将来メールでできること

2015-8550今日は、1月23日ということで、「1(いい)23(ふみ)」の語呂合わせにより、「電子メールの日」ということになっているようです。

言うまでもなく、コンピュータネットワークを使用して、郵便のように情報等を交換する手段であるわけですが、私自身もメルアドを3つも持っていて、色々な情報収集・情報交換だけでなく、友人・知人との連絡に活用しています。

ただ、我々より年配の方の中には、コンピュータの扱いに慣れていない方も多く、未だにメールでの人とのやりとりが苦手、あるいは、まったくやっていない、という人も多いようです。

また、電子メールを使える環境にある人でもあまり活用していない、という人も少なくないようです。最近はスパムメールが急増しており、これを誤って開いてしまって、せっかくなけなしの金で買ったパソコンをウィルス感染させたくない、というのがその理由の一つのようです。

見知らぬ差出人からのメールは開かない、見ないですぐにゴミ箱に捨てる、などの対策を取っていればだいたいは大丈夫なのですが、最近は偽りの相手を装ってのメールもあって、こうしたメールには、すぐにここに書いてあるアドレスに連絡してください、などとまことしやかに知り合いを装った文章が書いてあったりします。

架空請求メール、ワンクリックメールであり、無論、悪質な詐欺の手口なのですが、それをどう見分けるか、というところが、なかなか難しく、私自身、スパムメールに慣れているつもりでも、うっかりと開けてしまう、ということはよくあることです。

また、中にはまことしやかに添付ファイルをつけているスパムメールもあり、通常はメールを開けてしまっても、添付されているファイルをオープンするなどしなければ大丈夫ですが、何だろうと思ってファイルを開いてしまったところ、この添付ファイルにウィルスが潜んでいた、といったケースも多々あります。

それにしても、いったいこうしたスパムメールの送り手は、どこで私のメルアドを知ったのだろう、といつも疑問に思います。最近はインターネットで買い物をすることも多く、こうした場合にはメルアド登録は欠かせないため、おそらくは、このときの登録データが何者かによって売買されるなどして流出し、第三者に知られているのだと思われます。

頻繁にメルアドを変えれば済みそうなものですが、その都度いつも連絡を取っている人達にメルアド変更を伝える必要もあり、また銀行振り込みやネットショップほかのサービスで登録しているメルアドまですべて登録し直す必要があります。

結局は仕方なく、これまでのメルアドを使っているのですが、毎度のことながら、なんとかならんのか、スパム対策……と思う次第です。

このスパムメール対策としては、サーバ上やメルアドソフト上などでのフィルタリングする方法などもありますが、誤検知により通常のメールがスパムであると判断されてしまい、不着となることもあり、こうした問題が根本的に解決される方法は当面はなさそうです。

最近はISP(インターネット・サービス・プロバイダ)、つまりインターネットやメールを使えるように接続サービスを行っている会社などでも、こうしたスパムメールを監視し、利用者からの通報があればこれを流さないようにしているようです。

しかし、スパムメールであるかどうかの判断が難しく、下手をすれば販売活動の阻害だとして訴えられてしまうケースもあるようです。またメールアドレスは一文字変えれば簡単に別のものが創出できるため、それこそゴマンとあるスパムメールアドレスが存在し、これをすべて駆逐することは不可能です。

とはいえ、最近ではアメリカのようなインターネット先進国では、法律的な規制も強めて取締を強化しているようで、日本においても官側が主導してこうした社会的な取り組みが増えるよう仕向けていくことに今後は期待するしかないのかもしれません。

それにしても、このメールで実際にできることって何だろう、と改めて考えてみたところ、それはやはり、日本国内だけでなく、全世界にデータを配信、または受信できる、というところにその最大のメリットがあるわけです。郵便ならば日本なら数日、地球の裏側だと下手をすれば1週間かかるところをメールなら即座に届けることができます。

また、最近はかなり大きなデータの送受信も可能になっていて、近年の光ファイバー網の発達により、ブロードバンド対応として大容量を謳ったものでは100MB~数GB(ギガバイト)ほどのデータも送ることができるプロバイダも増えています。大手プロバイダのBiglobeなどでも普通に100MBもの大容量のデータがメールで送れるようです。

これがどのくらいの容量かというと、例えばこのブログでいつも掲載されている写真が、だいたい大きくても1MB程度ですから、同じ写真をメールに添付すれば、100枚送れることになります。

当ブログではできるだけ高品質の写真をみなさんに見て頂きたく、通常よりはやや大きめのサイズの写真を公開しているわけですが、これが一度に100枚も送れるということは、ちょっとしたアルバムも電子メールで簡単に送信可能、ということになります。

これは考えてみればすごいことです。メール(mail)とは、元々は手紙の意味だったものが、インターネット時代になってからは通常の手紙と区別するためにこう呼ぶようになってものです。が、通常の郵便でこれと同じ枚数のペーパー写真を送ろうと思ったら、間違いなく、手紙ではなく小包になってしまいます。

それが瞬時に送れる、しかも郵便配達人などの仲介者は全く必要なく(厳密にはISPが仲介しているわけですが)、プライベートからプライベートへ送ることができる、ということは、ほんの20年ほど前までは考えられないことでした。

手紙などの通信文だけでなく、こうしたメディア情報を大量に送ることができる、ということはすなわち大量の情報のやり取りが可能になるということであり、しかもそれが全世界レベルで可能になったことで、その気になれば今や地球上の誰とでも自由にこうした情報交換ができるわけです。

加えてインターネットの普及により、地球上のほぼどこの景色もパソコンで見ることができるようになり、このネットとメールの組み合わせにより、おそらく地球のサイズの感覚というのは、20年前の100分の1くらいになっているのではないか、と思えるほどです。

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しかし、まてよ、と考えます。こうした情報以外に何が送れるのか、ということになると、ほとんど思いつきません。食品を送れるわけもなし、ましてや人や動物を電子メールで送ることができるわけもなく、そうした意味では地球のサイズは今も昔も変わりません。

電子メールを情報の瞬間移動装置、と捉えるならば、物質の瞬間移動も可能ならばいいのに、と思うわけですが、残念ながらそうはなっていません。

しかし、近年の人類の技術の発展はすさまじく、人工知能の発達などによって開発されたロボットコンピュータのようなものができれば、その力を借りて、もしかしたらそう遠くない将来にそうしたものも可能になるのではないか、という気もします。

情報やデータを信号として一方の装置から他の装置へ移動させることは、工学的には「転送」といい、転送は情報やデータを表す電気信号などその形式を変えずにそのまま移動することができる手法です。電子メールはまさにこの転送装置のひとつです。

ただ、じゃあそれならこうした情報やデータ以外に物質を転送できる装置が実際にあるか、といえば、現時点は実現しておらず、SFの世界の話になってしまいます。

実際にモノや人間を転送するというのは、実現不可能なこと、と現時点では考えられているわけですが、それでもいい、夢物語でいいからどんな方法があるか教えて、というならば、過去に作られたSF作品をみると、その分類としては、主に3つのものがあります。

まずは、「ビーム方式」。これは、物質を分解して「ビーム」に乗せて運び、目的地で再構築するというもので、「転送ビーム」とも呼ばれます。

テレビドラマや映画にもなった「スタートレック」の転送(transport)はまさにこれであり、この作品では、人員輸送用と貨物輸送用の2種類があり、人員用は量子レベルまで、貨物用は分子レベルまで分解して転送できました。

このほか、タイムマシン用として開発された転送装置にハエが混じってしまったことで人間の遺伝子にハエの遺伝子が含まれてしまい、「ハエ男」になってしまう、という恐怖映画、「ザ・フライ」などにおける転送方式もこのビーム方式といえます。

が、人間やその他の物質を分解してビームにする、というのは物理的にも化学的にも実現性が乏しく、無論、理論的にも不可能です。未来においてもそうした技術が実現することは不可能といっていいでしょう。そもそも「ビーム」とはいったい何よ、と言った時に光なのか分子レベルの物質なのか説明できる人は誰もいやしません。

また、SFの世界では、電子メールのように、物質をデータ化し、送る方式を「データ方式」というものがありますが、これもまた、ビームと同様得体の知れないものです。

分解して運ぶのならばビームと同じじゃないか、といわれても仕方のないことですが、そこはSFの世界の話です。ビームではなく、データにするのだ、と言われればふーん、そうかぁ、と納得できないまでも黙ってしまいます。

ただ、生物や物体をデータに変換し、通信によって転送、転送先で元の姿に戻すことができる、といわれますが、これはその形式がビームだろうが、データであろうが、工学的にみれば転送ではなく、「伝送」といえます。

例えば、音声、画像、情報、データなどであれば、これを電気の電圧値形式の信号に変え、無線の電波に乗せることで移動させることができます。無線の場合はこれを「変調」といいます。移動完了後、そこで元の形式に戻しますが、これは「復調」であり、無線電信の装置そのもののことを「伝送装置」といいます。

この電波と同じことを動物や物資に適用できないか、というわけですが、無論これも空想の世界の中でしか実現していません。そうした架空のお話のひとつとしては、アニメやゲームでおなじみの「ポケットモンスター」などに出てくるシステムがあり、これは例えば、「ポケモン預かりシステム」というものです。

ポケモンを何等かの形でデータ状態での保管しておき、必要に応じて「解凍」するわけであり、ポケモン主人公のサトシが手にしたボールの中から次々と飛び出すポケモンは、データを復調して表出させた産物です。

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さらには、アニメの「宇宙戦艦ヤマト」で有名になった、「ワープ」による転送方式があります。無論、日本のアニメだけでなく、スターウォーズなどでも有名になったものですが、今やSFにおける宇宙モノといえば、たいていは、何等かの形でワープがでてきます。

ところが、これは前述の二つのように必ずしも空想の産物とばかりもいえません。このアイデアの元になったのは、「ワームホール (wormhole)」というもので、これは、宇宙におけるブラックホールのような時空のある一点から別の離れた一点へと直結する空間領域でトンネルのような抜け道のことです。

ジョン・アーチボルト・ホイーラーという、2008年に亡くなったアメリカ合衆国の物理学者が提唱したもので、その理論式よれば、ブラックホールに突入して抜けたその先には別のブラックホールがあり、この二つはとてつもなく遠く離れているため、物質はその間を瞬間移動できる、というものです。

ホイーラーは、これを研究上の遊びと考えていたようですが、彼が生きていた当時の小説「コンタクト Contact」を執筆中だったSF作家のカール・セーガンが、この新しい小説を書く上において彼にこの瞬間移動に関しての科学的な助言を求めてきました。

このとき、ホイーラーは忙しかったのか、その弟子の、キップ・ソーンという同じくアメリカの理論物理学者にその対応を命じました。このときのセーガンの依頼は、遥か宇宙のかなたにいる地球外生命との接触が可能になるようなシナリオを、読者に対して不自然にならないようなんとか科学的に作れないか、というものだったそうです。

その結果、ソーンは「もし負のエネルギーをもつ物質が存在するならば、通過可能なワームホールはアインシュタイン方程式の解として存在しうる」と結論し、さらに、時空間のワープをも可能にすることを示しました。

負のエネルギー???と私もしっかりとは勉強しておらず、ちんぷんかんぷんなのですが、彼の研究によれば、現在の技術では制御が難しいほどの高密度の負のエネルギーがありさえすれば、ワープは可能という結果になったのだそうです。

しかし、そもそもこの負のエネルギーをどうやって得るのか、またどのようにしてワームホールを通過するのか、あるいは出口がどこなのかは全くの未知の問題として棚上げされた上での研究結果だったといいます。

ところが、後に、このソーンの考えたワームホールを別の科学者が検証したところ、その解は不安定解であることが数値計算から報告されており、ワームホールを正の質量をもつ粒子が通過した場合、その後にワームホールは潰れてしまって通過できなくなるという結論になったそうです。

このため仮に通行可能なワームホールを見つけても、そのワームホールは通ったあとすぐに潰れてしまい、同じ道を通って帰ろうとしても元あったワームホールを通って帰ってくることのできません。つまり、一度きりしか使えない一方通行の道になってしまうというわけです。

しかしもし通行のたびに旅行者がこのワームホールに何等かの人工的な補正を加えて恒久的に維持し続けられるなら、相互通行に使用できるということも数値計算から導かれたといい、まったくの不可能というわけでもない、という結論に至ったそうです。

ただし、その補正には莫大なエネルギーが必要になるとのことで、現時点での技術では不可能です。人類がこれまで手にしなかったような巨大なエネルギー制御の技術を手にすれば将来的には可能「かもしれない」というだけです。

そう聞くと、なーんだやっぱり夢の夢の話か、という人も多いでしょう。が、過去における人類の科学技術の発展の歴史の過程のことを考えると、ほんの100年前には人間が地球外の天体を訪れることなどありえない、と思われていたものが、その後月面探査が実現し、現在は普通に数多くの宇宙飛行士が宇宙で活動をしています。

そう考えれば、物質の瞬間移動の話もけっして夢物語ではなく、時間はかかるかもしれませんが、いつかは実現するに違いないのではないか、と私などは思うわけです。

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このほか、これは必ずしも瞬間移動とはいえませんが、「超光速航法」というものがあります。これはワープとは少々違い、宇宙船が光速を超える速さで航行するための技術であり、高速での移動であるがゆえにほぼ瞬間移動に近い、と考えられているものです。

これも物理学では真剣に研究されているテーマのひとつです。アインシュタインの相対性理論によると、物体の相対論的質量は速度が上がるに従って増加し、光速において無限大となります。このため、単純に加速を続けても光速に達することも、光速を越えることもできません。

しかし、計算上の遊びの上においては、物理理論と整合性を保ったまま、光速を越えることが可能であることが証明されているとのことです。

物理学においては、「エキゾチック物質」というものが仮定されており、これは既知の物理法則を破りうる風変わりで奇妙な物性を持つ仮説上の粒子であり、その存在はまだ一般的に確認されていません。

そうした性質を持つ粒子は現在の物理学研究の中での存在が発見されれば、そうした高速移動も可能となる理論が構築される可能性があるということで、こうした物資は、現在「タキオン」といった名前で呼ばれているようです。

超光速で移動する物質と考えられており、宇宙にある星間物質のうち電磁相互作用をせずかつ色電荷を持たない、光学的には観測できないとされる仮説上の物質である「暗黒物質(ダークマター)」と呼ばれる物質のひとつです。

この暗黒物質の存在に関する研究は、最近急速に進んでおり、昨年の4月3日、欧州合同原子核研究機関において、マサチューセッツ工科大学教授らの研究グループが「暗黒物質が実際に存在する可能性を示す痕跡を発見した」と発表しています。

現在その研究結果の解析が世界中の科学者によって進められており、この研究成果が正しいことが証明されれば、同様の手法を用いて他の暗黒物質も発見されるかもしれず、これから新たに見つかる物質の中には、超高速で移動するタキオンのようなものも含まれているかもしれません。

こうした宇宙研究の中からちょっとしたはずみで、大発見が行われ、それをもとに「超光速航法」の研究が進み、それをもとに物質を瞬間移動させるような技術開発も急速に進むかもしれません。

インターネットの普及から早20年以上が経ちましたが、この間の情報転送技術の発展はすさまじかったことを考えると、その実現の速度は今後更に加速度的となり、100年前から現在に至るまでよりも飛躍的にその時間は短くなるかもしれません。

一方、相対性理論との関係では、この超光速航法とタイムトラベルは結びつけて考えられることも多いそうです。超光速航法自体も相対性理論的にはタイムトラベルの一種だとする説もあるようです。

その昔、ターミネーターというSF映画がありましたが、この映画の主人公は、ビーム方式?と思われるような方法で物質を変化させて時空を飛び、現代にやってきました。もしかしたらこのような方法は超高速航法の延長戦上にあるのかもしれません。

このような超光速航法が可能になれば、同時にタイムトラベルも可能になってしまうかもしれないわけであり、瞬間移動できると同時に過去と未来を自由に行き来できる時代がくるやもしれません。

日本では、東京と名古屋を結ぶ「リニア新幹線」の開業が2027年と目されており、これはあと12年先です。これまでにタイムトラベルができる技術が開発されているとは少々考えにくいですが、東京~大阪間の全線開業は2045年の予定であり、ちょうど30年先です。

東京~大阪間は、このとき最速67分で結ぶと試算されているようですが、もしかしたらこのときには星間移動も瞬時にできる技術ができているかもしれず、その結果、リニア鉄道なんて大昔の技術さ、と人々に笑い飛ばされている、といったこともあるえるかもしれません。

ただ、その時私はまだ生きているでしょうか。仮に死んでいたとしても、また別の技術が開発されているやもしれず、それはあの世とこの世を瞬間移動できる技術かもしれません。

このブログを読んでいる若い方は、そうした技術を体験できるかもしれない、と考えるとうらやましい限りです。もっとも、そんな技術が開発されたら、もはや死ぬということの意味がわからなくなってしまいますが……

……と馬鹿な話しを書いているうちに、今週も週末になってしまいました。

週末は長ければ長いほどよく、できれば瞬間移動よりも、同一時間をできるだけ長くできるような技術も開発して欲しいものです。はたしてそうした技術もまた未来で開発されているでしょうか……
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