ニャンとも眠い

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伊豆では、ソメイヨシノや山桜があちこちで花開き始めました。

ところによってはほぼ満開のところもあり、季節の進み具合は順調のようです。昨日今日と少々寒の戻りはあるようですが、もはや春といってよいのでしょう。

「春眠暁を覚えず」、ということで朝起きれない、という人も多いでしょう。が、私はだいたいどんな季節でも5時台には目が覚めます。

ジジイになったからだろう、と言われそうですが、20代の若いころから早起きで知られており、会社でのあだ名は「ニワトリ小僧」でした。

誰よりも真っ先に職場に入り、朝早くから仕事をするのですが、周囲は静まっており、格段に集中でき、その分、早く仕事を終えて帰れる、というメリットがありました。まさに早起きは三文の徳です。

この、春眠暁を覚えず、は誰が詠ったのかと調べてみると、中国の唐の時代の詩人・孟 浩然(もう こうねん)という人のようです。元文にはこれに続く後段があり、これは「処処啼鳥を聞く、夜来風雨の音、花落つること知る多少」です。

春眠暁を覚えず、と合わせて意訳すると、「春の夜は寒さもやわらぎ心地よいので、眠りについたあと夜明けが来ても気が付かない。目を閉じたままでいると、鳥のさえずりが聞こえるようだ。昨晩は嵐の吹く音がしたが、おそらくその鳥がついばむ花もたくさん散ったことだろう」といった意味でしょう。

昼寝ではなく夜の睡眠について詠った詩であるわけですが、しかし春には夜だけでなく昼間もついウトウトしやすくなります。これは春になると皮膚の表面血流量が増え、交感神経系が活発になり、日中の活動量が増えるということと関係があるようです。

その結果、疲労感やだるさが出やすく、このためはとくに昼過ぎなどには強い眠気に襲われやすくなります。また、入学、入社、異動など、生活環境にもいろいろ変化がある時期なので、その反動で興奮してしまい、逆に夜は寝つきがわるくなる、という人もいるようで、これにより日中に「春眠」してしまうわけです。

いずれにせよ、春という季節には日の出の時間が速くなり、急激に日照量も増えるので、何かと生活のリズム、ひいては睡眠のリズムを崩しやすくなりがちです。それでは、質の良い睡眠をキープするにはどうすればよいか。それは、できるだけ睡眠パターンを統一することです。

よく、平日が仕事で忙しく、思うように睡眠がとれなくなると、休日に「寝貯め」を試みる人がいますが、そうしたからといって、頭や体がすっきり快調になるわけではありません。逆に体調が悪くなる人も多いようです。

これは、人の体には体内時計があり、寝だめはこれを壊してしまうためです。一定のリズムで睡眠し、これに合わせて生活パターンを決め込むと、体はそれに合わせて順調に動いてくれるようになります。

従って、いろんなイベントが重なって前日の就寝が遅くなっても、朝はいつもと同じ時間に起床するようにします。そうすると睡眠時間が短くなるので、その日は逆に眠たくなる時間が早くなるかもしれません。が、体が睡眠を取り戻そうとするので、その夜は深い眠りを導き、体をしっかりと休めることができます。

そして、同様に以後の日々もできるだけ朝起きる時間は同じにして、その前後で睡眠時間が浅かろうが深かろうが、これをキープし続けます。そうすることで、やがて体内時計のサイクルが安定してきます。次第に睡眠時間も一定となり、また体調も安定してくる、というわけです。

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もっとも睡眠時間は人によってまちまちです。いったい何時間寝ればいいのか。ナポレオンは3時間で十分だったといいますが、これくらいで十分かどうかについては、諸説あるようです。が、現代人は八時間労働制の関係もあり、やはり7~8時間というのが一番体内時計のリズムが安定しやすいといわれているようです。

1日の睡眠時間が7時間の人は他の人たちに比べて死亡リスクが低いというれっきとした統計データもあるようで、個人差はあるのでしょうが、やはりこれくらいは寝ておいたほうが良いようです。

ただ、連続して寝る必要は必ずしもなく、切れ切れでもいいようで、日本の場合、電車やバスで通勤・通学をする人も多く、そこで睡眠不足を補うことも悪いことではないようです。私自身、夜の睡眠はだいたいいつも5~6時間ぐらいであり、そのかわりに昼寝で不足分を補っています。

それにしてもなぜ睡眠が必要か、ですが、これは生命にとって大切ないわゆる「免疫力」「自然治癒力」などに悪影響がある、ということが定説のようです。子供の場合は成長ホルモンの分泌にも悪影響があり、睡眠が足りていないと身長が伸びにくくなる、というのは本当のことのようです。

このほか、よくいわれるのが、顔がむくみ、血色が悪くなり、皮膚の状態が目に見えて悪くなる、といったことでしょう。特に女性の睡眠不足は美容の大敵だ、とはよく言われます。

このほか、精神的にも悪影響があり、睡眠不足の人は鬱や躁、といった精神不安定状態になりやすく、記憶力、集中力が悪くなります。結果として仕事や学業に影響を与え、肉体労働などをしている人では深刻な負傷を負ったりします。睡眠不足で死亡事故に遭う確率が高いことは、各種労働統計によっても明らかにされているそうです。

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それでは、人間以外の動物はどうなのか。我が家にも一匹おりますが、ネコでは平均12~13時間だそうで、「ネコ」の語源は「寝子」だという説もあるくらいです。確かによく寝ます。また、イヌでは犬般的には10時間という統計データがあるようですが、その睡眠時間は大きさに依存する、ということが言われているようです。

小型になるほどより長い睡眠時間を取るようで、同じペットで犬より小さいネコの睡眠時間が犬より長いのはこのためかもしれません。ネズミのような小型の齧歯類は15~18時間だといい、逆に大型動物であるゾウでは3~4時間であることからみても、大型化すればするほど睡眠時間は短くなる傾向にあるようです。

背の高さと関係があるのかどうかまではわかりませんが、キリンに至ってはわずか30分~1時間だそうです。

大型動物ほど睡眠時間が短くなるのは、大型化によって新陳代謝の率が低く済むためと考えられているようです。新陳代謝は、脳の機能を維持するために重要なものですが、日中に酷使した脳細胞のダメージの修復をこうした大型動物はより短い時間でできる、ということがわかっているそうです。

が、なぜ短くできるのか、するのかはよくわかっていないようです。おそらくは、そうして睡眠時間短くすることで、巨大であるがゆえに他の捕食者に見つかりやすくなるリスクを軽減しているのではないでしょうか。ゾウやキリンは大型ですが、元来草食性のおとなしい動物なので、肉食系の動物の餌食になることも少なくはありません。

また、相対的に草食動物の睡眠時間は短く、肉食動物は長い傾向にあるといいます。ゾウやキリンは草食動物であり、これを襲うヒョウやライオンはより長眠です。

同じ猫科の動物であるネコも長眠ですが、野生の肉食動物は、ペットと違い餌を貰って生きているわけではありません。獲物をみつけて狩りをして自分で餌を得る努力をしなければなりませんが、失敗することも多く、そうそう毎日ステーキが食えるとは限りません。

必然として食物を得る機会は乏しくなります。しかし、いざ狩りに成功すれば、その獲物はたいへん高カロリーであるため、一度こうした食物を得た後はしばらく食物を摂る必要が無くなります。

この間、何もしなくても良い時間が多く、むしろ何もしないことで消費カロリーを抑えることができ、さらに寝てしまえばよりカロリー消費量は減る、といわけで睡眠時間が長くなる、と考えられているようです。

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一方、草食動物の食糧はその辺にどこでもある草や木の葉なので、摂取する食料に不自由しません。しかし、こうした食料は一般に低カロリーであり、繊維質も多くなりますから、大量にしかも長時間食べ続ける必要があります。

また、長い消化時間も必要となり、結局は起きている時間が長くなることを余儀なくされます。従って、睡眠時間は短くなります。

従って、動物の睡眠時間はそのサイズが大きいか小さいかということ以外にも、肉食か草食かによって、その差異が出てくるわけです。とすると、人間でも背の高い人は睡眠が短く、肉食の人は睡眠が長いのでしょうか。

ウチのヨメのタエさんは背が高いほうですが、睡眠が長く、野菜よりも肉や魚のほうが好きな私は相対的に睡眠が短いようであり、当たっていないような。が、あなたの周辺の人を観察してみてください。案外とその通りかもしれません。

それにしても、以上はヒトやそれ以外の哺乳類の睡眠のおはなしです。それ以外の動物ではどうなのか、といったところに目を向けてみると、例えば魚はどうなのか。

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結論からいうと、魚も寝るそうです。しかし、布団を引いてそこで寝るわけではなく、単に水中を漂う、あるいは水底にじっとする形で睡眠状態に入るそうです。また魚だけでなく、眠りを単に「定期的な休息」と定義すれば、ある種の植物も眠るといい、こうした脊椎動物以外の動物、例えば、節足動物にも睡眠に類似した状態があるといいます。

節足動物と言えば、ミツバチなどの昆虫類、カニなどの甲殻類、クモ類、ムカデ類などですが、彼等も睡眠をとるわけであり、このほかアメフラシなどの軟体動物などの神経システムの比較的発達した無脊椎動物も寝るそうです。

それらを睡眠と呼ぶのかどうかも怪しいようですが、独特の休息場所、休息姿勢、休息時の刺激反応性の低下、日周リズムなどを伴ったそれぞれの休息状態があり、これを睡眠と見ることもできるそうです。

それならば、人間以外のこうした動物は夢をみるのか。これについては、大脳をもつ動物だけが眠る、ということが言われているようです。夢をみるためには、外からの入力が遮断された状態で独自に視覚イメージをつくりだす脳のシステムが必要であり、大脳がこの機能を担っているからです。

また、大脳を持っている動物の中でも、レム睡眠をするものは夢を見やすいのでは、ということもいわれているようです。これは睡眠中の状態のひとつで、身体が眠っているのに、脳が活動している状態であり、体を休めながらも常に脳を活動させ、いざというときに対応しようとする本能だと考えられています。

脳は24時間活動させているとくたばってしまうので、半分覚醒状態にしているのがレム睡眠であり、眠っているその半分のところで、昼間にみた視覚情報を無意識に反復しており、これが夢といわれるものになって現れる、と考えられているようです。

一方、同じ大脳を持っている哺乳類でも、イルカは、水面に鼻(噴気孔)を出して呼吸する必要があります。そのため、脳を半分ずつ眠らせるという「半球睡眠」を行っています。

半球睡眠では、右脳を眠らせるときには左目を閉じ、左脳を眠らせるときには右目を閉じています。これで泳ぎながらでも眠ることができるわけですが、これができるためにレム睡眠をほとんど必要としないそうです。

長距離を飛行する渡り鳥も、半球睡眠しながら目的地まで飛んで行くそうで、飛んでいる最中に数秒間だけ脳全体を眠らせ、地表に墜落する前に目覚めるという芸当をするヤツもいるといいます。

こうした芸当は当然、ヒトなどの霊長類にはできません。できたらいいとは思います。半分目を閉じていれば眠れる、というのは素晴らしい技能です。努力すればできるような気もします。鳥に似た顔つきの人はもしかしたらできるのかも。

が、普通の人はできず、我々はレム睡眠をします。視覚システムがよく発達しており、サルに限って言えば、大脳皮質の約50%以上を視覚情報処理だけのために使っているとのデータもあるということです。

このため日中に見た視覚情報を、夜に行うレム睡眠の中で反復して見ている可能性が高いそうで、つまり、サルも夢を見ている、ということになるようです。

ただ、睡眠中に起きている間に得た情報を反復している、という観点からすると、イヌやネコも視覚は発達していますが、むしろ嗅覚のほうが発達しています。このため、視覚情報よりも、何かを嗅ぐ夢をたくさん見ているかもしれない、ともいわれます。寝ながらムニャムニャしているその姿は、餌の臭いを思い出しているのかもしれません。

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ペットを飼っている人達は、動物が夢をみると信じているようで、かく言うウチのテンちゃんも、私と昼寝をしているときには、なにやら寝言を言っているのを耳にします。ブチャブチャと口を動かしながら、うれしそうに見えるのはよほど何か楽しいことがあったに違いない、と思えるときがあります。

犬を飼っている人で、夜中に突然起き出して、寝ぼけたようにキャンと声を出し、そのまま寝てしまう、あるいは突然むくっと起き上がり、ふらふらと歩いてまた寝てしまう、といった様子を目撃したことのある人も多いでしょう。

似たような経験は、ペットを飼っている人達が多かれ少なかれ持っているのではないでしょうか。やはり何等かの夢をみている、としか思えません。

しかし、言葉をしゃべらない動物が確かに夢をみると証明することは、ほとんど不可能であり、どんな夢を見ていたの?と聞いても答えてはくれません。

ただ、猫や犬が夢をみることは、色々な実験で確実視されるようになっているようです。ネコの夢に関する実験では、ネコのレム睡眠を司る中枢は脳の青斑核という部位にあることがわかったそうです。

この青斑核を人為的に操作した結果、この実験ネコは、レム睡眠中にネズミをとる動作などをすることなどが確認できたそうで、このことから、ネコの夢は目覚めているときの行動のシミュレーションではないか、という仮説も立てられているそうです。

もしお宅のネコちゃんが、睡眠中においでおいでをしていたら、もしかしたらどこからかお金を持ってきてくれるシミュレーションをしているのかもしれません。おこさず、そっとその良い夢を育ててやりましょう。

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