正のウソ負のウソ

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4月になりました。

今日4月1日はエイプリルフールとうことで、嘘をついてもよい、ということのようですが、正直者の私としては、ウソはつきたくありません……

……てなことを言っていること自体が既にウソなわけであり、生まれてこのかたいったいどのくらいこうしたウソを突き通してきただろうと思います。

がしかしおそらくウソをついたことがない人はいないのではないでしょうか。それくらいウソというのは生きていくために必要なものであり、「必要悪」でもあります。

フィクション作品では、読者や観客を楽しませるために作品に嘘が混ぜられていて、事実ばかりを組みあわせて作り上げた作品では、読者や観客になかなか楽しんでもらえません。

登場人物の人物像あるいはストーリー展開についてなにがしかの嘘を混ぜて作品に仕上げてゆく、というのは当たり前のことであり、NHKの大河ドラマなどでも、一応は史実に忠実にということで、時代考証がなされ大枠では史実から離れないように制作しようとしてはいますが、事実だけでドラマ作品を作っても全然面白くなくなってしまいます。

なので、台詞や殺陣や効果音等々等々、なにがしかの嘘をまぜて事実より強調したほうがかえって「リアル」に感じられる作品になるということで、いろいろアレンジされたものをある程度ウソとしりつつ、我々は楽しんでいます。

フィクション作品では事実と嘘の配分、「本当」と「嘘」の混ぜ加減が作家やクリエイターらの腕の見せ所であり、それゆえに、こうした芸術家さんたちはいかにウソをつくのが上手かによってその力量が試されるのでしょう。

このように、多くの人はある程度の言い訳や責任転嫁などの嘘は無意識的、日常的に行っており、これは学問的・精神医学的に言えば「正常」の範囲内です。

ただしそれも常識的な範囲を超えたり、統計的に見て一般的な範囲を逸脱するような程度になると、心理学・精神医学的には「虚言癖」や「作話症」などに分類されるようになります。

先日来世の中を賑やかせている作曲家さんはその最たるものであり、ウソかまことかが取沙汰されている理化学研の女性博士もまたこの分類に属すのかもしれません。

嘘をつく動機や技術、事実との関係などによって、嘘は正負、両方の効果を及ぼしますが、負のウソをついてはいけません。

得をしようとして数字をごまかすことを「サバを読む」と言いますが、これは鯖が大量に捕れすぎたとき、漁師や魚屋が腐る前に売りさばこうと、数もろくに数えなかったことに由来するといわれています。

自分の年齢について嘘を言うことは「年齢詐称」と言いますが、これは正負のどちらに属するかというと微妙なところです。が、テレビなどで大幅に年齢をごまかしていたタレントさんが、そのウソがばれたあげくに大バッシングを喰らったりすることなどがあるところをみると、年齢のサバ読みはやはりあまり良いことではないのでしょう。

ウソも、悪徳マルチ商法や悪徳キャッチセールスなどのように「詐欺」といわれるようなものになると、明らかにこれはマイナスのウソであり、被害者が生じることから法律によって罰せられます。

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そう考えてくると、そのウソが正負のどちらに属するかというのは、自分だけが悦に入っているうちはいいけれども、他人に何等かの被害を及ぼすものに至って、はじめて負のウソになると考えることができます。

一方では、欧米では、聞いたとたんに明らかにウソとわかるような話をして、それが嘘だと互いに十分に知っていることを確認しあって楽しむ、という風潮があるようで、これはまちがいなく正の範疇のウソでしょう。

私も留学時代にまるでホントのようなことをいう教授のウイットに富んだウソによく楽しまされました。こうした上手なウソを日本人もつけるようになるといいな~と思うのですが、生真面目な日本人には少しハードルが高いのかもしれません。

では、ヒト以外の動物は嘘をつくことがあるのでしょうか。

あります。ウソではなく、ホントにあるようで、例えば昆虫などが葉っぱやその他の自然物に化けてるいわゆる「擬態」は他のもののふりをして他の生き物をだますことです。

鳥類においても疑傷行動というのがあるそうで、これは例えば卵や雛をもつ親鳥が、近づいた外敵に対してけがをしているかのような動作をとり、注意を自分の方に向けつつ移動して、外敵を卵や雛から遠ざけてしまう行動です。シギ・チドリ類、カモ類、キジ類など,地上に巣をつくる鳥でよく見られるそうです。

チドリなどは、親鳥は外敵が近づくと、そのすぐ近くまで飛んでいき、背を向けると同時に翼を広げて地面をたたくような動作をします。そして中腰のまま、脚をひきずるようにして少しずつ外敵から遠ざかるといい、なかなかの演技派です。

ほ乳類でもイヌはウソをつくことがあるそうです。たとえば帰ってきた飼い主に対して、誤って吠えついてしまった犬が、主人の顔を認めた後に、隣家の犬に吠えかかったりすることがよくあるそうです。

これはイヌが「飼い主に吠えていたんじゃなく、隣のイヌに吠えていたんだ」というポーズを取っているのであり、自分の行動を取り繕う行為です。ウソというにはあまりにもかわいらしい行為ではありますが、一応はイヌのウソということでよく知られているようです。

ところが、ネコは嘘をつかないそうです。これはネコはイヌより知能が低いためではないかとされているようで、ようするにウソもつけないほどおバカだということです。

なので、ウチの愛猫のテンちゃんも、きっと嘘つきではないに違いありません。

が、すりすりと寄ってきて可愛いしぐさで鳴いた直後に、カツブシをねだり、それをせしめたあとにはフン!とばかりに居なくなったりするのを見ると、あれ?さっきのスリスリはポーズだったのかな?などと疑ってしまいます。

が、まあそれもよしとしましょう。仮にネコがウソをついていたとしても、その程度のウソならかわいいもので、招きネコになることはあっても、お金をだまし取るようなことはまずありませんから。

お金といえば、今日から消費税が上がります。今になって改めて昨日買い物に出かければよかったなーと思うのですが、後の祭りです。

が、消費税のことは忘れて今日は買い物にでましょう。昨日から咲き誇っている桜も呼んでいます。出不精の嫁を連れだすには、案外と桜はもう満開だ、散ってしまうぞ、とウソをつくのが一番かもしれません。

さて、みなさんが今日つくウソはどんなウソでしょう。

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