港にて ~沼津市

伊豆へ引っ越してきてから、今日でちょうど3ヶ月になりました。速かったような、長かったような。でも密度は高かったような。これからも記憶に残る3ヶ月になるでしょう。

さて、先日、同じ別荘地内に住んでいらっしゃる大工のTさんが突然来られました。何事かと思ったらおおぶりのサザエの入った袋を差し出されました。えっ頂けるんですか?というと破顔で、「今朝、三津の朝市に行ってきたんで、ついでに買ってきました」とおっしゃいます。タダでいただけるようです。最近、ちょっとお出かけになると、よくこうしたお土産を持ってきてくださるTさんですが、先日も別の朝市で買ったワサビをいただいたばかり。我が家のリフォームをお願いして以降、すっかり親しくなったとはいえ、たびたびの頂き物で恐縮至極です。

早速その夜にいただいてみましたが、さすがに新鮮な近海ものだけにぷりぷりで、しかも砂利などは一切噛んでいない上物のサザエ。それだけに、その味は極上。お酒がずいぶん進んだことは言うまでもありません。

三津(みと)とは、伊豆西海岸にある漁村の地名で、ここ修善寺からクルマで12~13分で行けてしまいます。Tさんに詳しく聞くと、この三津で日曜日の早朝から朝市をやっており、そこで買ったとのこと。駐車場もあって、市のある日は大勢の人でにぎわうそうです。

そりゃー行ってみんといかん。ということで、昨日の朝、早くから起きて、その朝市に行ってみることにしました。

三津には、三津シーパラダイスというイルカショーや水族館を売りにしたテーマパークがあります。現地に着いてみると、そのシーパラダイスのすぐそばにある内浦漁港という漁港内の駐車場が朝市の会場になっていました。早速クルマを止めて、朝市を見学しようと思ったら、もう既定の駐車場は満杯で止めるところがないほど混雑しています。なんとか桟橋横にスペースを見つけて、会場に向かったら、まあいるわいるわ、たくさんの人が。

市場の規模はそれほど大きくなく、テントが10ほどもある程度。それぞれのテントで野菜や魚、お惣菜や果物、干物、といったいろいろなものを売っています。これらは野外にある露店なのですが、これとは別に魚を水揚げする屋根付きのヤードがあり、こちらでは魚介類のみを売っていました。

内浦の漁師さんが採ったとれたての魚を売っているようですが、はっきり言って安いものばかりではありません。先日Tさんが届けてくださったサザエは、4個ほどを1500円で売っていました。東京のスーパーでは、これ一個が1000円くらいすると思うので、安いといえば安い。が、たびたび買って食べるにはちょっと高級品です。このほか、アワビが一個1200円、三個で3000円など、値段は少々高め。

でもおさかなのほうは、割とリーズナブルで、立派なサバが一尾800円。ムツ2尾が400円、カマス4尾が600円といったところ。お店の人にお刺身にするにはどれが良いかと聞いたら、スルメイカがいいだろうというので、値段を聞くと、7杯が500円とのこと。や、安い・・・ということで思わず買っちゃいました。先日河津から帰る途中、天城の道の駅で生ワサビを買ったのですが、これでそのワサビの使い道が決まりました。生のワサビに生の新鮮なイカ、もーう、たまりません。

市場を出て、漁港のほうに回ってみると、ここはどうやら釣り人のメッカにもなっているようで、防波堤の端から端まで人がぎっしり。日曜日の早朝だというのに親子連れで来られている人も大勢いて、ちょっとびっくりしました。ほとんどが地元の人だと思いますが、さきほどの駐車場には、横浜や品川ナンバーの車もあったので、もしかしたら週末を利用して東京方面から来た釣り客もいるのかも。

みなさんどんなものを釣っているのかなと、気になりましたが、確認できませんでした。それにしても、みんなのんびりと海に向かって糸を垂れていらっしゃいますが、よく飽きないこと。短気な私ならおそらく、30分はもたないでしょう。

この内浦漁港、こじんまりとした漁港で、停泊している船をざっとみると30~40艘といったところ。日曜日なので漁は休みのようでしたが、普段どんなものが揚がっているのか気になったので、うちに帰ってから、「浦漁業協同組合」のホームページをみてみました。すると、ここで揚がってい魚は、タチウオ、マアジ、マダイ、カンパチ、カマスなどが多いようです。

季節による違いもあるのでしょうが、今の時期はカマスとかがおいしいのかな? 塩焼きにすると絶品ですよね。このほか、イセエビやマダコも揚がるみたいです。季節ごとに来てみると揚がっている魚の種類も変わってくるかもしれないので、これからちょくちょく来てみたいと思います。

ちなみに、船の数え方って知っていますか? これは、大学のときに習ったのですが、比較的大きな船、タンカーや艦船などは「隻」で数え、比較的小さな船は「艘」で数える、というのが正解。また、ボートやヨットは、一艘二艘ではなく、「艇」です。

それから、船には左右の船首付近に舷灯というランプが付いています。夜間に海の上での船同士の衝突を避けるための装置なのですが、その左側の舷灯は赤色、右側は緑色です。

「いいか。赤玉がポート・サイドだ。赤玉ポートワインと覚えるんだぞ」と、大学の航海実習の際に、教官が言った言葉を今思い出しました。船は、進行方向に向かって左側をポートサイドといいます。バイキングの時代の船では右舷側に操舵装置が装備されており、舵が右側に出ていたため右舷での着岸ができませんでした。このため港(ポート:Port)に着岸するのはいつも、左舷側だったので、ポート・サイドという名が付いたそうです。

反対に、右舷側はスターボードといいます。バイキングの時代の右舷側に操舵装置は、スティア(Steer)といいます。今の乗用車のハンドルのことを英語でステアリング・ホイールといいますね。これも船用語から来ています。なので、船の右舷側は、正式にはスティア・ボード・サイド(Steer Board Side)といいますが、明治時代に、和製英語にしたときに、横着して略し、「スターボード」と呼ぶようになったんでしょう。

どうです。勉強になったでしょう。勉強ついでにもひとつ。なぜ、左右の舷灯の色が違うのか。それは、海の上は原則、「右側通行」、という国際法で決められたとりきめがあるからです。夜、船がどっちの方向に向かっているかを認識する為に「舷灯」が非常に重要になります。

「左が赤」とわかっていれば、船が進んでいる右前方に「赤灯」が見えてきたら、その赤灯の相手は進行方向の左側から接近してきているわけです。夜間に真っ暗な海の上を航海する際、国籍もわからない船同士がすれ違うとき、おたがいの安全を守るためにはこうした万国共通の取り決めが必要になるのです。さらに、こういう場合、正面衝突をさけるために、船は常にスターボード(右舷)に舵を切らなければなりません。これも法律で決められています。

以前あった、漁船と自衛隊の潜水艦の衝突事故は、これをどちらかの船が無視したために起こった事故です。どっちが、無視したのか実際のところはわかりませんが・・・・

・・・と昔習ったウンチクを思わず披露してしまいましたが、これから港へ行って船を見る機会があったら、確認してみてください。どんな船にも赤と緑の舷灯が付いているはずです。

・・・ということで、今日は海のお話になってしまいました。今日はこれから、下田へアジサイを見に行こうと思うのでこれまでにします。先日行った修善寺虹の郷にもアジサイ園があるのでそちらにも行ってみたいと思っています。先日はまだ満開でなかったバラがどうなったのかも気になります。そういえば今年はまだホタルも見ていないし・・・

あれこれと忙しい修善寺の毎日です。