昨日の伊豆地方は激しい雨と風で一日中天候は荒れまくり、先週までの好天はどこへ行ってしまったの?というかんじでした。
伊豆では雨で済みましたが、お昼すぎにテレビを見てびっくり!かつて住んだ都は一面の銀世界にあり、あちこちで車がスリップしたり鉄道や他の交通機関が止まったりで大騒ぎのようです。
ですが、白い雪に覆われた懐かしい町をみると、これはこれで妙にうらやましく、伊豆でも降らないかな~と窓を開けて空を眺めてみるのですが、どうやらここでは降るよしもなさそうです。
2階へあがり、北側の空を眺めてみると、いつもの青空は影をひそめ、空は厚い雲に覆われていますが、よくみるとその雲は均一ではなく、厚い雲と薄い雲がまだら模様になっていて、それらが東から西へと足早に動いていきます。
ふだんはそこに見える富士山の上の雲は西から東へと流れているのに、それらはいつもと逆の東から西へと流れており、これは名古屋沖を北上する発達した爆弾低気圧に向かって流れ込む東寄りの風によるものだとわかります。
全天が見えるというわけではないのですが、山の上のこの地から見える広い空とそこを流れていく雲をみあげていると、伊豆半島のど真ん中にいる自分の姿が想像でき、地球の上に立っているなという実感を味わうことができます。
東京でマンション住まいをしていたときにはこうした感覚はなく、広い関東平野の西のはじっこにあるその住宅街から見ていた空はひどく狭く、天候を気にするよりもまず、その環境の息苦しさに先に注意が行ってしまったものです。
これとは比較にならないほどの開放感のある広い空を手に入れた今は、より天上に近づいたような感がありますが、もし可能ならばさらにこれより高いところに住みたいとも思います。
今後さらにそうした場所に移住する可能性がないわけではありませんが、なかなかそうした場所に気に入った土地や家が手に入るとは限りません。なので当面は、山登りなどによって一時的にそうした高いところを訪問するだけということになりそうです。
日本一高い場所にある町
そこでふと思いついたのが、日本一高い場所にある町はどこかな、ということで、早速これを調べてみました。
「町」という定義からすると、何等かの「役場」が存在するところということになりますから、この線で調べてみると、どうやら日本一高い場所にある役場は、長野県の川上村の村役場のようで、その標高は1185mということがわかりました。
この川上村は、その西側に八ヶ岳を望む場所であり、八ヶ岳の広大な裾野である「野辺山高原」の一部のようです。この北側には奥秩父山塊の支脈があり、その隣には「南牧村」や「南相木村」といった同じく野辺山高原に属する村々があります。
川上村役場が高地にあるのと同様、この南牧村の役場も標高1030mの高地にあって、日本で三番目に高い場所にある役場です。こうした1000m近い場所にある日本の市町村役場をその標高順に並べてみると次のようになります。
長野県川上村 1185m
群馬県草津町約1180m
長野県南牧村約1030m
長野県原村約1000m
長野県南相木村約990m
長野県北相木村約970m
福島県檜枝岐村(ひのえまたむら)939m
長野県木祖村約925m
草津町をのぞけば、一位から六位までをすべてこの八ヶ岳東山麓の村々が占めていて、どうやらこれらの村々が属する野辺山高原一帯が、日本一天上に近い「居住」に適した場所ということになりそうです。
単に標高が高いだけでなく、年間を通して降雨量が少なく晴天の日に恵まれる日も多いということで、国立の野辺山天文台や、電波宇宙観測所といった施設もあり、鉄道ファンのみならず天文ファンも集う場所として有名です。
ちなみに、我々が一昨年前に移住先を探し始めたころ、一番最初に訪れたのがこのひとつの「原村」で、ここは東京にも比較的近い高原にあるリゾート地ということで近年人気を集め、多くの別荘が建てられています。
しかし、人気の場所であるだけになかなか売りに出されるような別荘地は少なく、いいなと思うところには既に家が建っていたり、農地のために住宅地が建てられないような場所も多く、こうした土地に家を建てるためには、宅地への転用許可申請などのために時間がかかります。
環境といい、眺めといい、大いに気に入った土地柄ではあったものの、結局良い物件をみつけられず、この地への移住はあきらめました。
日本一高い場所にある駅
上述の村々のうち、南牧村には、JR東日本の小海線(こうみせん)の野辺山駅(のべやまえき)という駅があって、これはJRの駅の中では最も標高の高い位置にある駅であり、その高さは1345.67mで、この駅で販売されている記念入場券には「空にいちばん近い駅」とあるそうです。
ちなみに、逆にJRの駅の中で一番標高が低いのは、東京の総武快速線、馬喰町駅(ばくろうちょうえき)のマイナス30.58mです。
また、世界で最も高い位置にある鉄道駅は中国チベット自治区にあるタングラ駅の標高5068.63mだそうです。これに比べれば八ヶ岳東麓のこれらの村々ははるかに低い場所になりますが、それでも東京スカイツリーの二倍以上の高さの1300mを超える場所に鉄道駅があること自体が不思議なかんじがします。
なお、鉄道の線路が敷かれている場所で最も高い位置は、野辺山駅のすぐ隣の駅の清里駅との間にある同じ小海線の中の地点で、ここの標高は1375mです。
さらに、JRの鉄道路線以外のトロリーバスのような路線も含めた中での日本の最高標高の駅は、立山黒部アルペンルートのトロリーバスのターミナル駅、室堂駅の2450mになり、ロープウェイまで含めるとなると、その最高峰は中央アルプス駒ヶ岳ロープウェイの千畳敷駅であり、ここの標高は2611.5mです。
室堂駅は、ここから東側にある大観峰駅まで出ているトロリーバス路線の始点駅であり、この大観峰駅からはさらにロープウェイを乗り継いで、かの有名な黒部ダムサイトまで行くことができます。駒ヶ岳ロープウェイの千畳敷駅のほうは終点であり、ここからは富士山はもちろん、雄大な南アルプスの山々を一望に見ることができます。
以上のことから、とにかく歩いて行くのはイヤ、動力でできるだけ高い場所に行きたいという人で、その中でも鉄道などの公共交通機関を使って日本で最も高い場所まで行きたいということになると、それは立山か駒ヶ岳ということになります。
日本一高い場所にある道路
ちなみに、乗用車で行ける場所は?ということになると、富士山には、「富士スカイライン」を使って、五合目の標高約2400m地点まで行けます。が、到達できる高さはこの駒ヶ岳ロープウェイの千畳敷駅にわずかに及びません。
一般国道でもその最高地点は長野県と群馬県の境にある志賀草津道路の「渋峠」でその標高は2172mだそうです。
ただし、現在「一般車両全面通行禁止」となっている、岐阜県高山市丹生川町にある「乗鞍スカイライン」の最高標高は2702mということで、この高さは上述のいずれをも凌駕しています。
通行禁止になった理由は、この道路が、日本一の高度を走ることのできる「雲上のスカイライン」としてあまりにも有名になり、観光客のマイカーで溢れかえって渋滞が続くようになったため、著しい排気ガスによって自然破壊が進んだためのようです。
このため、乗鞍岳自体が中部山岳国立公園の特別保護区に指定されて規制が厳しくなるとともに、2003年(平成15年)からは通年マイカー規制となり、一般車両は走行する事ができなくなりました。
しかし、路線バスやタクシーによってここまで行くことは可能で、バスの場合、ふもとの「平湯温泉」から定期便が出ており、最高峰付近の「畳平」まで片道約1時間10分ほどで行けるようです。往復料金2200円かかりますが、楽して高所に行きたいという人にとってはそれほど惜しい出費ではないかもしれません。
日本一高い場所にあるホテル
さて、以上のように、鉄道や乗用車などを使えばそれなりに高所へ行けることはわかりました。がしかし、これらの場所へはその日に行って帰ってくるだけの、いわばタッチ&ダウン式の訪問であって、せっかくそこまで行っても、その場所の風景や環境を短時間しか味わうことができません。
いや、そうじゃないんだ、せっかく行くんだからその場所の雰囲気をじっくり味わいたい、できればそこに1~2日は滞在してみたい、という人にとっては、何等かの宿泊施設がある場所で一番高い場所はどこなの?ということになると思います。
そういう場所というのはおそらく、高所にあるリゾートホテルか、もしくは山小屋のようになると思うのですが、まず、ホテルとして一番高いものはどこかを調べてみました。
すると、これは前述の木曽駒ヶ岳ロープウェイの千畳敷駅、2611.5mに併設して建てられている「ホテル千畳敷」のようです。
この千畳敷駅に至るロープウェイの始点は、ふもとの標高1661.5mにある「しらび平駅」であり、ここと千畳敷駅との高低差は950m。終点の千畳敷駅は「千畳敷カール」と呼ばれる雪渓の中にあり、ここにはスキー場もあって、かつ木曽駒ヶ岳の登山口ともなっています。
ホテル千畳敷はこの駅舎に併設されており、客室は全室和室で、16部屋。食堂、お風呂なども備えている鉄筋コンクリート造り3階建てのホテルです。
客室数が少ないことから万人向けとはいえませんが、このロープウェイは冬季も含めて通年営業されており、またふもとの駒ヶ根市街にはたくさんの別のホテルもあることから、必ずしもこのホテルに泊まらないと駒ヶ岳観光ができない、というわけでもありません。
千畳敷駅のある2611m地点からは南アルプスの眺めが雄大に見えるそうで、またやや北よりには富士山も望むことができ、ここからのご来光が美しいと評判のようです。
一昨年前に移住先探しをしていたころには、この麓の駒ヶ根や伊那などの土地を見て回り、このころには、ここに住むようになったらぜひ一度登ってみたいと思っていましたが、結局移住先が伊豆になったために、ここへの訪問はいまだに果たせていません。なので、私としても一度は行ってみたい場所でもあります。
このほか、前述の鉄道(トロリーバス)駅としての最高地点駅である、立山の「室堂駅」2450mにもホテルが併設されていて、こちらは「ホテル立山」といいます。
ホテル千畳敷のほうは通年営業していますが、こちらは冬季には、積雪20メートル、最低気温摂氏マイナス24度におよぶ酷寒の地にあることもあり、冬期はふもとからのバスなどの交通が遮断されるため休業となります。
が、6階建ての鉄筋コンクリート造りであり、客室数は和室、洋室を合わせて85室もあるほか、入浴施設もあります。
ちなみに、私はこのホテルにタエさんと結婚前に行ったことがあり、宿泊こそしませんでしたが、お食事もできる立派なレストランもあって、高所にあるホテルとしてはなかなか良い設備だなと思いました。
ここを訪れたのは、10月のおわりだったと思いますが、すでに積雪は3m近くあり、ホテルの周囲は一面の銀世界で、その雪で覆われた見渡す限り広い平原地帯のまわりには、立山、剱岳、室堂といった神々しい山々がそびえていて、ここが天上の世界か、と思えるほど美しい場所でした。
その見事な景観から通年を通じて多くの観光客が訪れ、厳冬期でも山岳スキーの愛好家には人気のスポットのようです。が、一般人が冬季にここを訪れるのはまれで、スキーなら11月初旬までか、4月以降の春スキーがシーズンのようです。
秋季の紅葉も素晴らしいとの評判で、夏でも涼しく星空がきれいなことから、天文ファンならずともその美しい星々を見たいがために行く人も多いと聞きます。
その気になれば「ライチョウ」の観察などの自然観察や、周囲の美しい景色をみながらトレッキングできるコースも整備されているようなので、今度は寒い時期ではなく、温かい時期を選んでまたぜひ一度行ってみたいと思います。
日本一高い場所にある山小屋
これらの二つのホテルのある標高はいずれも3000m未満です。これよりさらに高い場所に宿泊したい、ということになるとあとはもう、山小屋しかありません。
以下が、日本にある高所の山小屋のベストテンになります。
1位 赤石避難小屋 3,120m 南アルプス(赤石岳)
2位 北穂高小屋 3,100m 北アルプス(北穂高岳)
3位 荒川中岳小屋 3,080m 南アルプス(荒川岳)
4位 槍ヶ岳山荘 3,060m 北アルプス(槍ヶ岳)
5位 南岳小屋 3,000m 北アルプス(南岳)
5位 北岳肩ノ小屋 3,000m 南アルプス(北岳)
5位 大汝休憩所 3,000m 北アルプス(立山)
8位 穂高岳山荘 2,996m 北アルプス(奥穂高岳)
9位 剣ヶ峰旭館 2,980m 木曽御嶽山
10位 御岳頂上山荘 2,950m 木曽御嶽山
1位の赤石避難小屋は無人の小屋になり、その名の通り赤石岳などに登頂する人のための緊急の小屋です。ですから仮に「宿泊」を目的に行くとすれば、最も高所にあるのは2番目の北穂高小屋からになります。ただし、こうした山小屋は厳冬期には閉鎖されてしまうものが多く、この北穂高小屋も営業は、4月から10月の終わりまでです。
もっとも、こうした山小屋に宿泊だけを目的で行く人は少ないと思いますし、またこれらの山小屋はあくまで登山客が山に登るための一時通過のための宿泊施設ですから、温泉や豪華な夕食を期待する人向きではありません。
が、メシはともかく、温泉だけでもという人は、以下の山小屋では温泉にも入れるようですから検討してみると良いかもしれません。
温泉のある山小屋(高所順)
1位 みくりが池温泉 2,430m 北アルプス(立山室堂)
2位 高天原山荘 2,285m 北アルプス(高天原)
3位 湯元本沢温泉 2,150m 八ヶ岳(夏沢峠)
4位 鑓温泉小屋 2,100m 北アルプス(白馬鑓ヶ岳)
5位 白馬岳蓮華温泉ロッジ 1,475m 北アルプス(白馬岳)
6位 三斗小屋温泉 1,470m 那須(茶臼山)
7位 県営くろがね小屋 1,346m 東北(安達太良山)
8位 法華院温泉山荘 1,303m 九重山(坊ガツル)
9位 三条ノ湯 1,103m 奥秩父(雲取山)
10位 赤湯温泉山口館 1,050m 上信越(苗場山)
ちなみに、富士山の山小屋は、これらよりも高い標高にあるものも多く、最高地点にあるのは、「御来光館」でその標高は、ナンと3450mだそうです。150名もの宿泊キャパがあるようですが、一番高いところにあるということもあって、夏季にはかなり混雑しているようです。
予約もできるようですが、場所が場所だけに、予約したからといって必ずしもここまで辿り着ける人ばかりではありません。このためこうした富士山の山小屋では、飛び込み客も受け入れてくれる場合も多いようです。
が、それにしてもこうした富士の山小屋はそれでなくても近年の富士登山ブームでどこも混雑しているようですから、一応の予約はしていったほうが安全でしょう。
さて、以上、長々と高いところに行きたい!人向けの情報をかき集めてみましたが、ご参考になったでしょうか。
私自身は、やはり今年はぜひ富士登山を目指したいと思います。できれば宿泊施設に頼らず、夜登ってその日の日中に下ってくる「直行直帰」をひとりで実現したいと考えているのですが、そうしたいと言うとタエさんが横目でにらむので、山小屋もしかたないかな~と考え始めているところです。
季節はまだ冬であり、その日が来るまでにはまだまだ時間がありそうなので、どうやって富士山を攻略するかについては、またおいおいじっくり考えることにしましょう。
今もこの部屋の窓から見える富士山は手に取るように近くに見えます。あそこまで修善寺から誰かロープウェイでも引いてくれればいいのに……と思うのですが、そんなわけにはいきません。
やはり歩いて登るしか今は方法はなさそうです。今からしっかり体を鍛えて来たるべき日に備えることにしましょう。みなさんも今年はぜひ体を鍛え、富士山にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。