に以下の7つくらいに分類されるようです。

・たま雪(玉雪) →球形をした雪。雪のシーズンの初めや終わりの時期、また雪雲のでき始めている先端部分などで見られる。
・こなゆき(粉雪) →さらさらとした粉末状で、乾燥した雪。寒冷な地域に多い。
・はい雪(灰雪) →空中をすらっと降りてくるのではなく、灰のようにひらひらと舞いながら降りてくる雪。やや厚みがあり、日光に当たると陰影ができて灰色の影ができる。
一般的な降雪としてはこれが最も多い。
・わた雪(綿雪) →手でちぎった綿の様に大きな雪片からなる雪。水分を含み、重みのある雪。降雪地帯の中でも温暖・多湿な地域に多い。
・もち雪(餅雪)→融解が始まっており、水分を多く含む雪。雪の塊は餅のように柔らかく自由に形状を変えられるので、雪玉や雪だるまなどがつくりやすい。
・べた雪 →もち雪よりも水分が多く、べちゃっとした雪。団子状に固まっていることもある。ぼた雪、ぼたん雪。
・みず雪(水雪) →べた雪よりもさらに融解が進み、水気の多い雪。みぞれと同じ。

私自身は、玉雪とか灰雪とかいうはあまり聞いたことがありませんが、こうした呼び方にはおそらく地方性が出てくるので、私の郷里の広島や山口ではあまり使わないからだけかもしれません。太宰治の小説「津軽」の冒頭では、津軽の雪として7種類の雪の名称が紹介されているそうです。

このほか、専門的には、「雪質」というのがあり、これは、スキーや雪山登山をやる人には必須の分類です。日本雪氷学会では、雪質によって積雪を9つに分類しているそうで、以下がそれです。

・こしまり雪 →樹枝形などの結晶が若干残る程度で、ほとんど丸みを帯びた氷の粒。小締まり雪。
・しまり雪 →圧縮や焼結により丸みを帯びた氷の粒。粒子同士が網目状の組織で緩やかにつながっている。締まり雪。
・ざらめ雪 →水の作用により粗大化した氷の粒。内部・表面に水を含むものと再凍結したものがある。粗目雪。
・こしもざらめ雪 →雪が融解・霜の付着などによって、平らな形状となった小さな氷の粒。小霜粗目雪。
・しもざらめ雪 →新雪を核として成長した霜が肥大化し、骸晶状の氷の粒と化したもの。霜粗目雪。
・氷板 →板状・層状の氷。
・表面霜 →積雪層の表面に発達する霜。
・クラスト →積雪層表面にできる再凍結によってできた固い層。

大きなスキー場などで冬になって降り積もった雪は、気象庁の有人気象観測点や雨雪判別機能付き自動気象観測装置設置点で記録されていることも多いようです。

雪の量

ある場所における積雪量を雪専用のものさし「雪尺」で計った結果は「積雪深」といわれ、ニュースや天気予報で流れる「積雪〜cm」というのは、積雪計設置地点における瞬間的な積雪記録です。ある一定期間内における積雪の最大値を最深積雪といい、これは気象庁などが日単位、または月単位で発表する「降雪量」とは異なります。

「降雪量」は気象庁などが「観測点」として場所を決めて一定時間に積もった雪の量です。こうした場所の降雪量を記録に残す上では、計測した場所の降雪を液体に換算することも行われており、これは「降水量」として別途記録されます。なお、降雪量・降水量にはみぞれも含めて記録されるそうです。

しかし、積雪深や降雪量を計測する上において、寒い地方での積雪は雪がとけるまで減りませんが、温暖な地方では一シーズンの雪がそのまま残ることはなく、一週間、一か月単位の降雪量を計測することは不可能です。風が強い地域では雪が吹き飛ばされて減っている場合もあります。

また、あくまでも積雪計設置地点での値であるため、同じ地域でも気象条件によっては吹き溜まりになったりその逆もあります。発表されている積雪量以上に積もっていたり、それなりの積雪量があると期待して行ったスキー場での積雪がたいしたことがなくてがっかりする、というケースもおこりえます。

このため、気象庁やスキー場の積雪情報をそのままうのみにすることはできません。とくに険しい山への冬山登山などを敢行する人にとっては、気象庁やスキー場などの発表した積雪情報だけで入山の是非をジャッジするのは危険です。なので、積雪量によって現場の状況を推定するためには、複数の箇所の積雪量を参考にする必要があります。

なお、気象庁の定義によると、「積雪0cm」と「積雪なし」では状態が異なるそうです。「積雪0cm」は観測点周囲の地面の半分以上を雪やあられが覆った状態のことをさし、「積雪なし」は雪も霰が全くないか、観測点周囲の地面の半分までがこれらに覆われていない状態のことをいうそうです。

このほか、単位面積当たりの積雪深の重量は「積雪荷重」と呼ばれ、「kg/m2」や「kN/m2」で表され、積雪重量計というそれ専用のはかりで計測されます。こういう単位が何故必要かというと、雪による重量によって、建物が破壊される場合があるからです。

建築基準法には積雪荷重に関するきちんとした定めがあり、雪の多い地方では、関東や南西部のようなあまり雪が降らない場所よりも、建築物の構造がより雪に耐えられるように安全基準を引き上げています。古い時代には、こうした基準がなく、豪雪によって多数の家屋が倒壊して死者が出るという悲劇もおこりました。

気象庁の記録によれば、平野部の最深積雪の記録は、750cmで、これは1945年2月26日に富山県上新川郡大山町(現 富山市)に積もった雪によるものです。しかし、旧国鉄による記録では、長野県の栄村森宮野原というところで1945年2月14日に観測された785cmというのがあり、さらには山岳地帯では、滋賀県伊吹山で1927年2月14日に観測された1182cmというのがあります。

その他、参考記録として新潟県寺野村(現上越市板倉区)で1927年2月13日に818cm(2丈7尺)の積雪があったそうで、ちなみに平野部での世界記録は、アメリカ カリフォルニア州のタマラックというところで、1911年3月19日に記録されたもので1153cm。日本の750cmよりもかなり多い量ですが、日本の積雪量もばかにはできません。

その他の雪のお話

このように、人にとっては大敵の積雪ですが、生物や植物によってはその存続をこの雪に依存しているものもあります。たとえば、積雪によってある程度以上温度が下がる地域においては、寒冷期の最低気温がその生物存続を維持している場合があります。

また、積雪は多くの空気を含むため、雪の中は外気ほどは温度が下がりません。このため日本海側などでは冬季の積雪が多いため、低木以下の高さにおいては、より温暖な地域でも育たないような植物が意外にも丈夫に育つといいます。

ユキツバキはその例によく挙げられます。このほかにも雪国にしか生息しない生物や、意外なほどに北まで分布している生物がみられるということです。

さて、ここまで雪の分類や特徴などを中心にいろいろ書いてきましたが、このほかにも雪というといろいろ話題に事欠きません。人工雪の話や雪を利用した発電などの利用、逆に雪害の話とかもいろいろあるのですが、ずいぶん長くなりそうなのでやめておくとして、最後に「雪」の国による呼び方の違いについて若干ふれておきましょう。

日本語以外の言語、特に北米や北欧などの雪の多い地域では、雪に関してさらに多様な表現をするところがあるほか、雪を表す言葉の体系が根本的に異なる言語もあります。これについては、キリがないのでそれを紹介するのはやめておきます。

ただ、エスキモーの中のある言語では雪の形態ごとに呼称が存在し、「雪」を表す総称が存在しないケースもあるといいます。

日本の場合、雪の形態ごとにまではいかないまでも、雪の異称としては以下のようなものがあります。

・六花 / 六辺香 / 六出(りっか、ろっか)→六角形の雪の結晶の形から。
・天花(てんか)→雪の形容。「天華」とも書き、「てんげ、てんけ」で、天上界に咲く花を指す仏教用語。
・風花(かざはな、かざばな)→晴天時に風に乗って舞う雪の形容。
・青女(せいじょ)→古代中国における、霜や雪を降らすとされている女神のこと。そこから転じて、雪の形容。
・白魔(はくま)→主に、災害に相当する大雪を悪魔に見立てるときなどに用いられる言葉。

また、日本語の「雪」は名詞だけでなく動詞があり、「雪ぐ(すすぐ)」は祓い清めるという意味で使われ、「雪辱」(せつじょく)という熟語はここからきています。「雪辱をすすぐ」との用法は、同じ意味の動詞を2度繰り返しているので誤用です。「雪辱を果たす」「汚辱をすすぐ」が正しい使い方です。

呼び方に関してはこんなもんでしょう。

最後になりますが、では雪はなぜ白く見えるのでしょうか。

これは雪は、入ってきた光(太陽光)をほとんど吸収することなく散乱光として送り出すためです。太陽光には幅広い波長の光が含まれますが、雪を太陽光が反射するとき、波長は違ってもその散乱強度には大きな差が生まれず、「まんべんなく散乱する」ために、真っ白い色に見えるのです。

絵の具のいろんな色をまぜると真っ黒になってしまいますが、これはその逆と考えるとわかりやすいかと思います。これはパレットの上で混ざり合った絵の具がすべての波長の光を逆に吸収してしまっているから黒く見えるのです。

しかし、大量に積もった積雪は青みを呈することがあります。晴れた空の下で雪洞などの雪を下から見たとき、青く見えたという経験を持つ方もいると思います。これは雪というよりも降り積もって「氷」となった雪のもつ光の吸収特性によるもので、青色にあたる波長0.45 μm付近の光が最も吸収が少なく透過しやすいためです。

雪が大気中の浮遊物を取り込み、変色した例も数多く報告されており、例えば、朝鮮半島では古くから、黄砂が混じった黄色あるいは赤みがかかった雪が降ることがあったそうです。これは日本でも報告されており、江戸時代の書物に「紅雪」「黄雪」などの記述が残っているといいます。

また、2007年2月2日には、ロシアのオムスク州で、およそ1500km²にわたる広い範囲でオレンジ色の雪が降ったそうです。この雪は悪臭を伴っており、通常の雪の4倍の鉄分を含んでいたといいますが、結局その原因は詳しく分かっていないということです。

さて、今日はクリスマスです。ホワイトクリスマスを迎えることのできる地方の方も多いと思いますが、ここ伊豆では富士山の雪ぐらいしかみれません。が、クリスマスに白い雪が拝めるということだけでも何やらありがたい気がします。

みなさんの地方はいかがでしょうか。ホワイトクリスマスになりそうでしょうか。運が良い方は「紅雪」「黄雪」が見れた方もいるかもしれませんね。もし見れたとしたら、案外と吉兆なのかもしれません。

私自身は、青い雪が見れるような雪深いところへ行ってみたい気がしています。が、それは当面難しそうです。なので、せめて明日は良いお天気で、真っ青な空に白く浮き上がる富士山を見ることができるのを期待することにしましょう。