現在・過去・未来

2014-1100458連休だ連休だというので、祝休日の並びがどうなのか、といったことにばかり気を取られていましたが、気がつけば今日は4月最後の日です。

あ~もう5月かぁーと、改めて月日の流れる速さを感じてしまうのですが、齢をとると時間の流れを早く感じるようになるというわけで、私ももうそういう齢なのだろうな、と何をいまさら、といわれそうですがついついそう思ってしまいます。

特殊相対性理論では、物体が高速で移動するほど、時間の流れが遅くなるとされているそうなので、いっそマグロのように一日中走り回っていたら時間がゆっくり流れるかも……などと馬鹿なことを考えてみたりもします。

また、タイムマシンがあれば昔に戻れるのに……は誰でも考えることでしょうが、最新の研究では、どうも無理そうだ、という見解のほうが多いようです。

かの有名なイギリスの理論物理学者、スティーヴン・ホーキング博士も、はっきりと、「タイムマシンは不可能である」と述べ、その理由としては、「過去に行くことを許容する時間的閉曲線が存在するためには、場のエネルギーが無限大でなくてはならない」と言っています。

難しいことはよくわかりませんが、ようするにものすごいエネルギー量が必要だということのようですが、現在の科学技術レベルでは理解しがたい高レベルのエネルギー量は宇宙のあちこちに存在するということもわかっているようなので、そうしたエネルギーを獲得すればもしかしたらタイムトラベルはできるのかもしれません。

ただ、タイムトラベルというと何やらおどろおどろしいSF的なタイムマシンが必要、というイメージがありますが、変化を意識していないうちに周囲は変化していってしまう、といったこともタイムトラベルと呼ぶのなら、ウラシマ効果というのがあります。

ウラシマ効果というのは、上述の相対性理論に基づき、もしも光速に近い宇宙船で宇宙を駆けめぐり、何年か後、出発地点に戻ってきたような場合、出発地点にいた人は年を取り、宇宙船にいた人は年を取らないという現象が生じる(だろう)、というものです。

この場合、宇宙船は未来への一方通行のタイムマシンの役目を果たすことになります。宇宙船から地球のような静止系を見ると、静止系は相対的に運動していることになりますが、時間の遅れが生じるのは宇宙船側です。

この状態が、昔話の「浦島太郎」において、主人公の浦島太郎が竜宮城に行って過ごした数日間に、地上では何百年という時間が過ぎていたという話にそっくりであるため、日本のSF作家がこうした現象をウラシマ効果と呼んだのです。

SFでは、わりとよく使われる話であり、映画「猿の惑星」はその典型でした。長い間宇宙を漂流していた宇宙飛行士たちが未知の惑星に不時着し、そこは猿が支配する世界だった、という設定ですが、実はこれは地球であり、人類が滅びたあとに、猿たちが君臨するようになる未来の世界だった、というストーリーです。

日本のアニメにも再三登場し、「ドラえもん」では、映画やテレビでのび太が何度もウラシマ体験をしており、藤子・F・不二雄のSF短編の中でも、地球を離れたパイロットが、宇宙船の機内では10年ほどしか経っていないのに、地球では1000年の月日が流れていたという話が出てきます。

宇宙において高速に動くことによって、時間の遅れが生じるという科学的に立証された物理現象ではあるのですが、現状では人間の生活に影響が出るほどの高速は出しえないことはわかりきっており、それは誰しもが認めるところなのですが、もしかしたら……と思わせるところが、このガジェットの魅力でしょう。

これよりももっと現実的に可能性のあるタイムトラベルもあります。「コールドスリープ」がそれで、人体を低温状態に保ち、目的地に着くまでの時間経過による搭乗員の老化を防ぐ装置のことを指します。

火星探査などの宇宙船での惑星間移動などにおいて利用できるのではないかといわれており、またタイムトラベルの手段としても、未来だけへ行くという、一方通行であるならば可能ではないかと言われるものです。

一般にコールドスリープには、低温状態にして睡眠後に時々覚醒するタイプや、ある一定時期に活動を停止させる冬眠タイプ、完全に凍らせてその後「解凍」する冷凍タイプなどがあります。

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なぜこうした方法が宇宙旅行に有効かといえば、例えば地球と火星の間での移動には現状の技術を使っても数か月はかかるといわれており、この間の搭乗員の食料、酸素といった生命維持系の調達のためには非常に大きな宇宙船が必要になってしまいます。

また、船員の健康・体力の維持や退屈しのぎなどの施設も必要であり、これらの生活に要するものを少なく抑えることができれば宇宙船の質量を減らすことができ、その分だけ燃料を減らすことができるわけです。

さらに、将来的には火星以外の惑星探査ということになると、その移動時間は数十年やそれ以上にも及ぶ可能性もあり、こうなると人間の寿命との競争ということになってきます。このため、その対策としてはコールドスリープが最も有効ではないか、というわけです。

アメリカでは既に来たる火星探査に向けて現実的な方法が検討されているということです。しかし課題も多く、一番大きい問題は、長期間、無重力状態に肉体がさらされると、筋肉の衰えや骨が脆くなるということです。寝ている間は体を動かすことができませんから、こうした衰えはなかなか防ぐことができません。

また、重力がある状態で長期間同じ姿勢のまま睡眠を行うと、床ずれを起こして皮膚が壊死する、といったことや、いっそ冷凍してしまえ、といった場合には、水分が凍結した時に起こる体積膨張により細胞を破壊してしまう恐れがあります。

生命を保ったまま人間を冷凍できるかどうかについては、種々の研究がされているようですが、やはり脳などの冷凍技術が一番難しいらしいようです。ただ、精子の冷凍保存は実用化されており、まったくの不可能ではない、とみなされているようです。

冷凍後に蘇生できるという保証はありませんが、クライオニクス(cryonics)と呼ばれる人体冷凍保存のサービスも存在し、これは、死んだ直後の人体を冷凍保存し、医療技術の発展した未来に復活の望みを託すというものです。

しかし、現在の技術で冷凍保存されたものが、遥かに進んでいるであろうとはいえ、未来の技術をもってうまく解凍できるか、については懐疑的な見方が多く、実際に復活させることができるかどうかについては悲観的や否定的な意見が多いようです。

ただ、肉体は滅びても、記憶や意識といった、脳の働きが完全にコピーできて永久保存ができるのであれば、肉体だけは後から作り直せばいいわけです。

これについては、今何かと世間を騒がせている日本の理化学研究所の若山照彦というドクターらのチームが、2008年に死後16年間冷凍保存されていたマウスからクローンマウスを産み出すことに成功しており、これにより、理論的には冷凍保存された人の遺体からクローン人間を生み出すことが可能ではないかといわれています。

この技術を応用すれば、人間の再生もできるというわけですが、再生した人が記憶を失ってしまっては困るわけで、ここでコピーしていた過去の自分の脳の中身を移しかえる、ということが必要になります。

人間の脳の中身を移し替えるなんてできるわけないよ~、という人も多いかもしれませんが、将来的に開発されるであろうコンピュータでは、人間の脳の働きを100%解析できるだろうといわれており、けっして不可能なことではないのかもしれません。

ただ、こうしてコンピュータに真似させてできた頭脳は、いわゆる「人工知能」であり、器械にすぎないコンピュータに持たせることができる意識は果たして人間とコミュニケーションが可能な意識なのか、といった議論があり、人間と機械類との間では相互にそれを認識できないのではないか、と指摘する人もいるようです。

こうした話はSF作品にもよく見られ、映画「2001年宇宙の旅」にもあったように、この映画に登場するコンピュータは、時には人間のよき友人となり、時には人類の敵にさえ成り得る存在として描かれますが、実はあくまでプログラムで動作しているにすぎず、人間のような感情は持っていなかった、というのがオチです。

一方、2008年のアメリカ映画「イーグル・アイ」に登場するコンピュータは、合衆国憲法を文字通りの意味で解釈し、現行政府が憲法を逸脱した存在と判断したため、反逆を起こす、というストーリーで、これは、当初与えられた指示の通りに行動しているものが次第に進化して、独自の意識を持つようになった、というものです。

機械が果たして人間の心を持ち得るか、というのはSFにおいても科学においても永遠のテーマですが、宇宙旅行というものを人類が実際に経験するであろう未来世界においては、我々の子孫が現実的に直面する問題になっていくのでしょう。

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スピリチュアル的な観点からいえば、退行催眠などによって、過去の自分と向き合うということも、現実的に実行が可能なタイムトラベルといえるかもしれません。

魂は永遠であり、肉体は滅びてもその都度生まれ変わって、次世代に受け継がれていく、ということを信じるのならば、その魂の記憶を辿ることはタイムトラベルにほかなりません。

アメリカ合衆国の精神科医であるブライアン・L・ワイス博士によって催眠療法中に「前世記憶」が発見され、1986年に出版された”Life Between Life“という本で世に知られるようになったという話はこのブログでも何度か紹介しました。

退行催眠療法により出産以前に遡った記憶(前世記憶)を思い出すことにより現在抱えている病気が治ったり、とくに深層心理面での治療に役立つとされ、ワイス博士はこの処方を多くの患者に施し、数多くの人を救ったと言われています。

こうした前世の記憶は、誤った催眠療法の誘導によって捏造された、実際には起っていないはずの創造された記憶だと批判する人も多いようですが、「過去性の記憶」と実際の歴史との符号を調査した結果、完全に一致するケースも相次ぎ、先進的な研究をしている医学者の中でも信じる人が増えています。

この「前世療法」の話というのは、書き出すとまた長くなるので、簡単に述べますが、人はすべて数ある前世から転生してきて今生に生きており、その前世までに経験してきた問題や課題が現生では病気などとして持ち越されている場合が多く、その問題が何であるかを退行催眠によって見つけ出し、治療に役立てようというものです。

私たちの本質は魂という一つのエネルギーであり、さまざまなことを学ぶために人生を何回も繰り返し輪廻転生しますが、1回の人生では学びきれないため、また、いろいろな境遇に身をおき、さまざまな体験をすることによって人に共感できるようになるとともに、そうした経験を通じて、魂は「成長」を続けていきます。

これまでも、多くの医師や心理学者が退行催眠や臨死体験の研究により、人間は輪廻転生する存在であることを確信しています。

その例証として良くとりあげられるのは、今生では一度も聞いたことも習ったこともない外国語をしゃべることができる患者がいることや、亡くなって霊的存在となっていた祖母が孫に話した母親の子ども時代の秘密が後で事実だと確認できた、といったことなどですが、こうした傍証データはいくらでもあります。

ただ、自分で実際に退行催眠や未来世療法を体験しなくとも、こうした多くの状況証拠をもとに、輪廻転生というものがあると信じられるようになるだけでも、余分な不安や恐怖がかなり薄められるなどの効果があり、それこそが前世療法的な効果だと考える学者もいるようです。

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実はこのワイス博士は、「未来世療法」という本も執筆されていて、これは、自分の魂の来世もまた予見できる、というものです。

実はまだ私もこの本を読んではいないのですが、そこには未来の自分の日常生活を垣間見る方法が書いてある、ということではないようで、未来は変えられるということ、そして、私たちはより良い未来を生きられるのだということを、実感できる、そのことによって魂が救われる、といったことが書いてあるようです。

未来の自分を予見できるということは、すなわち退行睡眠などにより、過去の自分だけでなく、未来の自分を見るためにタイムスリップすることもできる、ということになります。

実際に読んでもいないのに、その内容を披露するのも無謀なのですが、その内容を紹介したサイトなどがいくつかあったので、それらを参考にした上で、以下に少し書いてみたいと思います。

それらによると、一つの未来世療法の例としては、宗教的な理由から日頃よりアラブ人をののしっていたユダヤ人のある女性の例があり、この女性は、9.11の自爆テロに遭遇したことから、その「症状」が悪化したといいます。

ワイス博士がその過去生を退行睡眠によって確認したところ、この女性のある人生においては、ナチの士官としてユダヤ人を虫けらのように殺していたことがわかりました。このため、生まれ変わった現在では、逆に前世で虐待したユダヤ人に自らなり、その気持ちを味わうという人生を選んで生まれてきました。

しかし、過去生においても差別や偏見をなくすという学びがなかったために、今生になっても今度はアラブ人を忌み嫌うことになり、相手は変わってもまた誰かを憎しみ続けるということを続けているため、苦しんでいるらしいということがわかりました。

そこで、ワイス博士は再び退行睡眠によってこの女性に、この状態で次に転生したらどうなるか、その未来を体験させることにしました。

すると、なんとその次の来世で彼女はイスラム教の少女となり、今度は再びユダヤ人をののしっている姿が見えてきたといいます。さらには、また次の生では東アフリカに住むキリスト教徒の男性となり、その周囲にヒンズー教徒が増えていくことに怒っている姿が見えてきました。

彼女はそれらの来世を見た時に、自分はいつも誰かを憎んでいることに気がつきました。そしてそこでようやく暴力は苦しみを増すだけで、怒りは思いやりと愛によってとけてゆくことを実感でき、他の人々や文化に対する自分の思いこみを変えなければならないこと、憎しみを理解に変える必要があることを実感をもって学びました。

こうしてワイス博士は、患者に味来を見させることによって、その人が持っている偏見や差別を手放させ、より浄化された魂に導くことができることを発見しました。

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以後、多くの患者にその未来を催眠で体験してもらうようになったといいます。がしかしお気づきのとおり、未来世は過去世のようにそれが事実かどうか確認することはできません。

このことについて人に問われると、ワイス博士はその患者が見た未来が実際に起こることかどうかは問題ではなく、その経験を通じて現世の魂が救われるかどうかが問題である、と答えたそうです。

そして患者にとっては、たとえそれが本人創作した「未来のシナリオ」であったとしても、それを作る時に潜在意識にある自分の望みが投影されていればよく、こうしたシナリオはどんなものであれ、深層心理が作り出したものであれば治療のために役立ち、その当人にとって意味がある、とも答えたといいます。

そうした意味では、この「未来の記憶」は夢のようなものでもあります。しばしばそこにはシンボルや暗喩、心の奥にある希望や欲望、実際の記憶や予知的体験などの混合物が含まれる可能性がありますが、ワイス博士はそれでいいのだといいます。

患者が未来を見たからといって、必ずしもそれが「本当の」未来であるとは言えません。それにもかかわらず、記憶の持つ力強さと即時性は、すぐに患者の現在と未来の人生を変え、改善するといいます。こうした変化は、彼らが見たものが真実かどうか検証することよりも、ずっと大切なことだといいます。

来世を確認することはできなかったとしても、この例で紹介した女性は、ワイス博士の治療により、未来を実感することで今の状況を変えることができたそうです。

未来は固定的なものではなく、自分の自由意志による選択によって無限の可能性があり、それを患者に選択することによって治癒が促されるように仕向けることをワイス博士は発見し、これを「未来世療法」と命名することにしました。

こうした「治療」によって、現在の状況が改善されることにより来世が肯定的に変わっていくということは必然でしょう。

過去も現在も未来も、その人だけのものであり、今、ここに、同時に起こっていて、年、月、日、時間、分という地球時間を計る時間軸とはまったく違う何かによって進んでいる、と考えれば、その人だけには自分の未来も予見できるのかもしれません。

曹洞宗の開祖、道元禅師が「正法眼蔵(しょうぼうげんぞう)」という著書の中で、「一切世界のあらゆる事物は、連っている時である。それは有時であるから我の有時である」と言っているそうですが、これはすべての存在は深いところでつながっており、自分もまたそれに連なっている、という意味のようです。

すべての存在は自分も含めて、過去、現在、未来をも含み皆つながっているというのは、スケールが大きくなかなか理解することはできにくいのですが、真理を極めた人の目から見れば、やはりこのような表現になるのだと思います。

すべての存在はつながっている。だから互いの違いを理解し調和を求めることが大切である、ましてや自分の未来を知れば、自分を理解し、自分や自分を取り巻く世界との真の調和を見出すことができる、というわけです。

いかがでしょうか。連休の中、忙しかった4月までの繁忙から抜け出し、ようやくまとまった休みを得ることができる、という人も多いと思います。

この休みにはひとつ、自分でも退行睡眠にチャレンジして、自分だけにしかできない、未来旅行や過去への旅を経験してみてはいかがでしょうか。

ちなみに、退行睡眠については、PHP研究所から、「ワイス博士の前世療法」「心を癒す ワイス博士の過去生退行瞑想」といった本が出版されており、付属のCDを聞きながら、自発的に退行睡眠を試みることができます。

私も何度か退行睡眠をやり、過去の自分を見出したことがあります。みなさんも連休のさなか、ぜひ素敵なタイムスリップしてみてください。

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