富士山は親戚? ~富士山

昨日は一日中雨が降り続きました。梅雨らしいといえば梅雨らしいのですが、妙に気温が低く、最高でも21度どまり。典型的な梅雨寒です。わたしはといえば、思わずしまいこんでいた、愛用のどてらを引っ張り出して着るほど。夕べなどは、もう6月だというのに、鍋料理などしてしまいました。

雨は夜半にあがり、そして今朝は快晴、とまではいきませんが、朝から少し日が差す天気。外をながめると、ここのところ厚い雲に覆われてばかりいた富士山が久々にその雄姿を現しました。しかし、それにしても、雪が減ったな~ こんなに少なくなってたんだーとちょっとびっくり。

そこで、先月の5月に撮影した富士山の写真と比べてみると、その違いは一目瞭然。右下の宝永山の噴火口(宝永火口)の雪はすっかり溶けているのがわかります。それもそのはず、来月7月の1日からはもう、富士山の山開きです。今年も大勢のハイカーが富士山のサミットを目指すのでしょう。


 5月16日の富士山 宝永火口にはまだ雪が・・・

かくいう私は、一度も富士山の頂上まで登ったことはありません。学生の頃に、五合目まではクルマで行ったことがあるだけ。しかも、曇天の日だったので下界も全く見えず、ただ登っただけになってしまいましたが。

それだけに一度は登ってみたい山ではあるのですが、テレビなどで紹介されている登山の様子を見ると、登山客だらけでイモ洗いのご様子。ただでさえ人ごみが嫌いな私にはとても向かない環境です。多くの人は七、八合目あたりで一泊してから頂上を目指すようですが、宿泊する山小屋の混雑ぶりが目に浮かぶようで、どうにも気が進みません。

早朝か夜間から登山を始めて日帰りで帰ってくる、ということもできるみたいなので、天候をみはからってそのうちチャレンジしてみようかな、と思ったりもします。が、運動不足のタエさんがついてこれるかどうか。彼女ときたら、ちょっとした神社の階段でも息を切らしながら、私にしがみついてくる始末。いっそのこと、背負子(しょいこ)でも買ってかついで行くか~ とも思ったりするが、ぎっくり腰になったらいかんのでやめときましょう。

その昔、富士山の山頂に気象庁の測候所があったころには、頂上まで観測資材などを引き上げるのに「強力(ごうりき)」と呼ばれる人々がかり出されたようです。一人で50~60kgの荷物を運ぶことができたそうで、中には重さ100kg以上の荷物を運ぶ猛者もいたとか。直木賞作家、新田次郎さんの小説「強力伝」に出てくる強力さんは、白馬岳山頂に50貫目(187.5kg)の方位盤を運んだそうです。富士山でも、山頂に立つ鳥居を担ぎ上げた強力さんがいて、この人は、重さ40貫~50貫(150kg~187.5kg)の鳥居を上げたとか。

こういう強力さんはその昔、富士吉田市や御殿場市にたくさんいたようで、通常は山小屋などに食糧や日用品を運ぶ仕事をしていたようです。今もいらっしゃるのかな、と思って少し調べてみたら、今は山小屋への荷物などは小型のブルドーザーで運べるそうなので、おそらくはもう廃業でしょう。

ところで、富士山といえば現役バリバリの活火山。いつ噴火してもおかしくない、「生きている」火山です。先日NHKの特集番組を見ていたら、この富士山、最近どうもきな臭いらしい。昨年の大震災によって、関東以北の火山の地下にあるマグマにかかっていた周りの岩盤からの力が解き放され、マグマが上昇しやすい状態が続いているとか。ここ数年のうちに噴火するのでは、という見方をしている学者さんもいるようです。

もっとも考えられる噴火シナリオのその1は、南側の宝永火山からの溶岩流の流出だそうで、この場合、麓の富士市や裾野市あたりに流れ出すだけでなく、駿河湾にまで達し、東名高速や新幹線、東海道線などの東西を結ぶ大動脈を分断。東京とそれ以西の物流が止まることによる大きな経済的ダメージが生じる可能性があるとのことでした。

可能性の高い噴火シナリオのその2は、同じく宝永火山付近から噴出した噴煙が、上空数キロメートルの高さにまで噴き上げるパターン。この場合、富士山のすぐ麓への影響というよりも、むしろ大きな被害を受けるのは東京や神奈川、埼玉といった関東地方。偏西風によって東に流された噴煙が関東地方の広範囲に灰や火山岩を降らします。

火山灰は銅や鉄と同じく通電性があるそうで、これが電線に積もるとショートして電気が止まり、首都圏が大停電になる可能性も。降った灰のうち、細かなものはあらゆる電子機器に入りこんで悪影響を及ぼすほか、積もった灰は電車や自動車の通行をも妨げ、人々の移動は困難に。関東地方はその他の地方とは切り離され孤立。そのため食糧事情が悪化し・・・・・

と、何やら空恐ろしくなってきますが、本当に噴火したらそりゃーそういうこともあるだろうな~。去年テレビでみていた大津波の映像はまるで夢でも見ているようでしたが、富士山の噴火も実際におこったらまた夢のように見えるのでしょうか。ふつう、夢はかなってほしいものですが、こればかりは実現しないことを祈るばかりです・・・

ところで、火山ついでなのですが、おととい行った下田のペリーポイントで「火山の根」についての説明書きがありました。なんでも下田にある三角形のおにぎりのような山、「下田富士」というのだそうですが、この下田富士や同じ市内にあって頂上までロープウェイが通っている観光スポット、「寝姿山(ねすがたやま)」は、その昔、やはり火山だったそうです。

ペリーポイントにある「黒船」のいかり

火山の根とは、ようするにマグマそのものなんだそうで、そのまわりの岩や砂が侵食されてマグマ本体が露出したもの。硬い一枚岩になることもあるらしい。そういえば、ウチの近くにある城山(じょうやま)や葛城山もその昔は火山だったらしく、城山などは見るからに、岩一枚でできてまーす、としっかり火山の根っこを主張してます。前にもこのブログで書きましたが、ロッククライミングをする人のメッカだそうで、近くに出かけることがあるときに見上げると、岩肌に張り付いているクライマーを見かけることがあります。

左から富士山、葛城山、城山

ちなみに、下田の下田富士は、伊豆諸島の最高峰で八丈島にある八丈富士、富士山(駿河富士)と合わせて三姉妹であったという民話が残されているそうです。そうすると、城山や葛城山はその親戚かい・・・と突っ込んでもあんまりおもしろくないか。でもまあ、同じ伊豆半島の中でできた火山同士であることには違いなく、お父さんやお母さんではないにせよ、親戚といっても過言ではないわな。

また、その昔、伊豆半島にあちこちにあった火山から噴出し、海底にたまった火山灰や軽石が固まって隆起したものを切り出したものを、「伊豆石」というそうですが、下田の町には伊豆石で作った建物がたくさんあるとのこと。そういえば我が家のお風呂にも伊豆石が使ってあります。ということはウチの風呂も富士山の親戚か。と、わけのわからんことを書いているとお叱りを受けそうなので、今日の火山論議はこれくらいにしましょう。

気がつけば6月ももう中旬。あと半月で今年の前半戦も終了です。今年前半の奮闘は後半戦にどう影響を及ぼしていくのか。本格的な夏が来て暑くなる前の梅雨のあいまにでも、過去に起こった出来事を整理し、今後の展開を見据えることにしましょう。みなさんにとっては、どんな半年でしたか?

ペリーポイントにて