オリンピックは伊豆で

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4月になり、サクラの季節だというのにお天気が悪い日が続くな~とおもっていたら、これは伊豆だけでなく、全国的な傾向だといいます。

が、今週からは天候もかなり持ち直し、来週からのゴールデンウィークに向けてはかなり期待できそうです。

と、いうわけで、この時期は暑くもなく寒くもなくで、新緑は目に優しいし、何かとお出かけしたくなるわけです。が、考えることはみんな同じであり、人気の観光スポットなどには人が集中し、ストレスをとりに行ったつもりが逆にストレスが溜まったりもします。

元々「人にあたる」たちの私は、これが嫌でしょうがなく、ゴールデンウィークともなると家に身をひそめることも多く、事実昨年も結局はどこへも行きませんでした。今年はどうしようかな~と思案中ですが、何も連休だからどこかへ行かなければならないというわけでもなく、行くとしても近場でいいじゃん、ということになりそうです。

伊豆という風光明媚な場所に住んでいるだけに、ちょっとお出かけするだけでほとんどどこでも観光名所というかんじであり、ここから歩いて20分ほどで行ける修禅寺虹の郷などは私のお気に入りの園地であり、一日中ここで遊べます。

伊豆市にはこのほか、「サイクルスポーツセンター」なるものがあり、これはJKA(旧・日本自転車振興会)など競輪運営団体の寄付金や補助などで建設費や運営費がまかなわれている施設です。

1965年開設で、ちょうど今年で50周年ですから、私が今住んでいる別荘地の分譲開始と同じ年にオープンしたことになります。サイクルスポーツの普及を図る目的で建てられた施設であり、遊園地もありますが、競輪選手を養成する「日本競輪学校」も敷地に隣接して建てられており、自転車関係者の間では「競輪のメッカ」と目されているようです。

元々自転車競技のための施設として開園した経緯があり、遊園地などは後付の施設です。このため、園内あちこちにある遊具と隣り合わせで本格的な競技トラックがあり、ロード競技用5kmサーキット・トラックレース用400mピスト(走路)・MTB(マウンテンバイク)コースなどがあります。一般にも有料で一般開放しているようです。

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連休明けの5月23日には、国内最大規模の自転車ロードレース、「ツアー・オブ・ジャパン」の「伊豆ステージ」もここで開催されます。これは、1982年から1995年まで14回に渡り開催されていた「国際サイクルロードレース」を継承する自転車ロードレースで、1996年にこの名称に変更され、第1回ツアー・オブ・ジャパンが開催されました。

日本国内で行われるロードレースとしては、都府県をまたぐ唯一のステージレースで、第1ステージは5月17日に堺で始まり、以後、いなべ(三重)、美濃(岐阜)、南信州(長野)、富士山(静岡須走)、に次いで伊豆で開催され、最終ステージは5月24日に東京の大井ふ頭で行われます。

全ステージを通じて30万人近くの人々が会場や沿道に集まるといい、日本国内では貴重な存在ともいえる公道開催型の自転車ロードレースです。各開催地では出場選手たちによるセミナーやワークショップなども行われるようで、ここ伊豆でもこうした交流活動を市が支援するようです。

一応は国際大会であり、また日本国内最高のステージレースとされているため、海外のチームも参加します。が、同じ時期に他の国でも同様な国際大会が開かれるため、なかなか強豪チームを招待しにくい現状があるようです。世界的に見るとレベルの低いレースとみなされているようで、さらにこの中でも日本選手はなかなか勝てないようです。

1996年の第1回大会以降、個人の総合優勝をしたのは、2004年、第8回大会の福島晋一選手だけです。ちなみに昨年の優勝者はイランの選手であり、一昨年の2013年とその前の2013年はイタリア国籍の選手でした。

ただし、このイタリアのチームは、日本の建設会社・NIPPOの支援の下で結成されたチームで、監督さんは大門宏という日本人です。このため、所属選手はイタリア人がほとんどですが、日本人も数人含まれており、チームは数々の国際大会にも参加して実績をあげていることから、そのうちこれらの日本人選手の中からも有名な人が出てくることでしょう。

サイクルスポーツセンター内にはこのほか、日本初の木製走路競技場である「伊豆ベロドローム」があります。一番の特徴は、走路が木製であるということ。走路が木製仕様の自転車競技場は、日本では西宮競輪場(1949年〜1965年)以来となり、常設および室内の木製走路の自転車競技場としては、日本初です。

これ以外の日本の自転車競技場の走路はすべてアスファルト仕様ですが、2000年のシドニーオリンピック以降、トラックレースの国際大会は、一般的に、室内競技場であること、1周 250メートルあること、そして木製仕様の走路であること、などが開催の条件のようになってきています。

厳密に木製であることが規定されているわけではないようですが、これが国際的な標準仕様とみなされるような風潮があるようで、そうした背景から、2020年の東京オリンピックにおいては、自転車トラック種目の会場を、当初予定の東京からこの伊豆ベロドロームに変更してはどうかという動きがあるようです。

東京オリンピックは当初の計画では予算がかなり超過し、建設コスト軽減のため、数多くの施設が見直しの対象になっていることはご存知だと思います。自転車競技も例外ではなく、当初東京都江東区の有明に仮設の施設を整備する予定でした。

しかし、昨年12月に国際オリンピック委員会(IOC)が他都市との分散開催を認めたことを受け、元総理で自民党のドン、森喜朗オリンピック組織委員会会長が「伊豆を使うことがいいのではないか」と発言。伊豆ベロドロームが有力候補として浮上したわけで、これに引き続き、2月には日本自転車競技連盟(JCF)がこの案に同意する決議をしました。

同連盟は国際自転車連合(UCI)にこの内容を記した親書を送っており、東京都の枡添知事も新たに競技場を作るよりはコスト削減につながるとして、前向きの姿勢をみせているようです。伊豆市の菊地豊市長も「候補として名前が挙がったことは大変うれしい。もし決定すれば、伊豆半島の皆さんと一丸となって歓迎したい」と期待を示しています。

ただ、五輪で求められる規格を満たすためには観客席を増設する工事が必要だそうで、宿泊施設の確保や輸送などの課題もあります。とはいえ、東京からは新幹線利用で1時間半、また宿泊施設は地元の修禅寺温泉や長岡温泉などいくらでもあり、受け入れるベースはかなり整っているといえます。

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このベロドロームには私も行ったことがありますが、大変に綺麗で立派な施設です。トラックレースのみならず、ロードレース、マウンテンバイクレース、BMXの競技も行えるように造ってあり、その設計はサイクルスポーツの本場、ドイツのラルフ・シューマンという人が行い、建設はこうした箱モノで定評のある日本の清水建設が行いました。

走路にはシベリア松を使用、周長 250mで、最大カント(最大傾斜角度)はナント45度もあります。なのに、幅員は7.5mしかなく、走路の間近に観客席があるため、文字通り「かぶりつき」で観戦ができます。

ただ、国内の他の競輪場で見られるような金網などはまったくないため、身を乗り出しての観戦は危険を伴います。また観客の不注意でモノを走路内に落としたりすることよって、競走中の選手に危害を及ぼしかねない可能性もあるため、こうした対策をどうするかは今後の課題でしょう。

また、観客席数が常設1800席、仮設 1200席というのは、オリンピック施設としては少々少なすぎる気がします。上述のとおり、五輪で求められる規格を満たすためには観客席の増設工事が必須となるようです。

とはいえ、2011年9月の竣工からまだ4年弱しか経っておらず、2020年の東京オリンピックの際でもまだ10年未満となりますから、ほとんど新品です。こうした立派なモノを使わない手はなく、ぜひ伊豆開催を実現してほしいものです。

サイクルスポーツセンターの諸施設も設立後半世紀を経てかなり老朽化しており、これを機会に施設の刷新を図ってはどうか、などと個人的には思ったりもしています。その昔は伊豆に数少ないスポーツ施設として、また遊園地として賑わったものですが、最近はかなり入込客も少なくなっているようです。

遊具などにかなりサビが浮くなど危険度も増しており、また施設アイテムそのものも古すぎます。最近日本最大級のジャングルジムなどが新たに導入されるなど、少しずつ刷新が図られているようですが、いまだにメリーゴーランドや足こぎボートなど、古色蒼然としたアトラクションが満載です。

園路などもガタガタのところがあり、食事施設やショップも正直言ってイマイチ。何かもう少し工夫はないのかなと思うのですが、こうした遊園地の老朽化は何もここだけでなく、全国的な問題になっているようです。

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近年は、レジャーの多様化などで厳しい経営を迫られている施設が多く、老舗遊園地でも閉園するところが増えており、特色作りに励み、新アトラクションを導入したり、逆に採算の合わない遊具を廃止するなど、規模を縮小したり、あるいは異業態へ転換する例も後を絶ちません。

「遊園地」ということば自体も古すぎる、というわけで、レジャーランド、あるいはテーマパーク、などと名前を変えてみたりはするものの、中身はあまり変わらないのでは人気が出るわけはありません。

静岡にも裾野市に「日本ランドHOWゆうえんち」、浜松市に遊園地パルパルというのがありましたが、それぞれ名前を変え、現在はそれぞれ「ぐりんぱ」、「浜名湖パルパル」になっています。が、最近行っていませんがおそらく中身は大きく変わっていないのではないでしょうか。

バブル景気の頃から1990年代中頃にかけては、通称リゾート法といわれる「総合保養地域整備法(1987年制定)」にも後押しされて、全国各地にこうした旧来の遊園地の名前を変えてテーマパークと銘打った様々な施設が計画され、建設されました。

しかし、十分なリピーターを獲得するだけの魅力に乏しい施設も多く、平成不況の影響もあって来場者が激減し、各地で民事再生法や会社更生法などの適用が相次ぎ、現在に至っています。

長崎オランダ村の閉鎖と失敗による倒産はそんななかでも象徴的なものです。これは今、ハウステンボスとして復活してはいますが、長崎の歴史とオランダの紹介という独自のテーマを掲げてテーマパークの先駆け的存在であった前身のかたちはあとかたもなくなっています。

このほか、新潟ロシア村、柏崎トルコ文化村、富士ガリバー王国の3テーマパークの設立に参画し融資を行って破綻した新潟中央銀行も失敗しており、第三セクター方式により設立した石炭の歴史村や夕張リゾートの開発を手掛けた北海道夕張市などもその失敗によってかなりの痛手を受けました。

そんな中でも浦安の東京ディズニーリゾート(TDR)と大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)は来場者が落ち込まず、テーマパーク業界では運営的に一人勝ちの様相を呈しています。

ただ、東京ディズニーリゾートも最近はひところほど絶好調というわけではないようで、今後の状況を楽観視はできなくなっているといい、リーマンショックを発端とする不景気の影響で地方のテーマパークの営業環境は一段と厳しくなっているといえます。

こういった大型行楽施設とは別の方向性として、都市部の大型商業施設の1フロアやその一部を占有する形で、屋内型の「ミニテーマパーク」と呼ばれる施設も首都圏・大都市圏で増加傾向が見られます。

こうした都市部のミニテーマパークは公共交通機関などによる交通の便が良く、また商業施設の利用者がついでに立ち寄る事もできるようアトラクション数や所要時間は少ない・短いなどの配慮が見られ、また屋内施設であることから全天候型施設としても人気を集めているようです。

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ミニテーマパークと呼ばれるものの中には、「フードテーマパーク」や「レトロテーマパーク」といったスタイルのモノが多いようです。

フードテーマパークとしては、「新横浜ラーメン博物館」などがその代表であり、「昭和ノスタルジー」を意識して、横町をイメージしてあえて狭くした通路、ガラス戸・駄菓子の陳列棚・ホーロー看板・白黒テレビなどの小道具、セピア色から連想された茶色がかった照明などなどの施設は「大正レトロ」を感じさせるというので大人気です。

出店するラーメン店も人気がなくなれば差し替えればよく、小さい規模なだけに、運営も楽というわけで、以後、ラーメンに限らず、うどんやそば、寿司、お好み焼きなどなど同様の施設が日本中にゴマンとできました。

また、レトロテーマパークもまた新横浜ラーメン博物館の受け売りと言え、これは昔使われていたかつてよく見られた木造住宅風の造形セットを施したり、レトロな小道具などの展示、懐古風のレプリカなどを売りにした施設で、一例をあげれば、玩具コレクターとして有名な北原照久氏が館長の「ブリキのおもちゃ博物館」などがそれです。

このほか、東京の下町風俗資料館、小田原懐かし横丁、横浜のハイカラ横丁などがあり、ここ伊豆でも、伊豆高原に「怪しい少年少女博物館」なるものがあります。

大規模なものでは、博物館明治村、江戸東京博物館、江戸東京たてもの園、北海道開拓の村なども同類です。ここまでくるとけっしてミニパークとはいえませんが、これらの施設では展示コーナーの一部が人気不振で入れ換えられることはあるものの、施設全体としては好評を博しており、こうしたレトロテーマパークは全国的にも増加傾向にあるようです。

なお、重要文化財や史跡・名勝といった全体が文化財の施設もレトロテーマパークといえなくはありませんが、こちらはあくまで歴史遺産であり、「パーク」とはいえないでしょう。しかし、最近はこうした施設にも飲食店やショップを併設するところが増えてきており、テーマパークとの境界線はあいまいになってきています。

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このほかのミニテーマパークとしては、「働く事を体験する」という職業体験型テーマパーク、「キッザニア」や、自動車のショールーム内にアトラクションを設けたMEGAWEBのように、遊園地という形態からは完全にかけ離れた様式も登場しています。

「キッザニア」は、メキシコ、日本、インドネシア、韓国やアラブ首長国連邦など世界中で展開されている、子供向けの職業体験型テーマパークであり、Kid+z+aniaで“こどもの国”の意です。就学前~中学校程度までの児童を対象としており、主要な80職種について職業を模擬体験することができます。

日本では、東京のららぽーと豊洲内にある「キッザニア東京」や同じく兵庫の西宮ららぽーと内にある「キッザニア甲子園」などがあります。

また、MEGAWEB (メガウェブ) は、東京青海のパレットタウン内にある、トヨタ自動車の展示ショールームです。主要なトヨタ車・一部のダイハツ車が展示されており、展示車種は自由に乗り降りすることが可能です。ゲームなどのアトラクションと飲食店もあり、「カタログ販売機」という自動販売機もあります。

これは日刊紙を扱う新聞自動販売機と同じようなもので、高級車、センチュリーを除くトヨタ車の全車種を網羅していて、特別仕様車のカタログもあるといいい、なかなかの人気のようです。無償ではなく有償としたところが、さすが「販売のトヨタ」だなと思うのですが、そうしたマニアックなところが受けるのでしょう。

海外を含めた自動車雑誌やミニカーなどを購入することも可能だといい、このほかMEGA WEBのある建物に沿って敷設された1.3kmのコースで、トヨタの市販車の殆どを試乗する事が出来るといいます。試乗料金は1台につき300円でコース2周ができ、新型車が登場したときなどにはキャンペーンで試乗料金が無料になる場合もあるそうです。

ただし、試乗は完全予約制となっており、予約は館内端末かMEGAWEBのサイト、または電話予約窓口を利用することになるようです。

ここまで規模が大きくなると、これもまたもはやミニパークとはいえませんが、お台場という立地からすれば施設規模も小さいほうといえ、シーズンごとにアトラクション内容を入れ替えることもできてテナントとしても扱い易く、パレットタウンのような大型商業施設新設の際に、こうした施設が導入されて集客が図られることも多くなっているようです。

こうしてみると日本の遊園地の形態もかなり様変わりしてきたな、という印象であり、もはや既存のかたちだけでは生き残っていけない時代に突入しているという感があります。

伊豆のサイクルスポーツセンターもまた、そうした時代淘汰の荒波に立ち向かっていかなければならないわけであり、もし東京オリンピックの自転車競技の誘致が決まれば、本格的にその内容の刷新にとりかかっていただきたいと思います。

と、ここまで書いてきて目をあげると、今日は久々に富士山の姿が見えるではありませんか。こんなブログなんか書いていないで、新緑を浴びに外へ出かけるとしましょう。みなさんもぜひこの週末には伊豆の若葉を見るためにこちらへお越しください。

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