ジューンブライド

そろそろ梅雨の季節です。沖縄はもうすでに4月28日に梅雨入り、九州地方も今週あたりから突入予定とか。ここ、修善寺の空気も、気持ち湿ってきたような気がします。今朝はよく晴れていますが、夕べも一雨あった様子。庭の土が濡れています。

最近庭造りと塀づくりに追われていて、なかなか遠出ができませんが、テレビのニュースによれば、あちこちでバラが満開になっているようです。伊豆東海岸の下田にほど近いところに河津(かわず)という町があります。本州では一番早く咲く「河津桜」で有名な町ですが、ここに河津バガデル公園というのがあって、今桜ならぬ、バラが見ごろだそうです。まだ一度も行ったことがないので、今やっている塀づくりが終わったらぜひタエさんと行ってみようと思います。

ご存知の方も多いと思いますが、バラは一年に2回花季があって、最初は6月ごろ、次いで秋口の10月が見ごろです。その6月に結婚式を挙げると、幸せな結婚生活が送れるというので、梅雨のさなかであっても、6月に式を強行する人も多いと思います。

いわゆるジューンブライド(june bride)ですが、ネットで調べてみると、そもそもこの風習は、欧米からきたらしい。おもわず、また欧米か!と突っ込みたくなりますが、日本ではいつごろから定着したのかなと思ったら、流行りだしたのは意外と遅く、どうやら戦後の昭和40年代くらいかららしい。

それ以前は、結婚式といえば桜の咲く春や、天気がよく空の晴れ渡った秋にやる、というのがふつうだったらしいのですが、どうして雨の時期にやるようになったのかな~とさらに調べてみると面白いことがわかりました。なんでも、昭和40年代ごろからは高度成長期に合わせて日本人もいろいろ贅沢になり、テレビや冷蔵庫、洗濯機の「三種の神器」の普及に加え、電車やクルマなどの公共交通機関では冷房が導入されはじめたらしいです。催し物をやるホールや会場など、一カ所に人がたくさん集まるところでは費用対効果も抜群、ということで、エアコンが導入されるところも次第に多くなってきたとのこと。

結婚式場も例外ではなく、これまで気候がいい春や秋の利用が多かったのに対し、雨の日や暑い日でも冷房のおかげで快適な結婚式ができるようになるということで、一気に需要が加速。ふだん、あまりお客の多くない、真夏や真冬でも快適な結婚式ができますよ、ということで結婚式業者も式場費用を割り引いたことから、さらに利用者が増えていったそうです。

しかし、さすがに天気が悪くて湿気も多い、梅雨の時期にはお客はあまり増えなかった。なんとか梅雨のじめじめした季節でもお客を増やしたいなーとおもっていたところ、おっ!こ、これだー と誰かが思いついたんでしょう。欧米ではジューンブライドというのがあって、この季節に結婚すると、幸せになれるという言い伝えがある。そうだ、こいつをキャンペーンに使ってお客を倍増しよう、エッヘッヘ・・・と言ったかどうかは知りませんが、6月に結婚すれば、どんなブスな・・・いえ月並みなお顔のあなたでも幸せな結婚ができますよ~~ とか、きっと宣伝を打ったんだと思う。

これが当たりにあたって、6月に結婚する人が一気に増えた・・・というのがことの真相のようです。なにやらバレンタインでーとかホワイトデーを流行らせた菓子業界の陰謀と似ていますが、欧米風の結婚にあこがれる世の乙女たちにはおおいに受けたようで、かくしてジューンブライドは全国津々浦々にまで定着していったのでした・・・

全国津々浦々と書きましたが、6月には早々と梅雨の明ける沖縄や梅雨のない北海道ではどうだか知りません。でも6月に北海道で結婚式を挙げる人は多いみたいですね。

ところで、ヨーロッパでなぜ、ジューンブライドが定着したか、については諸説あるみたいです。その昔、ヨーロッパでは、3、4、5月の3ヵ月間は結婚することが禁止されていて、結婚が解禁になる6月になっていっせいにカップルたちが結婚したからとか、ヨーロッパの6月は1年中で最も雨が少なく良いお天気が続くためとか、6月には復活祭があるから、とかとかです。

しかし、ネットで調べたところ、いろんな結婚業者さんの解説で一番多かったのは、英語の6月の意味のJuneに由来するもの。ギリシャ神話の主神ゼウスのお妃ヘラというおばさん女神は、ローマ名でユノ、英語名Juno。JuneはこのJunoがなまってできたことばだそうです。ヘラは女神の中でも最高位の女神なんだそうで、結婚・出産を司り、家庭・女性・子どもの守護神と云われているとか。

さぞかしこわい顔立ちのゴットねーちゃんなんだろうな、と思って画像検索してみたところ、昔の絵画や彫刻では、なかなかシックでおしとやかなおばさん、いや淑女として描かれているようです。それにしても、なんで昔の絵や彫刻に出てくる女神ってみんな裸なんでしょうか。服を着ていると人間と間違われるからかしら。人間ではない、ということは、トイレには行かんのかな~ とか妄想は膨らむ・・・

さて、なんで6月がJuneなのかというと、このヘラおばさんが守護している月が6月のためなんだそうです。ちなみに、私の誕生月3月の神様は農業の神マルスで、Marchはここからきたみたい。ほかにも5月の神はゼウスの子供のマイアが語源で、マイアから派生してMayになったみたいですね。12カ月分の神様を全部調べると日が暮れそうななんでこのへんでやめますが・・・

で、結論としては、ヨーロッパでは、6月の神様、ヘラを祭る祭礼が6月1日に催されたことから、結婚式を6月に挙げると女神ヘラの加護を受けて生涯幸せになれると云われる習慣ができたんだとか。

で、なんでここまでジューンブライドにこだわっているのかというと、かくいう我々夫婦が4年前に結婚式を挙げたのも6月だからです。が、実は、当初とくに6月に結婚式を挙げる予定はなく、式場の予約の関係からそうなっただけ。

法的な婚姻手続きである入籍そのものは、それに先立つところの2月14日に広島の五日市区役所で済ませていたものの(バレンタインデーというのも結構、ミーハーですが)、それじゃあ結婚式をどこで挙げようか、という話になったのは、そのあとだったかな。

その頃は、とくにどこでやらなければならないというのはなく、どうせやるなら、こぎれいなところがいいね~ という程度の話。タエさんのご両親は、お父さんが神社の宮司さんの息子だったこともあり、その神社、島根柿本人麻呂神社で結婚式を挙げています。なので、お二人にあやかって、どこかの神社という手もあるね、という話は出ていたかと思います。

一方、二人が交際を始めたころ、ちょっと海辺でお茶でもしようか、ということで立ち寄ったのが、広島市内の最南部、「宇品(うじな)」にある広島プリンスホテル。このホテルの一階ラウンジで二人でお茶をしながら、ぼんやり海を見て過ごした、という一時がありました。

結婚式をやるならあそこがいいんじゃない、と言い出したのはタエさん。入籍後にどこで結婚式をやるかを相談していたときのことです。私としても、すぐ目の前に海が広がるそのホテルの眺望は最初に訪れたときから気に入っていたので、タエさんの提案に、即、あ!いいね! と賛成。

そして、タエさんの提案はさらにエスカレート。ねえ、披露宴はプリンスホテルでやるとして、結婚式そのものは、宮島でやらない? と。

エッ、宮島!? と結構びっくりしたのを今でも覚えています。それもそのはず、宮島といえば、今や世界遺産にまでなっている広島でも一番有名な観光スポット。天橋立、松島とともにその名を全国にとどろかせている、日本三景のひとつです。

確かに、広島プリンスホテルは、海に面していて、そこからも目と鼻の先に宮島が見えます。宇品港から宮島へ向けての定期観光船も出ていて、タエさんの言うように、宮島で結婚式を挙げ、披露宴をプリンスホテルでやる、というのは不可能ではないのかもしれません。

その時は、まだそれが実現するとは思っていなかったのですが、やがてあれよあれよとそれが実現していくことに・・・

・・・ということで、今月は結婚記念日月間ということで、ムシャ&タエのこの結婚式にまつわるエピソードを紹介していこうと思います。世界遺産、厳島での結婚式。なかなか体験できるものではありません。今ふりかえると、いろいろ面白いエピソードもあったかと思うので、そのころのことを思い出しつつ、我々の結婚式にまつわるよもやま話を綴っていきたいと思います。乞うご期待。

 世界遺産 厳島神社